Marinaの英会話講座#3.「ユーモアはマナー
「英語で留学生と話している姿を、気になるあの子に目撃される」という不純度100%の動機で、ロシア語に続きMarinaから英会話を習い始めたYuji。
前回(Marinaの英会話講座#2.)から2ヵ月程で「表現力」をマスターし、4行程度ならネイティブとそん色ない発音ができるようになっていた。
5回目だったか6回目だったかのレッスン中、私が「できれば英語でジョークを言って笑わせられるぐらいになれるといいな~」と言うと、彼女はこういった。
「Yuji!それは違うわ。ユーモアはマナーよ。」
それでは、MarinaとYujiの英会話講座#3のはじまりはじまり・・・
* * *
Marina「Yuji!それは違うわ。ユーモアはマナーよ。コミュニケーションのお作法。ちょっと大事な話だから、今日はこの話をしましょう。」
モデルとして世界で活躍するマリナのことだ。16歳にして、既に色んな人と話をしてきたことだろう。
そういった人達との経験の話をしてくれるのかな・・・と思っていたら、彼女はなんと、エストニアの歴史から話し始めた。
13世紀頃からエストニアはスウェーデン・ドイツ・デンマーク・ロシア等から独立を求めて戦い続けてきた国らしい。
今のエストニアという国家ができたのは1991年。私が9歳、Marinaが5歳の時に誕生した国だ、という史実に衝撃を受けたことを覚えている。
Yuji「うん、覚えてるよ。先月史跡に連れて行ってくれたよね。」
Marina「そう。エストニアは小国で常に外部の侵略に見舞われてきたから、国民は外部権力に取り入る方法、そして外圧との交渉力が求められたわ。だから、多くのエストニア人は数カ国語を話すの。」
コミュニケーション能力。
・・・それは、小国に産まれた国民の生存戦略の一つ。
私はこの話を聞きながら、とんでもなく恥ずかしくなった。
かたや、生存戦略として語学を身につけているエストニア国民。
かたや、「英語話してるオレをあの子に目撃されたいな、えへえへえへ」というちょっとアレな私。
Yuji「なんだか自分の目標が恥ずかしいよ。」
Marina「もっとも、当の私達は別に『生き残るために、必死になって語学をやってやる!』なんて悲痛な思いはこれっぽっちもないわ。
感覚としては、あなたと同じで「喋れたら格好いい」「キャリアに役立つかも」ぐらいのものね。
でも、色んな国に行って思ったけど、強い外圧や外交をそこまで必要としない国の国民は、話せる言葉の数が少ないのを見ると、やっぱり歴史って関係あるのかな~って思うの。
きっとコミュニケーションを取るための語学学習の智恵が、文化として受け継がれてるんだわ。今の時代に産まれた私としては、ラッキーね。
あと、Yujiの目標だって、ある意味立派な生存戦略じゃん。笑」
Yuji「まあ・・・本能に忠実というか・・・」
Marina「同時に、エストニア内部の国民は団結していたわ。なので、私達は国民同士と、外部の人とのコミュニケーションの取り方には違いがあったの。きっと日本でも一緒。」
驚いた。「うち」と「そと」の概念が、エストニアにもあったのだ。
曰く、こういうことらしい。
国内では、「既に作られた空気感」があるため、「空気を壊さない」、つまり「空気を読む」コミュニケーションが重視された。
だが、外部とのコミュニケーションでは、最初から「分断」しかなかったため、「一体感を作る」コミュニケーションが重視された。
彼女はこう言った。
Marina「分かる、Yuji?内部にとっては『空気を読む』のが大事でしょ?そして、外部とのコミュニケーションでは『空気感を作る』のが同じぐらい大事。」
Yuji「うん、理屈は理解できるな・・・。」
Marina「違うの、Yuji。
こう言えばもっと分かりやすいかな。
「英語を使う環境で【ユーモアがない】という状況は、あなたたちにとっての【空気を読めない】のと同じぐらい致命的にヤバい」ということが言いたいの」
英会話では、ユーモアが無いのは空気が読めないのと同じぐらいヤバい。
考えもしなかったことだ。
自分の周りにいる外国人たちを数人思い浮かべてみた。
確かに、彼らはなんだか陽気で、冗談とか言って笑い合っている。
「そういうのクールだな」ぐらいにしか思っていなかったが、考えてみれば、ほぼ全員がユーモアを大事にしている。
冗談を言わない感じの外国人もいるが、なんだかそういう人は仲間の輪から外れているような、、、
日本人で空気読めない人が疎外されるのと似たような状況だった、ということだ。
Yuji「・・・生きるハードル高くない???え、関西人?」
Marina「ね~。笑 でも安心して!ユーモアは別にその冗談そのものが楽しくなくたって良いの。
さっきも言ったでしょ。ユーモアはマナーだって。」
Yuji「どういうこと??」
Marina「相手の人が、『ああ、この人は冗談を言っているんだな』と理解してくれれば、それでユーモアは成立するってこと」
Yuji「つまり、『※これは冗談です』ってことが相手に伝わればいいってこと?」
Marina「トーチナ!(ロシア語で「その通り!」)それさえ伝われば、相手は必ず笑ってくれるわ。だって、笑うのもマナーなんだもの。」
Yuji「え、なんか嫌だな。面白くもない冗談に笑ってもらうんでしょ?」
Marina「でもそんなこと言ったら、日本語の「マタネ~」って別れる時に言うけど、「もう一度会いましょう」という意味で言ってないけど、お互い「マタネ~」って言うでしょ?
