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なぜ私は川田将雅が嫌いなのか?

ちょっと川田関連の情報がちょいちょい多くなってきたので、昨年5月に書いたゲート入りの際は黙れという記事以降にあちらこちらに書いた内容をまとめてみました。そして、今回また川田について懸念していた点が的中した点を合わせて書きます。少々長くなりますが、どうぞお付き合い下さい。


◆2023年5月21日
オークスの最終追切後に行われた共同会見において、リバティアイランドに騎乗する川田が観客に対するお願いとしてこんな事言いました。

ファンファーレが鳴って皆さんが盛り上がり、最後の馬がゲート入りするところでまた盛り上がる形に。以前であれば、ゲートが開くまで我慢していただいていたところですので、スタートを切るまではもう少し、あと2秒ほど声援を我慢していただき、ゲートが開いてからは全力で盛り上がっていただければ


簡単に言えば、スタートの邪魔だから静かにしてろって事なんですが、個人的にはそれはどうなの?と思います。もちろん、何様だ!!とまでは思いませんが、それを言い始めたらあらゆる事まで配慮をしなければならないって話になるため、簡単にそうですね、そうしますか、とは思えないのです。

はやり病下の競馬が長く続いたため、静かに自分たちの競馬ができる環境が当然とか思ってませんかね川田君。もちろん、私が嫌う大久保正陽元調教師のように「強い馬はどんな条件でも勝つもんだ」とまでは私だって言いません。しかし今回の話はその前提となる部分ですよね。ゲートイン前のファンファーレと手拍子、大歓声は全馬が等しく同じ条件であり、彼の馬だけが特別ではありません。

もし仮に強い馬を負かすために、強い馬が万全で走れないような状況を求める弱い馬が居たらどうです?その馬に騎乗する騎手が「大声援はこの馬の力になるので返し馬から目一杯声援を送ってください」と言ったらどうです?観客に対して自分に有利な状況を作るようにお願いするのは川田君もその騎手も同じですが、自分とは真逆のことを言うその騎手に対して、そんなこと言うな!!(俺の馬に不利だろ!!)と恫喝します?しませんし、できませんよね。そう考えれば今回の川田君の発言は非常に独善的だと思います。


また、競馬が賭博、競馬場は鉄火場という認識の昭和の時代から、JRAが平成の時代を使って家族でも女性でも楽しめる大衆娯楽まで昇華させて久しいです。その間に、勝負に徹する勝負師のような騎手や調教師は居なくなってしまったのでしょうか。スポーツとしてクリーンに乗ればいい、騎乗馬の力を発揮できれば勝敗は二の次、といった考えが浸透してはいませんか。

めちゃくちゃ強い1番人気の馬を潰しに行かない、進路を簡単に開ける、派手なアクションで不利をアピールする、そんな競馬は日本競馬はガラパゴス化していると揶揄される一因になってませんか。


かつて武豊が原案を手掛けたダービージョッキーという漫画ありましたが、その中で似たようなことを言うシーンがありました。名脇役の財津騎手が、プレッシャーに押しつぶされそうな主人公に相談を受けた時のことです。

『(主人公は)ヤジ、罵声を飛ばすお客さん、そうした〝プレッシャー〟などないほうがいいのか?では、その〝プレッシャー〟をなくすためにはお客さんが居なければいいな・・・ところで、想像してみてほしいが、お客さんの居ない競馬というのは、どんなものかな?』

『(主人公が1着でゴールした時、誰も居ないスタンドを想像して)それは・・・あまりにも寂しい。何かが・・・いや、何もかもが欠落しているな・・・』
(第216話より引用)

まぁ伝えたい中身は違うのですが、このシーンは特に印象に残っていて、今回の件を聞いてパッと思い出しました。図らずもはやり病が広まったために無観客競馬が長く続きましたが、その間の競馬はどうだったでしょうか。観客の声援も無く、わずかな関係者とテレビカメラ相手にガッツポーズを決める競馬は、川田君が志した競馬の姿なんですかね。


日本競馬はギャンブルとスポーツが両輪となって発展してきた稀有なものであり、その日本競馬が長年紡いできた歴史、文化、伝統の一つが、GⅠファンファーレでの手拍手と大声援ではないですか。それをするなというのは「日本競馬の歴史、文化、伝統を蔑ろにする」という意味に捉えてしまうのです私は。馬を言い訳にするなよ、と。

