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ゴースト&レディ 観劇レポ!(2024.8.2 マチネ)

先週、先々週は2週続けて週末を沖縄で過ごし、慶良間諸島の宝石のような海を堪能してきました。海の底は素晴らしい。誰もフライパン使わないし。
余談ですが皆様、涙そうそうの「そうそう」ってどういう意味だかご存知ですか?泣いてる擬音、というのはわかると思うのですが、どれくらいの強度でしょうか。私は歌詞のイメージから「ぽろぽろ」とか「ほろりほろり」くらいの涙かな、と思っていたのですが、うちなんちゅに聞いたところ、もっと号泣する擬音なんだそうです。「ボロボロ」とか「オイオイ」とか。結構ギャン泣きしてたんですね夏川りみ。

というわけで、8月2日マチネの『ゴースト&レディ』が涙そうそうだった件について観劇レポしたいと思います。
※作品の表現に習い「看護婦」等の表記を用いることをご容赦ください。

当日キャストはご覧の通り

以下、思ったこと考えたこと。

◆おばけ!志音フロー
竹芝の秋劇場には谷原志音というシアターゴーストが取り憑いていて、彼女が現れるとその演目は当たると言われているのですが、私も遭遇しまして、まさにおばけとしか言いようのない歌唱と演技を目の当たりにしたのでした...。
冗談はさておき、本当にとんでもありませんでした。志音さんの表情をもっとよく見たくて、今回オペラグラス(双眼鏡)をアップグレードしました。もう目の演技が凄いのなんのって。ぱちぱちさせたりガッと開いたりするのは以前からお見事だなあと見惚れていたのですが、加えて今回思ったのは「この人・・・まさかまばたきのタイミングもコントロールしている・・・?」 譜面に息継ぎ記号(v)を打つように、もしかして台本にまばたきの記号とかあったりします? っていうくらいにパチっとする”間”が美しい。大事な台詞では雑音を消すかのようにまばたきをしない。これは新しく公開された公式プロモ動画でも垣間見れますのでチェックしてみてください。

0:50のとこなんてたまらん。
まばたきコントロール、通称「まぶコン」を使いこなすことは俳優さんにとってさほど珍しくもない基本テクニックなのかもしれませんが、観劇中にこれに気付いてしまった私は、それ以降自分のまばたきを忘れるほど目が離せませんでした。フローは漫画でも瞳の描写が特徴的なキャラクターなので、凄い再現度です。


◆看護婦なんて
フローの家族による、看護婦に対する偏見と悪口がたっぷり詰まった歌。
現代の価値観からするとなかなかに最低な歌詞なわけですが、当時のイギリス上流階級の民からすると至極普通の感覚なのでしょう。むしろフローの方が異端。リアルな時代背景がこの歌によって紹介されているわけですね。目を背けたい歴史でも蓋をすることなく、しっかりと正対しようとする姿勢は嫌いじゃないです。な?うさぎどん。
フローのパパは看護婦を "まともな女はやらない仕事" と一蹴。ひどい。しかし現代、敢えて言わせていただけば、看護師は ”まともな女の仕事”の最たる例かなと。どん底の世間体から、現在私たちが抱く看護師のポジティブなイメージまで改革したフロー(ナイチンゲール)の偉業たるや、改めてとんでもねえなと思い知らされるわけです。
あと、パース姉さん役の俳優さんのお歌が上手い。四季メソッドの力強い発音。緩急◎、ノビ◎、威圧感。グレイに突かれて腑抜けてしまった後の「好きにすればいい〜」も綺麗です。好きですはい。


◆走る雲を追いかけて(クリミアへ行こう)

もはやゴーストアンドレディの代名詞ですね。結局のところ泣くんだこれが。朝ドラ化してくれ。
先日のZIPの特集でジャンポケ斎藤さんが「どんどん熱が!ワァーってなって!」と興奮気味にまとまらない言葉で感動を伝えていましたが、すげえ分かるんです。要はそういうことなんですよね。皆を救いたいというフローの思いが伝播して、周りを巻き込んでどんどん大きくなっていく。ラヴェルのボレロみたいなゾクゾク感があります。
個人的にはディズニーシーのキャンドルライトリフレクションを思い出しました。


◆あなたの物語(ハッピーエンディング)
三途の川を渡りかけたボブをすんでのところで引き留める聖女の救済ソング。「死んじゃだめ」ではなくて「生きなきゃだめ」というメッセージなのがいいですよね。脳科学者の篠原菊紀教授(諏訪東京理科大)によれば、人は「〜しない」という指令よりも「〜する」という指令の方が科学的に有効なそうです。それはともかく良い曲です。
初見の際はイリュージョンに目を奪われてあんまり歌に集中できなかったのですが、今回3度目の観劇、しっかり味わえました。こっちが昇天しかけました。


◆小夜啼鳥(ナイチンゲール)を知る
そういう鳥がいるんですね。さっき知りました。

「あれはナイチンゲールの鳴き声よ。ひばりじゃないわ。」

『ロミオとジュリエット』

原作漫画にも引用されている、ロミオとジュリエット、朝の別れの台詞。
ナイチンゲールは夜に泣く鳥、ひばりは夜明けを告げる鳥。あれはひばりじゃなくてナイチンゲールだから、どうかまだ帰らないでロミオ、という感じなのでしょう。

ナイチンゲールが鳥だと知ったら気付いたことが2つあります。一つはアンフィシアター『美女と野獣』のモーリスの台詞「ナイチンゲールの鳴き声じゃなさそうだ」。飼ってる馬か何かの名前だと思ってました。ひばりとは似ているかもしれませんが、オオカミとは似てなくねーか。

もう一つは、『シンデレラ』の挿入歌「かわいいナイチンゲール」。これも鳥のことですね絶対。フローレンス・ナイチンゲールの幼少期が可愛いとかそういう感じかと思ってました。アホですいません。


◆デオンの怪ダンスの謎を解き明かしたい
表現の意味を知りたい!学がなくて読み解けない!分かればもっと面白くなるんだろうなと思う部分がいっぱいあります。顔を両手で覆って仮面を剥ぐような動作とか、スポットライトがパリコレのランウェイみたいに差すとことか、絶対デオンの壮絶な生前を表現しているんだと思うんですよね。二面性的な?誰か解説してください。

◆パンのノールックパス
「食べ物を粗末にできないから〜」のシーン、フローは手にパンを持っているのですが、このパン、後ろにいる看護団員からノールックパスで受け取ります。ここ好きです。1フレーム技です。真瀬フローはクイクイって指でサインを出して「くれくれ」ってやってました。だからなんだって話なんですけど。良かったら見てみてください。

◆偽善者と呼ばれても(心の羅針盤)
初めて2階席(最前!)から見たので、舞台全体が綺麗に見えて、雪の中の最終決戦シーンがいかに見事な構図で組み立てられているのかがよく分かりました。フォーメーションがシンクロしたり相対したり。フライングも美しい。人智を超えた超常現象感。ミスティックリズムの曲をかけてもいいと思いました。
毎度同じことを書いてしまっている気がしますが、志音フローのこの雪シーンを見るためだけに通ってもいい。それくらいに凄い。人間極めるとここまでできるのかと。オリンピック観てるのと一緒です。

結論!いいミュージカル。
人生に明かりを灯してくれます。
こちらからは以上です。

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