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JRA理事長の功罪は?⑨

昨日は忙しくて記事を書く時間が取れなかったため、中途半端なところで終わってしまいました。ホントは昨日で終わる予定だったんですよ。ホントのホントのマジで。ただね、ジャパンCが長くなったのは否めない。馬場問題は拒否される大きな理由ですけど、香港に奪われているのも確かなんですよね。昨日の記事の表を見れば一目瞭然ですし、国際招待競走の地元馬の出走頭数が全体の7割を超えるって・・・ねぇ?昨年やっと問題だと気付いたとかのレベルじゃないですよ?そりゃ言わないとダメですよね。言っても変わらないと思いますが、言わないよりマシですからね。

そういう心構えで今日こそは終わらせましょう。
そろそろ開催日割の変遷をやりたいんだ。

2020年(令和2年)
2月 ジャパンCに参戦した外国馬の褒賞金を一部変更
3月 弥生賞の名称をディープインパクト記念に変更
8月 暑さ対策で小倉競馬を休止に
9月 馬場情報の追加【芝馬場のクッション値】

はやり病の影響で、JRAでは2020年3月(正確には2/29)から無観客競馬を続けています。これは難しい判断ですが、ただ無観客にするのではなく、グリーンチャンネルを無料開放して、今までなかなか手を出せなかった午前中のレースに注目してもらう対応は、売上をほぼ横ばいに維持するという見事な結果に導きました。

残念ながら、半年が経過した現在でも無観客競馬が続いていますが、それについて悲観的な感情を持つファンはそう多くないのではないでしょうか。ネットなんか絶対無理だと嘆くおじいちゃん達でも、子供や孫の手ほどきを受けてPATに加入し馬券を買っているのだから、褒め称えないといけませんね。こういう馬券中毒者がいらっしゃるので面白いオッズが成り立っているわけですから。

一応、8月には新潟競馬から観客を入れるよって発表もあったのですが、はやり病の第二波が襲ってきた影響で撤回せざるを得ない状況になりました。結局、第4回中山、第2回中京が終了するまで継続する事になりましたが、第三波への警戒も考えるのであれば今年はもう無理かなぁ。せめて有馬記念には観客を入れて欲しいところですが、まだまだ様子見ですね。


続いて、8月の開催日割を再変更しました。例年8月は新潟、小倉、札幌で開催されるのですが、2020年東京五輪の影響で馬運車が確保できない暑さ対策として7/25からの第2回小倉を3週間休止とし、同日からは第2回新潟、第1回札幌のみで開催する事としていました。ちょうど五輪期間中は開催を縮小する形になりましたね。

その後、五輪のマラソン競技が猛暑の東京で行われる事にIOCからダメ出しがあり、急遽開催地を札幌に変更された事に伴い、2019年12月にはその期間に行われる札幌競馬を函館競馬に変更します。ところがどっこい、はやり病の影響で東京五輪が延期されるとこれ幸いとばかりに、同期間の開催を再び函館競馬から札幌競馬に変更します。これにより、当初の予定通りの開催日割となりましたが、随分振り回された格好ですね。

この流れを見るとJRAは大変でしたねって感想が出てくるのですが、私は思うのです。ちょっと待てと。そもそも第2回小倉を休止する必要はあったのか?仮にあったとしても、それに適切に対応できる方策を用意していたのか?ここが問題ですよね。

今夏の新潟競馬、札幌競馬では様々な不満が出ていましたが、最も多いのが新潟競馬に出走馬が集中する問題です。二場開催になる事に伴い、新潟競馬では自ブロック制限が無くなったので関東馬は優先して出走する事はできなくなりました。こうなるとただでさえ強い関西馬が関東馬を蹂躙するのは目に見えています。現に二場開催だった3週間の新潟競馬とその後の三場開催における新潟競馬の勝利数を比べてみると良く分かります。

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このように、二場開催の関東馬はボコボコにやれていますね。小倉競馬が始まった三場開催になると多くの関西馬は小倉に向かいましたので、正反対の結果となりました。これでは関東の関係者はたまったものではありません。また、競走馬だけではなく、騎手においても同じような結果が見て取れますです。