競馬において最も重要なのものは伝統と格式です。長く同条件で連綿と続いてきたレースに伝統と格式が備わり、だからこそそうしたレースに価値があるのですよ。GⅠファンファーレも手拍子もウイニングランへの大声援も、それと同じです。繰り返しになりますが、それら全ては日本競馬が紡いできた歴史、文化、伝統です。日本人騎手の現役最高とも言われる川田君には、そのことをもっとしっかりと理解してもらいたいですね。



◆2023年5月27日
先週のオークスはリバティアイランドが6馬身差の圧勝劇を見せました。現地の記者の話によれば「GⅠのスタートとしては今までにないほど静かだった」ということですが、川田君はこれで満足なんでしょうねぇ。私個人は八百長に近いと思っているのですが。

翌日以降の報道は、軒並み川田君の言い分を正当化するものばかりでした。競走馬にとってはプラスだから正しいんだ、と。私にはそれが違和感と言うか、嫌悪感というか、同調圧力が掛かった、周りに迎合するような記事に見えて仕方がないのです。0か100でしか語れないのでしょうか。

確かに「フェアな競走をする=全馬が不利無く全能力を発揮できる競走をする」ということを求めるのであれば、川田君の言い分は正しいと思います。しかし、ここは日本で彼らが行っているのは日本競馬です。世界中で行われている競馬の中で、最もギャンブルとしての側面が強いのが日本競馬だと思います。

その観点からすれば、関係者が特定の馬が有利になるよう第三者に依頼をする行為は八百長と言って差し支えないと思うのです。見方を変えれば、その発言により彼の馬はリスクを減らし、メリットを享受したわけですからね。また、それは他馬にとってメリットである場合もありますが、当然デメリットである場合もありますし、メリットが無く、デメリットでしかないという場合もあります。

簡単に言うと、彼の発言で全馬にメリットがあっても強い馬のリスクが減るため、弱い馬からすれば勝つ可能性が低くなるデメリットがありますし、また、強い馬にメリットがあって弱い馬にメリットが無ければ論外です。この発言により、強い馬がイレ込んだり、出遅れたり、ストレスを抱えて本来の走りができなくなる可能性が低くなれば、弱い馬は大歓声でヒヨるという万に一つの可能性に賭け、そこに付け入る隙を見出すことはできません。

これが公正競馬なんでしょうか。


公平な競走ではあると思いますよ。全馬が不利無く、力と力のぶつかり合うレースができる可能性が高くなるわけですからね。ただ、公正競馬ではありません。パドックや返し馬、枠の内外、ファンファーレからの拍手、歓声、ゲートの先入れ後入れ、何がどう出走馬に影響するか分からない以上、全馬が与えられた状態で走るのが公正競馬であって、アレはOK、コレはダメなどと言ったらキリがありませんし、自分に都合の良いことを主張していいならそれが対立してレースが成立しないでしょう。

弱い馬は強い馬に勝つために、必死に作戦を練ってレースに挑みます。強い馬に楽な競馬をさせないように、力を発揮させないように、知恵を絞って戦うのです。それをレース前からブチ壊す発言なんですよ川田君の発言は。例えば甲子園で送りバンドすんな、盗塁すんな、変則シフトすんな、力と力がぶつかり合う勝負をしろって言うのと同じなんですよ。フェアだからいいよねってさ。

それに加えて、先週(5月21日)この書いたようにファンファーレも大歓声も日本競馬の歴史と文化と伝統です。競馬において最も重要な伝統と格式は、そうした積み重ねから生まれるのです。天下のリーディングジョッキーが、それをないがしろにしないでもらいたいですね。BCとドバイWCを獲って、調子乗ってるように見えちゃうんですよ私には。

まぁファンの間でも、関係者の間でも、賛否があると思いますし、様々な意見があると思いますが、完全にタイミングが悪かったですし、手段も悪かったですね。やるなら《騎手会の総意としてJRAに具申する》ところから始めるべきでしょう。ましてや騎手会では関西の支部長どころか《副支部長ですらない川田君が勝手にファンに要請した》わけですから、越権行為とも言えますし、独善的とも言えますからね。



◆2023年5月30日
オークスでの発言がアホなマスメディアなどで持て囃されていますが、ああいう八百長紛いのことをしないと勝てないんでしょうか。馬のためだとか、出遅れの無い公平な競走を、とか色々言われますが、オークスよりかなり静かだったダービーは綺麗なスタートどころかチャカチャカした馬あり、出遅れあり、落馬あり、接触ありのバラバラのスタートでしたよね。歓声を静かにする意味がどれだけあります?

