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もう一人のわたし

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地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ず…
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09.異邦人 ---「もう一人のわたし」より

B:「きみのふるさとの星を訪ねてみたいな。この宇宙を超えた、ものすごく遠い場所にあるけど、一生のうちにたどり着くもんなら、いってみたいな。」 A:「うん、思えば不思議だな。そんなに遠く離れているのに、君とこんな風に話せる。」 B:「奇跡としか言えないね。でもね、実は、淋しいんだよ、たとえ君と一日中しゃべりまくっても。」「特に最近、なぜか涙もろくなっている。ホームシックになったかな?」 A:「えっ!でも今きみは家にいるんじゃないか?!」 B:「そうだよ、パソコンの前で君とこうや

08.カラスと蝉 ---「もう一人のわたし」より

(公園にて。松の木の上で、カラスがカァ-カァ-鳴いている) B:「とても近く聞こえるね。今まで聞こえたカラスの声、これほど響くのあまりなかったな。」 A:「うん、気を腹部に全部集中したような、力強い声だね。」 (木のもっと高いところに、蝉がいた。シ-ンシ-ンと、空を裂けるように音を出した。) B:「あっ、同じ木の上で、今度は蝉だ。」 A:「ええ?でも、見てごらん。」 (蝉が音を出してまもない間に、カラスはぴょんぴょんと、階段をあがるように枝をのぼった。すると、キ--と一音が空

07.甘い酒と苦いお茶---「もう一人のわたし」より

久遠の昔、私たちは宇宙の中心でテーブル越しに向き合った。 丸い机の上にはコップがあり、それぞれ甘い酒と苦いお茶が入っていた。 甘い酒を飲めば、幸せと喜びに満ちた、素晴らしい一生を歩んでいくことになり、一方で苦いお茶は努力と勇気の成分が充実し、一生懸命励まなければならない。 君が辛い目に遭うのを恐れて、私は苦いお茶が入っているコップを真っ先に奪い、たんと飲んだ。 でもしかめっ面になった優しい君も私の不幸を恐れていたので、 暮らしの道連れになってくれることを誓ったのだ。 こうして

06.死を見つめて---「もう一人のわたし」より

B:「もし、わたしがいつか死んだら、きみはどうなるの?」 A:「私たちは元の状態に戻るじゃないの?」 「ほら、死というのは、消滅することではなく、別の状態で生き続けると思うよ。」 B:「本当にそうであるなら嬉しいね。でも、それは誰も知らないじゃない?」 「だって、いったん死んだらそれきりで、あそこにいるとしても、帰って来て死後の世界を語ることはないだろう?」 A:「まあ、理論的にはそうだけど、最近は死後の世界を証明する科学的な実験とかいろいろ進んでいるよ、海外とかでもすごく話

05.夢の中の風景---「もう一人のわたし」より

B:「携帯を手に入れてから、よく夢の中で写真を撮るようになったよ。」 A:「おお、もし夢の中で出会ったら見せてね。」 B:「綺麗な景色、見たことのない色、あと偶に惑星やUFOまで現れたけど、夢ではいつもちゃんと撮れて確認したのに、起きてみれば携帯の中は空っぽ。」 A:「あらら、それは残念。なぜ消えたんだろう?」 B:「うん、だれかがこっそりと消したのかな?あっ、宇宙人かも! 先日夢の中にいたんだ。レンガ屋敷の曲がり角で人の気配を感じたんだ。 誰かがいると思ったら、振り返って見

04.星々の使命 ---「もう一人のわたし」より

~ 地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ずっと一緒だったエネルギーの塊が二人に分かれた。 その瞬間から、対話録が始まった。そして、今も続いている。~ (Bの腫れた両目を見て)A:「おいおい、どうしたんだい?殴り合いでもしたのか?!」 B:「ううん、大切な友人と喧嘩しただけだよ。」 「ある日、綺麗な星に暮らす王子様に出会ったの。 心の奥ま

03.本当の愛 ---「もう一人のわたし」より

~ 地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ずっと一緒だったエネルギーの塊が二人に分かれた。 その瞬間から、対話録が始まった。そして、今も続いている。~ B:「悲しいよう、本当に。」 A:(Bのうんざりした様子を見て)「どうしたの?」 B:「幼い頃とても大切だった、大好きな人がね。」 A:「ええ、その人が、どうした?」(慌てる) B:「家庭

02.If I were you ---「もう一人のわたし」より

~ 地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ずっと一緒だったエネルギーの塊が二人に分かれた。 その瞬間から、対話録が始まった。そして、今も続いている。~ A:「If I were you... ... ねえ、この英語の使い方、おかしくない?」 「私があなたであるなら、がなんで過去形、しかも複数形になっているの?」 B:「それは『私があなたで

01.誕生日 ---「もう一人のわたし」より

~ 地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ずっと一緒だったエネルギーの塊が二人に分かれた。 その瞬間から、対話録が始まった。そして、今も続いている。~ B:「ねえ、きみ誕生日いつ?」 A:「分からないな。そもそも自分に誕生日というもの、あるかな?」 B:「ふむ。じゃ私にも無さそうだね。」 「まあ、どうでもいい。どうせ、この3次元にたどり着