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ハマるときはハマるもの 『チェリまほ』

 それなりに面白いものに巡り会うことは簡単だと思う。流行りものは、良いと思っている人が多いものだから、”よく”できている作品は多い、とは思う。でも、その中で、自分にとって、沼だ、と思うものに出会うのはまれである。


 それこそ、今まで生きてきて、たくさん映画も見たし、本も読んだ。だけど、「面白い」と一言で済ませることができないほど、心を熱くさせる作品には、なかなか出会えない。


今日は、久しぶりに沼にハマってしまった作品について、語りたい。

 2020年のドラマ『チェリまほ 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』。1か月ほど前に、たまたまドラマの1話を見たのだが、あっというまに一気に見てしまった。勢いで、ビジュアルファンブックを購入したり、映画を見に行ったり、オンラインイベントを視聴したりした。もともとジャンルとして、BLは特別、好きでも嫌いでもなかった。関係性が素敵だと思えば、惹かれるので、BLも面白そうなら見るし、読む。

ただ、原作の漫画のことは、以前から創作サイトで見て、知っていたので、また実写化か、とドラマ化発表当時は冷めた目で見ていたことを思い出す。


少女漫画のようなキュンキュンした展開

蓋を開けてみれば、とても沼が深くて、面白くて、癒されて、尊い作品だった。なぜ、当時見てなかったんだろう、と悔やむ。

 私は少女漫画が好きなのだが、好きな少女漫画を読むときの心境で、『チェリまほ』を見ていた気がする。

様々な方の感想で見かけるが、男同士だからという意識をことさら強く、漫画に描写はしていない。あくまで安達と黒沢が、両想いになっていく過程を、魔法をスパイスとして、丁寧に描いているところがとても良かった。

恋愛系を描くとき、必ず、ベタな展開がある。これは、もう、必ずだ。ライバル登場からの嫉妬だとか、ヒロインをチンピラから守るヒーローだとか…。

ありとあらゆる作品で、やり尽くされている場面だが、それをそれぞれのキャラクターが行うことに、意味がある、と思っている。だから、『チェリまほ』でも、黒沢と安達だからこそのシーンだったり、言葉だったりするのだと思う。

 見せ方の違いに感じること

 調べていると、キスシーンについて、様々な意見が出ていることを知った。個人的な意見を少し書かせていただく。

私は、ドラマ、映画のシーンについて、文句はない立場である。なぜかというと、違和感を感じなかったからである。

「キスを明確にしている」ようには見えない撮り方で、描かれている映画も漫画もこれまでたくさん見てきた。そしてそれは、別にBLだから、少女漫画だから、とかは関係なくて、あくまで、作者の演出で、見えないほうが良いと思っているからだと思う。

別に、キスをしていないわけではない。それこそ、原作と見せ方の描写を異なるものにしたという点においては、残念だという人がいるかもしれない。でも、それも、BLだからとか少女漫画だからとかは関係ないと思う。監督自身が考えた演出では、見えないほうが良いという判断だったのだと思う。

 映画でレビューをざっと見ると、大絶賛している人がいる一方で、見なければ良かったという人もいた。もちろん、好みはあるし、実写化だから、原作と異なるシーンやセリフがあったりすると、納得がいかないという意見も分かる。私も実写化で、血の涙を流しそうになった作品はある。

でも、私は、『チェリまほ』は原作の雰囲気を壊さないように大切に、丁寧に作られた作品だと感じた。


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