たまたまリバティアイランドが強くて、たまたま上手いことスタートが切れたオークスだけを見て、彼の発言が正しかったというのは短絡的過ぎますし、木を見て森を見ずになってませんか。上半期はあと2戦GⅠがありますが、そこでも同じようなスタートなら川田の発言は自分の馬のための発言と捉えられても仕方ないと思いますよ。

中日スポーツによれば、

ゲート内は競馬を行う上で最も危険な場所。そこで大歓声が耳に届けば、興奮して立ち上がったり、くぐり抜けようとしたりする馬が出てくる。大きな事故が起こるかもしれないので、JRAとの話し合いを重ね、その上で日本騎手クラブ会長である武豊に相談を持ちかけ、許可を得て、あの発言に至った。

とのことですが、これも後付けで出した言い分っぽいですよね。だったら騎手会からのお願いという形で、武豊会長の名前で要請するのが組織として、一般社会としての筋ではないでしょうか。しかも、これまで100年を超える長い日本競馬の歴史の中でも、ゲート内で立ち上がったり、くぐり抜けたりする馬居ましたけど、騎手も調教師も「それも競馬だから」と発言してきたじゃないですか。いつから考えがガラリと変わったんですか。

だいたい川田の発言の中に「3歳牝馬の繊細な女の子たちが~」という部分がありましたが、事前にJRAや騎手会に相談していたのであれば、オークスに限定した言い方はおかしいですよね。それなら牡馬ならセーフなんですか?古馬GⅠはどうですか?重大、かつ異例の発言である以上、一言一句、慎重な言い回しをするのが普通ですが、たまたまそうなったんですか?

それに静寂の中から発走した直後に急に大歓声が来たら馬は驚くでしょう。それによって急に斜行したり、落馬に繋がったら大事故に繋がりますよね。馬を興奮させたくないと声高に叫ぶのであれば「レース中に歓声を送るなと言うべき」です。「直線でもウイニングランでも一切喋るな」と言うべきです。でなければ《大きな事故が起こるかもしれない》のでしょう?

というか《大事故が起こるかもしれない》なんて言い分は、まるで野党や活動家の言い分ですよ。それほどゲートが危険だと言うなら曖昧な感情論で要請せずに、騎乗者の意に反して発送委員が鞭を打つ行為も、ゲートボーイの非導入も、年間でゲートをくぐり抜ける馬やゲート内で立ち上がった馬の数も、危険だと思われる事象について《数字を示して、理解、検証、検討をJRAやファンに求めていく》のが最適解でしょう。

まったく叩けば叩くほど埃が出る感じですね。日本競馬の歴史・文化・伝統を蔑ろにし、社会通念上まったく筋が通っていない上に、公正競馬を抵触するような発言だと個人的には思います。もう既に川田個人の問題ではなく、JRAや騎手会も巻き込んだ問題になってないかな。マスメディアも短絡的な報道に終始せず、様々な角度から議論を重ねるような報道にしてもらいたいですね。



◆2023年7月9日
「興味を持ってもらえてありがたく思います。喜んでもらえるだろうなと思って提案したので」

そう、今春から始まったジョッキーカメラは川田の提案だったそうです。報道によれば

「18年夏に遠征先の英国でカメラを着用して面白さを実感。JRAへ導入を打診したという。しばらく保留されていた計画は、昨夏から一気に動き出した。同じく着用経験のあった武豊騎手らの意見も踏まえ、テストを重ねた上でスタートした。」

とのことです。また、海外ではレースだけで終わるのがほとんどですが、

「レースを終えたジョッキーたちの自然な会話であったり、スタッフが喜んでいるところであったり、盛り上がってくれるお客さんの姿であったり…。そこまでお届けしたかった」