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二場開催時の関東騎手は、低調ぶりが際立つ結果となりました。関西馬が多ければ関西騎手も多くなりますし、関西馬多く勝てば関西騎手も多く勝つのは至極当然の事でしょう。

もちろん、これ以外にも入厩検疫の問題もあります。レースに使いたくても入厩検疫の枠が取れないので出馬登録すらできないという問題ですね。矢作先生のコラムによれば、8月末から継続的に検疫頭数を増やす事が発表されたようですが、今さら感もありますし、対策できるならもっと早くできなかったのかと思います。

ただ、ここの枠を大きくすればするほど外厩の力は増します。私個人はトレセンで馬を鍛えてレースに使うもんだという考えなので、調教師の手の届かない場所で調整された馬を頻繁に入れ替え、そこから得られた評価が調教師に行くというのは問題だと思うのです。ただのエサやり係かと。100歩譲って外厩で馬を鍛えるのは良いとしても、トレセンでの調教師の仕事を奪う形になっている現状では、調教師をどう評価していいか分からんでしょう。レース直前に入れ、レース後すぐに出し、馬の調整もろくにしない。騎手も自由に選べない状況で、調教師の仕事って何ですか?と思うわけです。そのため、改善は必要だが、大幅な改革を・・とは思わないのですよ私は。

さて、ここまでの状況を見て、五輪対策暑さ対策をする必要があったのでしょうか。また、それらの対策に効果はあったのでしょうか。五輪対策については100年に1度あるかないかの問題ですので、適切に対処できなくても仕方ない部分はあります。しかし暑さ対策は今に始まった事じゃありません。新潟競馬場では開幕週はともかく、梅雨明け以降の2週目、3週目はとてつもない猛暑でしたよ。藤懸でしたっけ?レース後の検量室前で倒れたのは。あれ熱中症だったと本人が話していましたよね。たまたまレース後でしたけど、レース中に減量中の騎手が熱中症で意識失ったらどうなると思います?多頭落馬どころじゃなく、死亡事故に繋がりますよ?

そう考えたら暑さ対策は失敗と言えるでしょう。一人でも感染者が出たら失敗と言われるのと一緒です。はやり病は不可抗力の部分が大いにありますが、熱中症はいくらでも対策できるのだから。JRAの施策は目星の付け所が悪いか、付け所は良いが対策が甘いかのどちらかしかないのですか?

本当に暑さ対策をするなら、8月上旬~中旬の2週間は全ての競馬を開催休止にして、その6日間を他に振り分けるくらい大胆な方策を取らないと解決しないですよ。例えば、今年休止した小倉競馬はその分を1月に振り替えていますよね。札幌競馬だって2011年までは9月末まで開催していたので延ばす事くらいできますよね。何なら函館開催を1週早く始めても良いのですよ。新潟競馬は秋のローカル開催、あるいは春の第1回新潟に1週ずつ渡してもいいのだから。

こうすると一年中休みの無い日本競馬関係者は一休みが出来ますし、JRA職員の働き方改革にも繋がり、猛暑の中の競馬という主催者、関係者、ファンのみんなにリスクのある開催を避ける事ができます。こういう方策をリスクヘッジというのではないでしょうかね。三場中、一場だけ開催しません⇒暑さ対策です、なんてアホな考えが通用すると思っているのであれば、理事長はおろか理事全員は猛省するべきでしょう。

それから札幌競馬においても、はやり病の影響で裏函が無くなり、その影響で調整が非常に困難になっているとそうです。札幌開催時の函館競馬場は、準トレセンのような形で活用されているのは周知の通りです。函館競馬場にはウッドチップコースがありますし、比較的札幌より涼しく海の側で騒がしくない環境で、調整にはもってこいなんですよね。例年、札幌と函館で馬房を使い分けながらうまく調整をしていたのですが、今年はそれが利用できなくなったため、札幌競馬の出走頭数は減少しています。これまでの12日間の出走頭数を以下のように分類してみました。

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これを見ると前年には見られなかった6頭以下のレースが激増しているのが分かります。また、7~8頭以下のレースも倍増していますが、13頭以上のレースは2割前後の減少幅が見られ、出走頭数も例年に比べて1割ほど減少しています。これは裏函の休止が影響している事は間違いないでしょう。

