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油断大敵の坂井瑠星、青息吐息の西村淳也

先週土曜の函館新馬は、坂井瑠星鞍上のカイザーノヴァが勝ちました。同馬の父は鳴り物入りで登場したにもかかわらず既に失敗烙印を押されかけているモーリスであり、嬉しい初勝利となりました。

レースは、良いスタートを切ったものの行き脚が付かずに後方に置かれ、13頭立ての4角9番手という苦しい展開ながら、直線を向くと鋭く伸びて一気に先団を飲み込み1着でゴール。良い切れ味を見せた同馬は連闘で函館2歳Sに挑戦する可能性があるそうです。

ところがレース後、4角において同馬の外に居たサンダナポイントを2度も弾き、バランスを崩したとして坂井瑠星に実効4日の騎乗停止処分が下されました。その時のPVを見てみると、思った以上にぶつけていますね。ただ、騎手というより、馬自身が外に向かっているようにも見えますし、新馬なので4日は厳しいなぁという印象があります。

まぁその場面は騎手なら誰でも外を空けに行きますし、行かなかったら勝つどころか掲示板も難しい状況でしたから、騎手としての選択は間違ってなかったと思います。御しきれなかった点は反省し、今後こうした状況にならないように対処する事を心掛けてもらいたいですね。

にしても、坂井瑠星の評価は二分していますね。ジャパンダートダービーでJpnⅠ初勝利を挙げた直後に騎乗停止ですから、『調子乗んな』とか『浮かれているからだ』などという非難もあれば、『騎手としては勝つためにやる事やった』、『結果として勝ったから良し』という意見もあります。失敗の烙印を押されかけているモーリス産駒に初勝利をプレゼントした事で、某大手馬主グループから感謝(優遇)されるのでは?という意見には、そういう見方もできるのかと感心しましたが。

何にせよ、坂井瑠星は若手騎手の中でも1,2を争う騎手ですし、それに相応しい結果も出してきました。北海道シリーズでは、4週間で1勝しか挙げられませんでしたが、先週は3勝を挙げています。勢いに乗りたいところでの騎乗停止は痛いですが、処分が始まる来週以降は新潟と札幌の二場開催ですので人も馬も集中します。そうした時に休めるのは、むしろプラスになるんじゃないかと思いますが、まぁミスはミスとして反省し、謙虚な姿勢で次に繋げてほしいですね。

一方、次期ローカルの帝王こと西村は、中央四場の進出を目指して6月から阪神で騎乗を続けていますが、先週までの一ヵ月半で2-3-4-70、勝率2.5%、3着内率11.3%という散々な成績です。5月までの30-36-24-252、勝率8.7%、3着内率26.3%からすれば何があったんだ?と思う方も多いでしょう。

今年のローカルでは小倉で11勝、福島で11勝と例年以上のペースで勝ち星を積み上げていますが、中央四場の勝ち星はわずかに5勝、累計でも16勝に止まっており、先日の下記の記事でも触れたとおり、現状ではローカルでしか使えない騎手の烙印を押されかけていると言っても過言ではありません。
『明暗分かれた若手騎手』
https://note.com/boost_quinty/n/n9a2b522978a9

そんな青息吐息の西村ですが、先週土曜のメインレースをタガノアスワドで逃げ切り、JRA通算100勝を達成しました。リーチをかけてから3週間も掛かりましたが、98勝目が5/10だった事を考えると随分時間が掛かったなぁと思います。しかし、それが今の西村の実力です。

確かに今年のローカルでは若手騎手の隆盛が著しかったですし、西村自身も2年目のジンクスを物ともせず、大幅に勝ち星を伸ばした上で突入した3年目でした。ローカルではかなりの待遇で、当然とばかりに勝ち星を量産しましたが、それはあくまでローカルでの話です。私も過去に指摘しましたが、リーディング上位や一流騎手が跋扈する中央四場で同じ事ができるかと言ったら、それは難しいでしょう。現にあれだけローカルでガシガシ稼いだのに、中央四場に来た途端コレですからね。

傍から見ると、福島リーディングを取るなどローカルで大活躍をし、5/10の勝利で減量が取れて勢いのある若手が、その直後に2週間の騎乗停止処分を受け、戻ってから意気揚々と中央四場に挑戦するも返り討ちに合い、残り2勝だったJRA通算100勝に一ヵ月半も掛かってやっと達成するという体たらくですから、調子に乗ったのか?と思う部分も無きにしも非ずといったところでしょうか。

GⅠをはじめとした重賞にも挑戦していますが、人気薄で先手を奪って3着に残るのが精一杯であり、特別戦の勝ち鞍もローカルばかりで、先週の勝利が今年初、通算2度目の中央四場での勝ち鞍でした。これでは期待する方が痛い目を見ますね。ちなみに昨年末に勝った阪神の千両賞は2歳戦なので、古馬の中央四場の特別戦は今回が初です。

彼はデビュー早々にフリーになったためか、トレセンでの活動は目を付けられているフシもあり、トレセン以外での活動に力を入れて騎乗馬を確保しているという話を聞いた事があります。いわゆる外厩に出向いて顔を売るという事ですね。しかし、それで馬を回してくれる組織や人脈は成績にシビアですから、悪いところが重なれば一気に騎乗馬を失う事になります。そうした時に助けになるのがトレセンの人脈ですが、1年そこそこでフリーになった彼に、中央四場で返り討ちにあった彼に、いったいどれだけの人が手を差し伸べるのでしょうか。そこを理解する必要があったのかなと個人的には思います。

何にせよ、坂井瑠星も、西村も、若手の内は謙虚と誠実さが大事です。成功は皆で喜び、失敗は責を負って反省する。そうした姿勢が輪となって人脈に繋がるのです。今後の活動に期待しましょう。



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