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8中 ニュー道後ミュージック「怪談ストリップ」

夏の風物詩「怪談」

妖怪や幽霊に関する伝説が恐怖を呼び、涼しげな気分を味わえることがあって、ここ数年はタレントによる怪談話が人気を呼んでいる。個人的にはこの分野に興味を持つことはあまりないのだが、水木しげる氏の漫画に描かれているような妖怪は楽しくて、親しみやすさを感じている。

その怪談とストリップをコラボさせた公演を毎年夏に行っているのが、四国・松山の道後温泉内にあるストリップ劇場「ニュー道後ミュージック」だ。数少なくなった温泉街のストリップ劇場として、奮戦している。昨年の冬に一度だけ行ったことがある場所だが、場内の温かい雰囲気は、未だに記憶に新しい。

怪談ストリップが開催されていると知った時、この2つのジャンルがどうやって結びつくのか、最初は理解ができなかった。観てみたい気もするが、わざわざ松山まで出かけて、期待外れだったらと思うと、躊躇する気持ちもあった。しかし、怪談ストリップの中頃期間に推しの踊り子・葵マコさんが登場することを知ると、彼女を見に行くのなら、後悔はすることはないだろうと松山行を決断。ホテルを押さえて、お盆休みに行く気満々だったが、台風接近でやむなく延期。改めて19日に行くことにしたが、宿泊は叶わず、夜行バスで帰阪の行路になってしまう。なので、劇場は途中で退出する羽目になってしまったが、それでも4回公演中、3回目までは滞在することができた。よって、各踊り子さんの全ての演目が見ることができたのである。

当日は16時過ぎに劇場に到着。涼しい場内に落ち着くと、16時27分(死にな)のごろ合わせの時刻と共に、開演の運びとなった。

気になる怪談ストリップの中身だが、出演者の皆さんは、踊りのパフォーマンスがない演目を持ってきていた。演目は、ストーリー性に重点を置いた内容が多く、演目中に手拍子は起こらないし、ベッドタイムのポーズもない。それでは、ストリップの要素どこかというと、ストーリー中の性描写から起こることが多く(必ずしもそればかりではないが)踊り子さんの演技力が求められるのであった。

そういった感想を持ちつつ、時間が経過していき、恐怖という概念を忘れかけた頃、葵マコさんともう一人の演者、翔田真央さんが3回目にとっておきの演目を出してきたのである。赤いものが体に飛び散る迫真の演技に、私はしばし呆然となった。。葵マコさんはこの演目の後のポラタイムで、「これを他の劇場でやったら出禁になる」とおっしゃっていたくらいなので、これは、まさしくニュー道後ミュージックしかできない演目と思ったのだった。

2人の他のもう一人出演者が、有馬美里さんである。彼女は独特の空気感で演技を進め、私は創造力を掻き立てられた。失礼な言い方かもしれないが、有馬さんは演技後のポラタイムのトークが怪談風になっており、そちらの方の印象が強かった。また、私のネームに反応されて「怪談の夜にピッタリ!」と喜んでくださったのは、思いもよらない出来事であった。

各踊り子さんのポラタイムでは、演目について、様々なエピソードを話して下さった。それに対し、場内のお客さんが色々と反応するのも楽しい時間だった。これは、ニュー道後ミュージックの舞台と客席の構造上、自然とそうなるので、怪談ストリップに限ったことではとも言えるが。

このような感じで、初めての怪談ストリップは、満足のいく気分で終了した。劇場スタッフの方に会釈して外に出ると、入口前でフランクフルトを焼く方がおられて、劇場のお客さんがビール片手にほお張っていた。やはり、アットホームな空間が保たれている道後ミュージックは素敵だなと思いながら、私は帰路についたのであった。

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