北海道シリーズにおいて、入厩検疫と裏函の問題は非常に大きな問題です。個人的には、いっその事、函館競馬場を移転した方が良いと思いますね。函館空港の北東部、亀尾町や旭岡町、米原町辺りの人口が少ない場所なら、はやり病がどうたらとか言われませんし、競馬場自体を少し大きくしてマイルが施行できるようにしたらサマーシリーズにも使いやすいですよね。

もしくは函館競馬場の出張厩舎のみを移転するとか。出張厩舎を潰して競馬場を大きくして、普段の調教は上記の町周辺に新たに作った調教施設で行っても解決できそうです。結局、対策が後手に回っている現状のままで良いとは思いませんし、長年続く問題も一緒に解決できるのであれば、こうした方法を考えても良いと思います。


そして最後になりましたが、2020年9月から【芝馬場のクッション値】が馬場情報に追加される事になりました。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

ついに公式に認めた!馬場情報を公開へ!
https://note.com/boost_quinty/n/nef93f53cf818

まぁ簡単に言うと、コンクリ馬場、堅い馬場という非難を公式に認めるという事なんですが、海外と比べてどうかという点が一番のポイントではないでしょうか。やはりジャパンCを初めとして、日本競馬に外国馬が出走しない理由が馬場にあると耳にタコができるくらい言われていますので、これを参考にして諸外国と比べてそこまで大きな変化はないよって事をアピールしたいのでしょう。

ただ、これはJRAが馬場を変えるつもりはないという意思の表れでもあるのです。本来であれば、欧州競馬に倣って生まれた日本競馬が目指すものは、競馬の本場、欧州競馬で好成績を残す事なのですが、現状の欧州競馬における日本馬の成績が悪化している点から目を逸らし、ただハードだけを整えてタイムが速いから俺らすげぇだろって言ってるだけですからね。いつまで経っても世界に追いつけないわけです。

国内に居ても世界を知る事ができるチャンスであるジャパンCにはろくな外国馬を連れて来れず、どんどんと欧州とかけ離れた馬場を作り、その馬場に適した馬ばかりを生産して持て囃し、挙句の果てにそれは問題ないのだと胸を張る。これで世界に追いつけるわけが無いのですよ。最新鋭の馬場=海外で勝てる馬場じゃありませんし、諸外国と比べてあまりにも違う物のであれば、それは日本競馬がガラパゴス化していくだけです。井の中の蛙で良いのかと言う問題に繋がるのですよ。このグローバル化した世の中で、競馬界だけが取り残されていいのでしょうか。

海外遠征御用達の森先生のように、様々な条件の競走に積極的に挑戦する事で見えてくる部分は沢山あるはずです。しかし、判を押したように凱旋門賞にのみ挑戦し、他の海外競走と言えば歴史の浅いドバイと香港のみ・・もっと海外に飛び出すべきですし、それを後押しするのがJRAの仕事でしょう。変えてはいけない部分と積極的に変える部分を間違えてはいけないのです。


さぁこれで言いたい事は言いました。現在のJRA理事長が就任してから、これだけ多くの変化がありましたが、私に言わせればほとんど必要の無い変化でしたね。もちろん嬉しい変化もありましたが、それ以上に目先の事だけというか、問題の先送りというか、ここまでアホな施策を並べられる理事長をただただ残念に思います。

任期はいつまででしたっけ?令和2年9月11日という事は・・・あれ?来週の金曜日までですか?うぉぉぉぉぉ!!最近のニュースの中ではトップクラスに嬉しいニュースですよ!!やっと解放されるのですね。助かったぁホントに。

もうわがまま言いません。次は農水省の天下りで結構です。余計な事をしない、させない人が理事長になって下さい。もしくは、今までの施策を全て改善できる豪腕の方が理事長になって下さい。競馬ファンはそんな人を待ち望んでいるのです!!

長々と書いてきましたが、かれこれ2週間も続きました。最後までご覧頂いた方には感謝しかありません。同時に本当に申し訳ありませんでした。こういったシリーズについては、できるだけプロットを用意してから臨むことにします。次回は、開催日割の変遷について書きたいと思いますが、できれば中山開催までにアップできたらと思います。

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