という川田の希望もあって、ゴール後から検量室前へ引き上げるまでが公開されているそうです。

「競馬の新しい見え方をこれからも楽しんでもらえたら」

川田はそう言いますが、私はこういうのが心底嫌いなんですよね。いやっ川田が嫌いだからという理由もあるにせよ、彼がしてることって筋が通らんと思うのですよ。



◆2023年7月10日

※この記事は長いので、リンク先でご覧ください。



◆2024年5月12日
(川田は)考えが自分よがりと言いますか、自分本位と言いますか、相手の立場に立ってモノを考えられていないように感じる点が多いのです。

先月の不幸な落馬事故の後に、川田が長々とコメントを出していました。
中略 (他の騎手に対して)強く厳しくうるさく言い続けてきました。

それを恫喝だなんだと、世間の人が面白おかしく言っていることもわかっています。ジョッキーカメラが導入されて以降、レース中の音声も世間のみなさんが知ることになって、なおそういった心ない言葉が増えたことも実感しています。SNSがこれだけ発達した今、匿名で好き放題書けますからね。

僕がレース中に引っ張ったシーンなども面白おかしく編集されて、動画として上がっていることも知っています。そういった人を嘲笑するような動画や言葉──。競馬を楽しんでくれているのであれば、ちょっと考えてみてください。

一歩間違うと、今回のようなことが起こるんです。命を落とすんです、僕らは。馬の命を守るため、自分と周りのジョッキーの命を守るために、引っ張らないといけない瞬間がある、声を出さなければいけない瞬間があるんです。

これはNetkeibaのコラムに載せられた内容を一部抜粋したものですが、これだけでファンを下に見ているというか、ネットの声を面白く思っていないことが分かりますし、川田の本質的な部分が見えるような気がします。

確かに、危険な行為をしないようにするのは当たり前の行為であり、常日頃からそうした声掛け、指導をしている川田にはある意味尊敬します。しかしですね、極論を言えば危険な行為をしない、させないというのであれば、騎手を辞めるのが一番適切な行為なんですよ。

(川田の言い分は)例えば他のスポーツで言うと、サッカーにおいてスライディングをしたり、空中で競り合うと大きな事故に繋がってきたから、そうしたプレーを避けようというようなものです。ボールを奪い合うためには体の接触は当然にありますし、それが高いレベルになればなるほど危険なプレーに繋がりやすくなります。しかし、それを避けたらサッカーというスポーツの根幹を揺るがすことなり、サッカーという競技自体が成り立たないでしょう。

競馬も同じで、危険な行為をしない、させないことは多数の競走馬が一斉に同じコースを走って1着を目指すという競馬の根幹を揺るがすことになりますよね。なぜなら馬間というか前方の馬との間隔に余裕を持たないと危険ですから密集した馬群はダメですし、後ろから行った馬は馬群に突っ込むと下がってき、一杯になってヨレた馬と接触するかもしれませんから大外を回すか、十分に間隔が空いた内、中の進路しか取れませんし、そもそも気性が荒く、よく掛かったり、言う事を聞かない馬はレースに出すことすら許されないでしょう。だって危険なんですから。

そんなレースで競馬が成り立ちますかねぇ。言わずもがなだと思いますが、日本競馬はスポーツであると同時にギャンブルという側面もあり、この2つが両輪となって日本競馬界を支えていますよね。そう考えると危険を理由に1着ないし、馬券圏内を目指さないというのは、八百長などの温床にもなりかねませんし、日本競馬の根幹を揺るがす問題と言えるでしょう。

ましてや、川田自身だって癖の強い馬の騎乗は避けているとネット上でも言われています。その癖の強い馬には他の騎手が乗っていて、レースでは必死に危険が無いように努めていますが、どう頑張ったって人の力は馬の力に敵いませんから、川田より他の騎手の方が危険な騎乗に繋がることが多くなります。それを乗りやすい馬にしか乗らない騎手が危ねぇだろうって怒鳴って指導するのはいかがなものかと思ってしまうのです私は。


