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世界と世界が交わる瞬間(とき)

すべての人に自分の「世界」があって、その世界の「普通」は皆それぞれ違います。
目が見えない人の世界では目が見えないことが「普通」。
耳が聞こえない人の世界では耳が聞こえないことが「普通」。
そして、そのそれぞれの「世界」と「世界」の間には、高い高い壁や深い深い谷が立ちはだかって、交わることが難しいと考えられたりします。

そんな違う「世界」に住んでいる男女が出会い、恋に落ち、新しい世界を知り、その世界が交差する、、、そんな映画を観てきました。

「夏の光、夏の音」

言葉を交わすことも、見つめ合うことも叶わない二人。
見ていて、もどかしくてもどかしくて、、。

2人の世界の間には確かに大きな隔たりがあるけれど、点字の手紙、触手話、そして金魚すくいのシーン、花火のシーン、、、と、2人の心の距離がどんどん近づいていくのがわかって、ドキドキ。

そして「触れる」と同じく、監督が意識したとおっしゃってた「匂い」に纏わるエピソードが散りばめられていて、二つの世界を近づけ、交わらせるエッセンスにもなっていた気がしました。

さらに!
上映後、監督のトークショーがあり、また主演の1人のKAZUKIさんも飛び入りして、いろいろなお話を伺えたのです。

トークショーの様子。スクリーン左に字幕投影。

私の観た回は音声ガイド付きでした。
通常、音声ガイド付きの映画の場合、視覚障害の方は通常の音声。耳で聞き、音声ガイドはイヤホンなどを使って聞いていることがほとんどです。
なので、同じ劇場にいても、他の観客はどんなガイドが流れているのか知らないままです。

でも今回は、映画の音声と同じように、ガイドの声も普通に流す、というやり方だったので、聞こえる人は、どんなガイドが流れていたか、分かったようです。
音声ガイドは字幕にはならないので、私には内容は分かりませんでしたが、補聴器越しに「何か声がしているみたい、でも字幕がない」、というときはきっと音声ガイドが流れていたのでしょうね。

質問のコーナーで、「音声ガイドの声が淡々としていたのが気になった。もっと感情込めた方が盛り上がるのでは?」とか、「彼のことをイケメンと言うシーンがあったけど、見えない人にとってイケメンの基準は?」なんて質問も出て、会場にいる人みんなで盛り上がりました。

上映の会場はダイアログ・ミュージアム「対話の森®」
「見えない」「聞こえない」中でのコミニュケーションを楽しむエンターテイメントな場所。

ダイアログの入り口看板前のチャンプ

まさにこんな映画の上映にぴったりの場所!!
見えない人、聞こえない人、見えて聞こえる人、、いろんな人がごちゃ混ぜになって、一緒に映画もトークも楽しめて、、
本当に素敵なひとときでした(予定よりかなり時間オーバー 笑)

違う世界を知るということ、
それは自分の世界を広げることにもなるはず。

それは障害の有無も、年齢も、何も関係なく、みんな同じじゃないかしら?
私も視覚障害の友達と出かけるだけで、いろんな発見があります。

この映画や対話の森のダイアログの体験を通して、世界を広げる人が増えるといいなぁ・・・
そんなことを思いながら、竹芝を後にした夜でした。

いただいたサポートは私の人生を支えてくれた聴導犬をはじめ、補助犬の理解啓発のための活動に生かさせていただきます。