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わたしたちの新しい本

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2021年12月の記事一覧

「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした自然観察者「ツトム」の残したものをたどる。

石垣島に「天文屋の御主前」と呼ばれた気象観測技術者、岩崎卓爾がいた。本書の主人公「マサキツトム」はその教え子で、虫の本を出すことを夢見ながら、昭和18年に35歳で命を落とした。 「ゲッチョ先生」の呼び名で知られ、昆虫や生き物に関する著書を多数あらわしてきた盛口満が、「ツトム」の息子である譲さんとの出会いを通し、その足跡と彼が残したものをたどる。 〈さて、1943(昭和18)年、敗戦2年前のこの年に、「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした一人の人物がい

沖縄でレストランを開いた南米移民の子孫たち。異文化での奮闘と知られざるファミリー・ヒストリー。

アルゼンチン・ペルー・ブラジル…… かつて沖縄から、多くの人々が南米に渡っていった。 その流れをくむ子孫たちが 沖縄に〈帰って〉きて、どんなふうに暮らし、生きてきたのか。 『彼らは、なぜ日本に、いや沖縄に来たのか。沖縄での生活は、そしてレストラン経営に至るまでのストーリーを聞きたくなった。取材をお願いすると、皆、多忙でありながら、開店前あるいは開店後に時間を取ってくれた。時折スペイン語、あるいはポルトガル語が飛びだすが、日本語と沖縄方言を織り交ぜながら雄弁に語ってくれた。そ