つまり、そうした側面から見れば川田の言っていることは大間違いですし、《危険な行為をするな=全馬に不利のある行為をするな=全馬が力通りの走りができるようにしろ=有力馬に有利な状況を作れ》と繋げることができ、ある意味有力馬ばかりに乗る川田が周りを恫喝しているようにも捉えることができるのですよ。猜疑心を持って見ればね。

これって私が昨年に書いた記事でスタートでは静かにしろ発言が八百長紛いだと述べたことと中身は同じなんですね。公正競馬だからこそ疑いすら持たれてはいけないし、社会人として組織を通じて筋を通すことは大切です。川田がやってる事はそれと真逆で、目線が一方的なんですよ。

結局、福永や川田の言っていることって自分主体で、周りの事は二の次のように見えてしまうのですよ私には。福永のように自分はこう思うけど周りが理解してくれないのは周りがちょっとね・・・という態度だったり、川田の自分の言うことが正しいのだから周りは自分の言うことを聞けという態度などは、スポーツという側面でも、ギャンブルという側面でも、《正しい行為だと思うからこそ、きちんと筋を通して周りを納得させようと行動した結果ではない》ため、多くの人の反感を買うのですよ。

そして、それに対してSNSを通じて声を上げるファンに対して「面白おかしく」とか「匿名で好き放題書ける」とか「面白おかしく編集されて」とか言うのは筋が違うでしょう。

気持ちは分かります。腹が立つこともあるでしょうし、ただの誹謗中傷でしかない声が届くことも多々あるでしょうが、それでもこうした発言をするなら、まず自分自身の行動を振り返るべきではないでしょうか。それが真っ当な人間ってもんでしょう。

川田自身が恫喝だとか、手綱を引っ張ったシーンとかについて、ファンに対してどれだけ丁寧に説明しましたか。「競馬になりませんでした」といった一言で終わっていませんか。記者会見やインタビューの場で、仏頂面で淡泊というか塩対応のような態度で受け答えしていますが、それでファンに自分の気持ちや考えが届くと思いますか。勝った時も負けた時も、自分の考えについて適切かつ妥当に、関係者やファンに納得してもらえるように言葉を尽くしたのでしょうか。

それをしないで、自らの騎乗について好き勝手に動画にされて面白くないというニュアンスでコメントし、そうしたファンの声を否定するようなことを言うのは自分勝手というのではないでしょうか。

前述した記事でも述べたように、私は社会人として、そして人としての筋を通すことが先だろ、と思うのですよ。福永同様、いつまで経ってもそうしたことをしないで、太鼓持ちの人間だけ周りに侍らせるような真似は慎んだ方がよろしいのではないかと具申したいくらいです。


もちろん、ここで述べたことは事実とは違うのかもしれません。しかし、人の数だけ真実はあります。少なくとも、昭和生まれの私が競馬を見続けて、様々なソースから感じた真実であることは間違いありません。仮に、川田がこの記事を見たら不愉快な思いをするかもしれませんが、それは《自らの言動が報道を通じて相手に事実と異なる真実を与えた》という形になるわけで、自らの行動が招いた結果とも言えます。

そのため、福永のようにファンが理解してくれないと言うのではなく、まずは《理解してもらえるように言葉を尽くしてもらいたい》と個人的には思いますね。サインを貰う子供の色紙に、ノートを被せてきた大人をしっかり指導したでしょ。子供がいるからって。手で払いのけただけじゃ伝わらないんだよ世の中さ。



◆2024年5月25日
金曜日にJRAから「競馬場へ移動中の騎手に関するお願い」というものが出されまして、なんでも「JRAでは公正確保の観点から、騎手が騎乗予定の競馬場に移動する際は一般の方と接しないよう指導しております。そのため、移動中の騎手に対し写真撮影やサイン等の申し出がございましてもお断りさせていただくこととなりますのでご承知おきください。ファンの皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。」とのことでした。

普通に考えたら分かりそうなもんですが、ウマ娘から競馬に入った超ライト層からしたら、街中で有名人を見かけた程度にしか考えていないのかもしれませんが、日本の競馬は競馬法で遵守する公正競馬という大原則により運営されています。

