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BOSATSU白書 初投稿〜Performance Keeper SDKについて〜

菩薩さまです。はじめまして。

BOSATSUとは?など、いろいろあるかもですが、アプリインストールにおける不正対策研究の発信の場として、本ブログを立ち上げました。

そのあたりも追い追い説明していきますが、今回はBOSATSUが提供する「Performance Keeper SDK」についてです。以下がニュースリリースの内容になりますが、具体的に書かれていないので、少し詳しく説明してみたいと思います。

ネイティブアプリ向けに不正利用の検知システム 「Performance Keeper SDK」を開発|株式会社CAリワード
※「株式会社CAリワード」は2018年5月1日に「株式会社CA Wise」へ社名変更しています

(1) 開発の背景

基本的に日本在庫になりますが、在庫を保有している海外運営SSPなどを束ねています。それを「BOSATSUネットワーク」と呼んでおり、そのネットワークでノンインセンティブCPIの配信を行っていますが、広告主様や代理店様から以下のような相談を受けることが多くなってきました。

獲得(インストール)は伸びるが、ユーザーとしての質が良くない
- ユーザーの登録内容がデタラメで、ボットなどで自動登録しているように見受けられる
- ノンインセンティブCPIで獲得したのに、RRやROASが著しく悪い
- 日本人を対象にしているが言語設定が外国語になっている端末からの登録が多い
- CVまでは日本のIPなのに、初回起動以降が海外のIPになっている

参考までに、とあるアプリのデータをいくつか見てみましょう。このアプリは日本国内のみのサービスになり、基本的に日本人のみを対象としています。

データソース
- あるアプリのPerformance Keeper SDKで取得した13日間のデータ
- 日本IPへの広告配信+自然流入(広告経由以外)が含まれる

まずはクリック時のIPアドレスです。全体の約2%が海外からのアクセスでした。その内訳が以下です。

次に登録ユーザーの言語設定です。基本的にユーザーが日本人なので`ja`(日本語)が一般的ですが、それ以外の言語設定が確認されました。

`en`は英語、`zh`は中国語、`ko`は韓国語、`fr`はフランス語、`vi`がベトナム語です。全部で16種類の言語が確認されました。

次に、タイムゾーンです。グラフにするとわかりにくいのでリストであらわしています。16のタイムゾーンが確認できました。

このようなことなから、広告クリックから「インストール」までではなく、その後の「ユーザー登録」や「チュートリアル突破」といったユーザーの画面動線を不正チェックの観点で検知していくことで、不当な自動登録を行っているユーザーを排除できる可能性が高そうということでPerformance Keeper SDKを開発しました。

(2) Performance Keeper SDKについて

アプリ起動時や任意の画面(ページ)通過時などでPerformance Keeper SDKを呼び出してもらうことでBOSATSUに以下のような情報を送信します。

- アクセス元情報(IPなど)
- 言語設定、タイムゾーン、キャリア
- OSのバージョン、デバイス情報
- 各種センサー情報

※これらの情報については、アプリを利用するユーザーの利用許諾を得て、その範囲内で利用しています

これらの情報からBOSATSU独自のロジックで不正ユーザーを判定していきます。もちろん送信される情報が多ければ多いほど不正検知の精度はあがるので、できる限りで送信してもらっています。

不正ユーザーと判定された場合、BOSATSU側で対象のCV(インストールなど)はブロックする(成果対象外とする)ことが可能になります。

# 取得する情報の粒度・量にもよるので、不正の定義については
# 広告主様と協議の上、決定し運用を行っています

また、アプリ固有の情報を送信できるカスタム機能を備えていますので、これを使ってアプリ独自の不正対策を行うことも可能となります。

例えば、マッチング系アプリにおいて、ユーザー登録時の都道府県を送信するとした場合、全国の中で突出したユーザー登録があればアラートをあげたり、ブロックしたりすることが可能になります。このカスタム機能を用いた不正対策についても協議の上、決定する流れで進めています。

現状、iOS / Android ともにネイティブ版のみとなっていますが、導入を行っていただいている状況から、UnityやCocos2d-xなどで開発されているところが多そうなので、対応を進めているところです。

BOSATSUでは、より導入のしやすいSDKとなるよう努めていきたいと考えております。

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Photo credit: Origami48616 on Visual hunt / CC BY

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