あとなんだっけ、私は経験しなかったけど「今度飲みに行きましょう」「はい、ぜひ」っていうやつ?」
Yuji「あ~。確かに。そっか、本当に「マナー」なんだ。
『またね~』に対して『いや、実際問題また会うか分からないですけど(真顔)』とか返すのは、なんというかコミュニケーションがスムーズじゃないって感じるかも」
Marina「そうそう!その通り!マナーなの。」
Yuji「ユーモアはマナー・・・。」
Marina「うん、必要よ。でもさっきも言ったように安心して!外部とのコミュニケーションのユーモアなんて、テンプレでなんとかなるから。」
Yuji「え!!そうなの!それ早く言ってよ、知りたい!!」
ジョークのテンプレ
Marina「テンプレはいくつもあるけど、一番簡単なのは、『何事も大げさに言う』ってやつだわ。」
Yuji「ほうほう」
Marina「昨日、Yujiの中でネガティブな感情が動いた瞬間を思い出してみて。」
Yuji「うーん。電車が事故か何かで、なかなか来なかったことかな」
Marina「おっけー。じゃあストーリーは『長い時間待った』ってことね。」
Yuji「うん。(どうやったらこれが冗談になるんだ・・・?)」
Marina「この中で、何かを【大げさ】にするの。例えばYujiが待った時間が30分なら、それを1000倍にしてみる。あるいは、距離で表現してみる。
そうね、例えばこんな感じ。」
どう?これなら少しはできそうでしょ?」
Yuji「え、ごめんこれの何が面白いの??」
Marina「面白い風に言うの!!私だって笑いを期待していたら、こんなの面白いって思わないわ。会話で不意に出てくるから楽しいのよ、きっと。」
そんな話を聞きながら、私は昔聞いた「エレファント・ジョーク」を思い出していた。
当時の感覚としては、私は「なんかやたら陽気なアメリカ人が絡んでくる」というものだった。
だが、この話を聞いて私は「どちらかと言えば自分の礼儀がなってなかった」と気づくことになった。
また、このエレファント・ジョークにもまた「程度の大きさ」「発想の転換」のようなものが隠れていることに気づいた。
そんなことを考えていると、Marinaが宿題を出すという。
Marina「ということで、ミスター・ヒデムラ。あなたの来週の課題は【ユーモアを作る】事よ。
書いてもらった英語の台本あるわね?この台本の中を注意深く見て、無理やりでもいいから冗談を作ってみて。大丈夫。感情が関わるところ」
Yuji「それならできそう!」
Marina「この、【普通の文章を冗談風に変換する】という行為に慣れるのが大事。最初はゆっくりでも、慣れて行くうちに、会話の中で使えるようになっていくわ」
そうか、言ってたな。英語は口を使ったスポーツって。ここでも同じなんだ。
* * *
いかがでしたか?
英会話では、ユーモアが無いのは空気が読めないのと同じぐらいヤバい。
このことを知ってから、私は英語が話されている場の輪に加われることが多くなっていきました。
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