JRAは「疑われることさえあってはならない」というスタンスなのは特別な法律に基づいて厳しく不正を排除しているからなんですね。そのため調整ルームに入る前ならともかく、開催節における競馬場の移動時に一般の人と接触しないようにするのは当然ですし、だからこそJRAがわざわざ用意したタクシーに乗り、JRAに連絡を入れた上で公共交通機関を使用して速やかに移動するようにしているのです。

全ては公正競馬のためです。


たぶん、こういうお願いが出たということは、騎手会から要請があったんでしょうなぁ。最近、移動に声掛けや写真撮影を頼まれることが多くて困っている、なんて感じでね。もし、《そうした要請が騎手会からではなく川田から出ていたら、ガチで川田とJRAの癒着がヤバイと思います》が、そうした点を取材するマスメディアは・・・いないか。誰が相手でも聞くことは聞くという姿勢を持った記者はもう出てこないのかもしれないと思うと、残念で仕方ない。



◆2024年5月28日
5月27日付でいくつかのメディアが、JRAから「競馬場へ移動する騎手に関するお願い」について、川田の自身のSNSに投稿した全文を報じました。全文は以下のとおりです。

先週JRAより、『競馬場へ移動する騎手に関するお願い』と題して、ファンの皆様へ協力のお願いが発表されました。サインや写真撮影等の申し出がありましても、お断りさせていただくという内容です。詳しくはJRAのホームページよりご確認をいただきたいですが、こういうお願いをJRAからしないといけなくなった経緯を説明させていただきます。

 僕らジョッキーが飛行機や新幹線で移動するとき、空港や駅でサイン等を求められることは以前からありました。その状況次第で応えられるときもあれば、お断りすることもありました。純粋なファンではなく転売目的でサインを求められてることも感じますし、実際転売されることもどんどん増えて、残念に思うことも増えました。

 最近はお断りしても全く引くことなく、数人に囲まれ、圧強く求められ続け、声を荒げられるなどエスカレートしていて、当然周りの一般の方にも迷惑が掛かり、ここでは書きたくないような身の危険を感じることをされてるジョッキーもおり、警察に来てもらい対応していただいてる状況になってしまっています。僕自身も警察の方に助けていただきました。

 これを読んでいただいているのは、真っ当な競馬ファンの皆様ばかりだと思います。その真っ当な競馬ファンの皆様の中には、JRAのこの発表を不快に感じた方もおられると思います。

 真っ当な競馬ファンの皆様が周りに迷惑が掛かるような、僕らジョッキーが恐怖を覚えるような言動を取るわけがないことは重々承知しておりますが、一部の心無い人たちの言動により、このような発表をJRAからせざるを得ない現状です。

 最近の度重なるトラブルを起因として、周りの一般の方にご迷惑をおかけしないために、ジョッキーの安全確保のために、公正確保のために、一切お応え出来なくなってしまったことをご理解いただけたらと思います


言いたいことは分かるけどさぁ・・・本当にさぁ・・・川田さぁ・・・

君、何なの?


私はたびたび川田の言動について苦言を呈してきました。それは川田の言動の是非はともかく、そこに至るまでの過程を疑問に思うからです。この件も先にJRAからお願いが出た際に《この要請が騎手会からではなく川田から出ていたら、ガチで川田とJRAの癒着がヤバイと思う》と書きましたが、まさにそれが的中してしまいました。

0か100かでしか判断できないマスメディアやファンも多いですが、私はハッキリと言います。これはおかしいですよ。どれだけスタンドプレーをすれば気が済むんでしょうか。もちろん、川田がJRAに要請した証拠はありませんが、公表、報道された情報を見ていると騎手会の名前は出ていませんし、JRAがああいうお願いを出し、その後すぐに川田がコメントを出したのは、まぁそういう事かなと思います。


そうした前提で話すとして、まず川田の言い分が正しいと思う部分はあります。例えば、ジョッキーカメラは面白いですし、安全面を考えるのであれば川田の騎乗法は正当化される部分はあるでしょう。今回の件で言えば、確かに過度に写真撮影やサインを求めるファンは言語道断ですし、迷惑系〇〇〇と同じです。転売ヤーも問題ですし、警察を呼ぶほど圧強く求められ、声を荒げられる行為はどう考えても非難されて然るべきです。「ここでは書きたくないような身の危険を感じることをされてるジョッキーもおり」とあるように、ちょっとした暴行を受ける若手騎手とかいるのかもしれません。

