【恒例洋楽新年企画】DJ Boonzzyの第65回グラミー賞大予想#6~カントリー部門
吉岡正晴さんとの毎年恒例のグラミー大予想トークDJ・イベント「ソウル・サーチン・ラウンジ」、いよいよ開催は来週の1/24(火)新宿カブキラウンジで19時からです!東京在住の方、是非お越し下さい。熱いグラミートークを展開予定ですw
では次はカントリー部門の予想。
23.最優秀カントリー・ソロ・パフォーマンス部門
Heartfirst - Kelsea Bellerini
◎ Something In The Orange - Zach Bryan
In His Arms - Miranda Lambert
○ Circles Around This Town - Maren Morris
✗ Live Forever - Willie Nelson
過去にはカントリー界の2大アウォード、CMA(カントリーミュージック協会)アウォードとACM(カントリー・ミュージック・アカデミー)アウォードの前年の結果がこのカントリー部門の受賞傾向に大きく影響があったものですが、数年前にグラミーが対象期間を短縮したりずらしたりしたことで対象作品が大きくズレたり、それ以上にここ最近数年はグラミー・アカデミーの選考パターンがこれらのある意味保守的なカントリー音楽団体の方向性とズレてきていることもあって、あまり参考にならなくなってきてます。事実このソロ・パフォーマンス部門のノミニーの顔ぶれの中でこの2つの賞の個人部門受賞者とダブってるのは、去年3月発表のACMのエンターテイナー・オブ・ジ・イヤー受賞のミランダ・ランバートくらい、しかもその対象期間は2021年の1月〜11月なので、まったく対象が1年ズレてるわけです。まあそれでも一応参考になる部分もあるので、これらもにらみながら予想します。
そういう状況の中で、2022年(正確には2021年10月〜2022年9月の対象期間)広くシーンにインパクトを与えて、アカデミーのメンバーが評価しそうなアーティスト、と言う観点で自分的な本命◎は、やはりザック・ブライアンしかないでしょう。そもそもザックが今回主要部門の新人賞部門にノミネートされてないのがおかしいんですが(まあ新人賞部門のノミネーションの変さは今に始まったことじゃないですが)、ここでノミネートされている以上、昨年カントリー界のみならずアメリカーナ・シーンも含めて大きくブレイクした彼以外に本命は考えられないですね。そしてその彼の出世作ヒット「Something In The Orange」が対象なので間違いないところです。
対抗○にはこの部門でも2017年第59回に受賞、2019年第61回にはゼッド、グレイとのコラボ・ポップ・ヒット「The Middle」でROYとSOYにもノミネートされていた、今や中堅実力派のシンガーソングライター、マレン・モリスが旦那のライアン・ハードと、人気ポップ・ソングライターのジュリア・マイケルズと書いた、彼女自身のカントリー界での成功とナッシュヴィルに至るこれまでの道のりを振り返る「Circles Around This Town」に、そして穴✗は一応去年のACM受賞のミランダ・ランバートに。
24.最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス部門
Wishful Drinking - Ingrid Andress & Sam Hunt
✗ Midnight Rider’s Prayer - Brothers Osborne
Outrunnin’ Your Memory - Luke Combs & Miranda Lambert
Does He Love You - Revisited - Reba McEntire & Dolly Parton
◎ Never Wanted To Be That Girl - Carly Pearce & Ashley McBryde
○ Going Where The Lonely Go - Robert Plant & Alison Krauss
去年のCMA、ACMのグループ部門とデュオ部門の受賞者は、いずれもグループがオールド・ドミニオン(いいバンドですが、今回ノミネートされず)、デュオがブラザーズ・オズボーンでした。後者はここでもノミネートされてるので、じゃあ彼らが取るかというと、多分そうではなく、そのCMA、ACMで共に「最優秀年間ミュージカル・イベント賞」を受賞している、カーリー・ピアスとアシュリー・マクブライドという2人の女性カントリー・シンガーソングライター達による「Never Wanted To Be That Girl」がどうも本命◎くさいですね。一人の男を愛する2人の女性、一人は彼の妻(ピアス)でもう一人は愛人(マクブライド)なんですが、それぞれの立場で「こんな立場の女になりたくなかった」と歌うというなかなかストーリー仕立ての作品ですし、淡々とした曲調が胸に迫る感じもあってこれが取るんじゃないかと思ってます。
対抗○は、伝統的カントリー界からはまず普通ノミネートされないだろう、ロバート・プラントとアリソン・クラウスのコラボ作第2弾『Raise The Roof』からの二人による、カントリー・レジェンドのマール・ハガード作品のカバー。何せこの二人、最初のコラボ作『Raising Sand』で2009年第51回に主要賞の最優秀アルバム部門受賞してますから、アカデミーには人気あると思いますので。
