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PRODUCTION NOTES #1 湊かなえ『母性』の魅力

湊かなえによるベストセラー小説『母性』の映画化プロジェクトが動き出したのは今から約5年前。もともとは連続ドラマ化も検討されていたが、ドラマでは時間をかけて登場人物や細かい部分を原作に忠実に描ける反面、本作のテーマ性や母娘の物語が希薄になることが懸念されていたという。母と娘の物語に焦点を当て、重要なところをより濃厚に見せていきたいという製作陣の思いのもと、最終的には映画というフォーマットが採用された。アクションやミステリーといった、いわゆる”ジャンル映画”が流行る傾向にある中で、製作陣は”人間の本質”や”業(ごう)”が繊細に描かれている湊かなえ作品にかねてから魅力を感じていたという。「本作で感じた魅力は、人の心を知ることの重要さです。それは、多面的視点で真実を捉えること。つまり真実は、その人の思い込みである可能性もあること。また、世の中や心の中は複雑であり、勧善懲悪では計り知れないこと。母性とは何か?という作品のテーマを通して、そういった事象を炙り出したいと考えました。そのためには、より深く、母と娘の関係性に着目する必要がある。という結論に至りました」と製作陣は振り返る。


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