しかし、そうであればなおさら川田が要望するのは違うでしょう。騎手会の関西支部副支部長という立場でありますし、全ての騎手が同じような行為に遭遇する可能性がある以上、騎手会で総意、決議を採り、それをもってJRAに要請するのが組織に属する人間としての筋ではないでしょうか。

川田がJRAに要望して、JRAがそれを認めるのであれば、各騎手がJRAに直接要望しても構わないという事になりますし、そんな事したら騎手同士の意見が食い違った場合、JRAはどうしますか。それぞれの意見をJRAが一つずつ判断するのでしょうか。川田はスタート時に静かにしろとファンに要望し、JRAもそれを追認していますが、他の騎手がスタート直後に急に声援が来ると馬が驚くからゲート入りから声援が欲しいと要望したらどうしますか。そうした意見の対立を調整し、まとめるのが騎手会という組織だと思いますが、川田はそう思わないのでしょうかね。


また、そもそも論としてJRAの言う「公正競馬のため」移動中にの接触は禁止するよって話ですが、川田は「状況によっては応えてきた」と言っているのだから、川田は公正競馬に反する行為をしてたの?となりますが、そこんとこどうなんでしょうか。散々、安全ガー、公正ガーと言ってきた川田本人が、自ら公正競馬に反する行為をしてたって認めたって事でしょうか。なんだか随分ダブスタに感じますねぇ。


それに、川田は「このような発表をJRAからせざるを得ない現状です。」と言っていますが、これは先に天皇賞・春の距離短縮を望んだ吉田某の発言と同じ空気を感じます。もうこれ以外に選択肢はないんだ、だからこれこそが正しいんだ、なぁそうだろう?とね。

本当にそうでしょうか。天皇賞・春の距離短縮については以下の記事で詳しく述べていますが、まだやれる事を全部やったどころか、全然やっていませんよね。大阪杯と天皇賞・春の番組を入れ替えるなど、施行時期、施行場所の変更などやれる事は多いですが、それらは全無視で「距離短縮以外に選択肢はない」と言っているのだから、何言ってんだと思われて当然ですよ。

川田の「そうせざるを得ない」という発言も同じです。他にできる事はやったのか、と思うのですよ。例えば、転売目的対策なら一人につき一枚まででサインの際には相手の名前を書くとかできるでしょう。土曜ならある程度の騎手とまとまって移動、日曜ならバレットと一緒に移動、その他開催中を理由に一切の接触を断り、競馬法や刑法に抵触すると警告すれば良かったと思います。

相手がファンだから、お客様だからと過度に媚びへつらう必要はありませんし、警告しても聞かないバカには警察一択にして、どんどん事例を積み上げればおのずとバカは駆逐されるもんです。万引きとかと同じですよ。ガンガン通報すればあの店はリスクが高いと万引きは減りますが、見逃したり親呼んで済ましたりすると同じ事するバカが湧きますからね。撮り鉄だって不法侵入や器物破損でドンドン警察呼んでガンガン捕まえば、バカなこと輩は減りますよ。徹頭徹尾、法と秩序に則って行動すればいいのです。


ついでに言うなら、そんなに嫌なら日本騎手クラブが騎手のサインを販売すりゃいんですよ。そうすると、それを手に入れたとしても転売できませんし、無理矢理転売したとしても価格を抑えてしまえば転売ヤーから買う必要がそもそもないですよね。

例えば、
1.各騎手毎月100枚までサインを通販で売る
2.サインには注文者の名前を書く
3.配送時の補償の有無によって送料が変わる
4.販売により得られた利益は全額引退した競走馬への支援に充てる

こんな条件ならみんな買うんじゃないでしょうか。競馬場に行けない人でもサインが手に入りますし、価格も1000~1500円程度に抑えれば転売ヤーは太刀打ちできないと思いますし、なにより建て前は転売ヤーの撲滅ではなく「引退した競走馬の支援」ですからね。それをした結果、たまたま転売ヤーが利益を失う形になり、全騎手の移動中の安全が確保されただけですから。