こうなってくると残念ながらCMA、ACMのデュオ部門受賞のブラザーズ・オズボーンには穴✗を付けるのが精一杯ですね。彼ら昨年はこの部門、ダン+シェイや、去年のACMの年間最優秀シングル、ジェイソン・オルディーンとキャリー・アンダーウッドの「If I Didn’t Love You」など強力なメンツを抑えて見事初受賞してるんですが、今年は相手が悪かった。
25.最優秀カントリー・ソング部門(作者に与えられる賞)
✗ Circles Around This Town - Maren Morris (Ryan Hurd, Julia Michaels, Maren Morris & Jimmy Robbins)
Doin’ This - Luke Combs (Luke Combs, Drew Parker & Robert Williford)
○ I Bet You Think About Me (Taylor’s Version) (From The Vault) - Taylor Swift (Lori McKenna & Taylor Swift)
If I Was A Cowboy - Miranda Lambert (Jesse Frasure & Miranda Lambert)
I’ll Love You Till The Day I Die - Willie Nelson (Rodney Crowell & Chris Stapleton)
◎ Til You Can’t - Cody Johnson (Matt Rogers & Ben Stennis)
この部門もなかなかグラミーのカントリー部門らしく、テイラーがノミネートされるなど、微妙にグラミーらしい顔ぶれがノミネートされてますが、この中で自分が本命◎を付けるのは、去年のCMAで年間最優秀シングル(最優秀ソングではないところがミソ。最優秀ソングはジョーダン・デイヴィスの「Buy Dirt」)を受賞している、テキサス州出身、2000年代からセルフリリースで作品を作り続けてきた苦労人カントリー・シンガーソングライター、コディ・ジョンソンの「Til You Can’t」。この曲、Hot 100でも18位とクロスオーバーして、彼に取って文字通りブレイクアウトヒットとなった曲なので、充分この部門受賞の可能性ありだと思ってます。
その彼の受賞を脅かすのがグラミー・ダーリンのテイラー・スウィフトの「I Bet You Think About Me」。ご存知再録音シリーズの『Red (Taylor’s Version)』(2021)からのヒット・シングルです。正直こちらが本命◎、とも思ったのですがここは苦労人のコディに花を持たせて、テイラーには対抗○で我慢してもらいましょう。
それ以外の候補もいずれも強力ではあるんですが、ここはナッシュヴィルで下積みから成功するまでのストーリーを歌っている、おそらくカントリー業界で共感を持つ人が多そうなマレン・モリスの「Circles Around This Town」に穴✗を付けておきます。
26.最優秀カントリー・アルバム
◎ Growin’ Up - Luke Combs
○ Palomino - Miranda Lambert
Ashley McBryde Presents: Lindeville - Ashley McBryde
✗ Humble Quest - Maren Morris
A Beautiful Time - Willie Nelson
去年のカントリー部門は、グループ・デュオ部門以外の3部門はクリス・ステイプルトンが独占受賞して、彼のシーンにおける存在感と高い評価を改めて認識しましたが、今年はこれまでの3部門についてはそういうアーティストがノミネートされておらず、受賞がばらけるだろう、というのが自分の予想。ただこのアルバム部門は、ルーク・コムズとミランダ・ランバートという、去年のCMAとACMのエンターテイナー・オブ・ジ・イヤーを分け合った二人の激突になるだろうな、というのが予想。その中で、わずかに優勢だと思うのが、正しくCMAの最優秀アルバム部門を受賞した、ルーク・コムズの『Growin’ Up』。この部門の受賞経験と言うことで行けば、過去2回(2015年第57回、2021年第63回)受賞しているミランダ・ランバートということになりますし、ルークはこれまで受賞もないんですが、シーンでは絶大な人気を誇る彼のこと、そろそろ受賞してもいいんではないか、ということで本命◎です。ミランダは対抗○。
最後に穴✗は、ソング部門にノミネートされたクリス・ステイプルトンとロドニー・クロウェルの曲や、ビートルズの「With A Little Help From My Friends」のカバーなどを含む、ウィリー・ネルソン翁のキャリア72作目のアルバムに敬意を表して進呈しましょう。
さあ、カントリーまで終わりようやく折り返し点まで来ました。次はジャズ部門の予想です。お楽しみに。
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