見出し画像

今週の全米No.1アルバム事情 #57 - 2020/12/12付

先週も書いたけど、この時期は年末洋楽企画のブログを「年間チャート予想」「自分の年間ベストアルバム」「グラミー受賞予想」と立て続けに書きまくる時期なんだけど、今年から仕事がフリーランスに移行した結果、逆に例年より忙しくて無事毎年のシリーズを乗り切れるかちょっと不安。何とか頑張りますけどね。まあお楽しみに。

画像1

さて今週末Billboard 200の1位ですが、何と歴史的な現象勃発。目立った新譜もマイリーくらいしかない(と思ってた)今週、BTSの初の2週連続1位を阻んだのは、何とBillboard 200史上初となる、オールスペイン語によるアルバム『El Último Tour del Mundo』(116,000ポイント、実売12,000枚)を1位に叩き込んだ、プエルトリコ出身のラッパー/シンガーのバッド・バニーでした!

これまでもヒスパニック/ラテン・アーティストの#1アルバムは、早逝後1位になったセリーナの『Dreaming Of You』(1995)とか、ジェニファー・ロペスの『J.Lo』(2001)などいろいろあったけど、基本英語楽曲がメイン。しかし今回のバッド・バニーのアルバムは全編スペイン語で無茶苦茶耳馴染みのいい今風のアーバン・トラップ・ポップ作品を作り上げてるんでこれ、ストリーミングで人気を呼ぶの分かるなあ。このアルバム、今週1.46億回オンデマンドストリーミング相当のポイント獲得なんで下手なヒップホップアルバム以上のストリーミング数を集めたことになります。この数、多分ラテンコミュニティ以外のストリーミングもかなり集めてるんでは。

バッド・バニーというと最初にその名前がメジャーになったのは、あのカーディBの2018年の全米No.1ヒット「I Like It」にJバルヴィン共々フィーチャーされたこと。それ以来急激に露出を高めてきて今年は今回の『El Último〜』(「最後のワールドツアー」って意味らしいです)を含めてもう3枚目のBillboard 200トップ10と言う勢いで、このアルバムからのシングル「Dákiti」も既に今週Hot100で15位→5位に急上昇、おまけに今年9月にスタートしたグローバル200チャートでも、アメリカチャート、アメリカ以外グローバルチャートの両方を同時制覇中。Despacito」(2017年全米1位、年間2位)の大ヒット以来ラテンアーティスト達のクロスオーバーにグッと潮目が変わってる感あるけど、このバッド・バニーBillboard 200制覇でまた一つ大きなマイルストーンが達成された感ありますねえ。そして今回のバッド・バニーのこのアルバム、今まで以上にラップよりも「歌うバニー」のイメージが強くなっていて、何だかラテン版ポスティみたいなイメージも漂わせていて、今後も要注目ですね。

画像2

そして先週予想で名前が出ていたマイリー・サイラスの新作『Plastic Hearts』は60,000ポイント(実売20,000枚)と思ったほど票が延びなかったのですが、BTSが55,000ポイントと77%と大きくポイントを落とす中、辛うじて2位初登場に滑り込んでます。今回のマイリーはイメージをぐっとアダルトなロック系にシフトして、なかなかドスの効いた声で、デビー・ハリーとスティーヴィー・ニックスを足して2で割ったような感じで迫ってますね。英米でヒット中の「Midnight Sky」(全米では8月に初登場で最高位14位、UKでは今週5位)なんかも、エレクトロなロック・ナンバーで80年代感半端ないです。

それ以外にもしっかり今旬のデュア・リパと組んだ「Prisoner」とか、「Midnight Sky」をリミックスしてスティーヴィー・ニックスのあの曲のギターループを使った「Edge Of Midnight」とか、そしてあのジョーン・ジェットをフィーチャーした「Bad Karma」とか、とにかく今回は80年代ヴァイブが満載で、このアルバムUKでも4位初登場と好調なんですが、この辺好きな中年リスナーに大いに受けてるんじゃないかと想像できますねえ。

画像3

さて今週は先週に続いてトップ10がクリスマス・アルバムで賑わいはじめてます。先週のキャリー・アンダーウッドに続いて今週は圏外13位→6位に、2011年リリースで当時No.1になったマイケル・ブブレの名盤クリスマス・アルバム『Christmas』が再登場してます。このアルバム、冒頭の「It’s Begining To Look A Lot Like Christmas」(ペリー・コモフォンテイン・シスターズの1951年のヒット)からマイケルの歌の巧さとバリトン・ボイスの素晴らしさが炸裂してて、自分もかなり気に入ってるんで、だいたいこの時期になると自宅でもよくかけてますね。このアルバム、ジャズ・アルバム・チャートでもここ数週間1位に返り咲いてて今週通算15週目の1位を記録してます。

ということで今週のトップ10おさらい。今週圏外40位くらいまでに目立った初登場はないんですが、ナット・キング・コールが30→12位、『A Charlie Brown Christmas』が23→14位、マライアが21→15位、ペンタトニックスが28→16位、フィル・スペクターが49→22位とやはりクリスマス・アルバムが軒並み上がってます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) El Ultimo Tour del Mundo - Bad Bunny
*2 (-) (1) Plastic Hearts - Miley Cyrus

3 (1) (2) Be - BTS
4 (3) (5) Positions - Ariana Grande
5 (4) (22) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
*6 (13) (87) Christmas - Michael Buble
7 (2) (2) Good News - Megan Thee Stallion
8 (6) (19) folklore ▲ - Taylor Swift
*9 (10) (10) My Gift - Carrie Underwood
10 (9) (20) Legends Never Die - Juice WRLD

さて来週の1位予想です。対象期間は12/4-10ですが、何となく中粒のリリースが多いですね。珍しく今週はヒップホップの強そうなリリースがないので、ここは先週ジャスティン・ビーバーとのコラボヒット「Monster」が上位に飛び込んできたショーン・メンデスあたりが来そうですね。ではまた来週。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?