ざっと考えても、経費は色紙代と梱包代、郵送料に加え、それらに係る事務方の人件費くらいでしょうか。トレセンのおばちゃんに時給1500円で、月10時間ぐらい副業しません?って募集したら5人くらい集まりませんかね笑 一枚あたりの経費は100円も掛からないと思いますし、送料だって普通にやれば高いですが、騎手会が法人格として郵便局なりヤマトなり佐川なりにまとめて依頼すれば300~400円程度に抑えられます。

つまり、経費は一枚あたり500円程度なんで、1500円で販売すれば一枚1000円の利益になります。武豊、川田、ルメール、ミルコ、戸崎、横山武、坂井瑠星、池添、藤田、永島あたりが月100枚売ったら、100万の利益ですよ?支援の初めとしては十分じゃないですか。

そのうち、重賞勝ったら臨時で50枚追加、なんなら生写真付けますとかやれば、転売ヤー涙目ですよ笑 騎手だって月100枚なら一日3枚ですからね。1枚15秒で100枚なら30分程度で書き終わりますし、後から注文者の名前入れたとしてもせいぜい1時間くらいでしょうか。毎月1時間の奉仕で全騎手の安全が買えるなら安くないですか?引退した競走馬の支援もできますし、ファンも喜びますし、ちょっと手間を掛けるだけで、三方向丸く収まるのですよ。

こうした提案を色々やった上で、それでもダメなら拒否するかって話なら分かるんですが、いきなりもうダメですってのもな~・・・どうなの?筋が通ってそうで通ってないように思えます私には。


閑話休題


まぁ前述したように、手拍子や歓声、ジョッキーカメラ、自身の騎乗法についてのファンの意見に対する苦言、そして今回のサイン拒否・・・これって川田個人がどうこう言う問題ではなく、騎手全体の話ではないでしょうか。それなのに川田がJRAに要請し、それをJRAが認めるというのは、『一騎手の要請要望をJRAという巨大組織が認める』という事になり、川田将雅という騎手とJRAが繋がっている、つまり癒着や忖度、穿った見方をすれば八百長などを疑われて仕方ない行為であり、スポーツとギャンブルの両輪で育まれてきた日本競馬全体からすれば、川田の発言は一方向からしか物事を見ていません。だからおかしいというのです。

川田自身も色々とやっているのかもしれませんし、勝手に日本人騎手の代表として色々と思うところをガンガン言っていくスタイルなのかもしれませんし、若いファンは川田の言っている事は正しいと思うのかもしれません。手拍子や歓声、ジョッキーカメラ、自身の騎乗法についてのファンの意見に対する苦言、今回のサイン拒否について支持する人もいるでしょう。

でもね、全部が全部正しいわけじゃありませんし、その意見を通すにあたっての経緯、筋道というのは全く評価できないどころか、非常に悪手です。《公正確保》と言いながら癒着や忖度を疑われることをしているのですから。仮に、日本競馬の形態を熟知している外国人ジャーナリストがこれらの件を聞いたらどう思うでしょうか。「癒着を疑われる」と判断する可能性は十分あると思いますよ。

しかも、その意見が通って周りの評判を聞いた上で、それ私が言いました的なコメントを出すのは、ダサいとか以前の問題です。自分勝手に動くなよ川田、王様川田と罵られても不思議じゃありません。


何度も繰り返しますが、彼の主張が間違っているとは言いません。安全面からしたら正しいと思うものもあります。しかし、物事は0か100かで判断できることなんてほとんどありません。ジョッキーカメラは面白い、だから川田の意見は全部正しいとは言えませんよね。

安全面に配慮した結果、競馬というスポーツが成り立たなくなるのであれば、それは行き過ぎた配慮ではないかと思いますし、自身の騎乗法に問題があると言われたなら、苦言を呈するのではなく納得してもらえるように言葉を尽くせばいいと思います。転売されるのが嫌なら相手の名前を書けばいいのです。

そうしたバランスが重要なのです。自身の意見を通したいのであれば、一人で突っ走るのではなく、騎手会という組織で動いてコンセンサスを得れば、自身の意見を通しつつ、組織に属する人間として筋を通せるでしょう。

理解できないですかねぇ・・・公正競馬なんだから、癒着も忖度も八百長も疑われちゃイカンのですし、そういうこと以前に組織に属する人間として筋を通しましょうよ川田君。


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