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わたしたちの新しい本

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#盛口満

「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした自然観察者「ツトム」の残したものをたどる。

石垣島に「天文屋の御主前」と呼ばれた気象観測技術者、岩崎卓爾がいた。本書の主人公「マサキツトム」はその教え子で、虫の本を出すことを夢見ながら、昭和18年に35歳で命を落とした。 「ゲッチョ先生」の呼び名で知られ、昆虫や生き物に関する著書を多数あらわしてきた盛口満が、「ツトム」の息子である譲さんとの出会いを通し、その足跡と彼が残したものをたどる。 〈さて、1943(昭和18)年、敗戦2年前のこの年に、「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした一人の人物がい