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PRODUCTION NOTES #2 ”強い原作”の脚本化

120分という限られた時間の中で、緻密な原作のどこに焦点を当て、どのような構成で観客に伝えていくかは大きな課題であった。小説だからこそ成り立つギミックが使われていたり、登場人物も多かったりと、原作には映画化する上で変更を加える必要がある要素がいくつも存在していた。そのため、脚本を開発する段階では原作に寄り添いつつも、映像ならではのストーリーテリングや演出を念頭に、物語に脚色が加えられていった。同じ場所にいても同じものが見えていないという”二つの視点”は、”映像的”な要素であったが、それをどう観客に映像でわかりやすく伝えていくかは一番難しい課題であったという。「原作作品からの映画化は、原作が強ければ強いほどその印象を色濃く残しますが、最終的には映画としても観客にどう感じ、どう考えて頂けるのかということ。そこは映像化をする上で特に意識しました。そして、役者たちの芝居が、観客との重要な接点のひとつになるとも考えたので、それぞれのキャラクターをしっかり描くことにもこだわりました。観客の皆さんが、登場人物たちの人生を自分自身に照らし合わせることができて、そこから何かを感じ取って頂けるなら嬉しい限りです」と製作陣は語る。映画ならではの脚色が大胆に加えられた物語は、最終的に原作者・湊かなえの快諾も得て、新たな『母性』として生まれ変わった。

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