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もう一人のわたし

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地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ず…
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2021年1月の記事一覧

07.甘い酒と苦いお茶---「もう一人のわたし」より

久遠の昔、私たちは宇宙の中心でテーブル越しに向き合った。 丸い机の上にはコップがあり、それぞれ甘い酒と苦いお茶が入っていた。 甘い酒を飲めば、幸せと喜びに満ちた、素晴らしい一生を歩んでいくことになり、一方で苦いお茶は努力と勇気の成分が充実し、一生懸命励まなければならない。 君が辛い目に遭うのを恐れて、私は苦いお茶が入っているコップを真っ先に奪い、たんと飲んだ。 でもしかめっ面になった優しい君も私の不幸を恐れていたので、 暮らしの道連れになってくれることを誓ったのだ。 こうして

06.死を見つめて---「もう一人のわたし」より

B:「もし、わたしがいつか死んだら、きみはどうなるの?」 A:「私たちは元の状態に戻るじゃないの?」 「ほら、死というのは、消滅することではなく、別の状態で生き続けると思うよ。」 B:「本当にそうであるなら嬉しいね。でも、それは誰も知らないじゃない?」 「だって、いったん死んだらそれきりで、あそこにいるとしても、帰って来て死後の世界を語ることはないだろう?」 A:「まあ、理論的にはそうだけど、最近は死後の世界を証明する科学的な実験とかいろいろ進んでいるよ、海外とかでもすごく話

05.夢の中の風景---「もう一人のわたし」より

B:「携帯を手に入れてから、よく夢の中で写真を撮るようになったよ。」 A:「おお、もし夢の中で出会ったら見せてね。」 B:「綺麗な景色、見たことのない色、あと偶に惑星やUFOまで現れたけど、夢ではいつもちゃんと撮れて確認したのに、起きてみれば携帯の中は空っぽ。」 A:「あらら、それは残念。なぜ消えたんだろう?」 B:「うん、だれかがこっそりと消したのかな?あっ、宇宙人かも! 先日夢の中にいたんだ。レンガ屋敷の曲がり角で人の気配を感じたんだ。 誰かがいると思ったら、振り返って見