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韋編三絶(いへんさんぜつ)誕生秘話①

本日は、僕が本業の傍らで手をつけることになった、書店活動のお話。

きっかけは2020年、センジュ出版の代表吉満明子さんが当時行っていた企画。北千住の町に時々夜だけ現れるポップアップ飲食店、スナック明子で10月ごろに行われたトークイベントだった。

ゲストは画期的な書籍発注フォーマット「一冊!取引所」を運営する株式会社カランタの運営の御三方と、元ミシマ社の渡辺佑一さんだったように思う。

その当時僕は出版業界の不況について東京都北区で、すみびらき書店を行なっているしかのいえの鹿野青介さんから、「本好きたちよ、書店になれ!」という話を聞いたばかりで、出版業界を支えるには本好きの一人一人が書店になれば良いのだ、というアイデアがホットだったのもあって、興味深く聞いていた。

その会の話の流れで、今日この場にお集まりの皆さんも、書店登録していただいて構いませんよ、みたいなことを言われたのか勝手に感じ取ったのか、酔った勢いでなんとなくポチポチと登録してしまった。

店名「韋編三絶」誕生の瞬間である。

早速渡辺さんから「すごく良い屋号!!!」と返信がきた。

もしここで、「なんて読むんですか?」って聞かれてたら、多分今、書店はやっていないだろう。

読めるとか読めないとかが問題なのではないのだけど、渡辺さんは、僕が無意識的に本を通して伝えたいと思っていたことを、ちゃんと受け止めてくれた気がしたのだ。

こうして、屋号だけ生まれた書店韋編三絶は、この後しばしの眠りにつく。

再起動したのは2021年、4月

IFMSA(国際医学生連盟)という学生団体で知り合った、僕が知る中で一番アーティスティックなセンスを持ち、ホスピタルアートを探求する看護学生(現在は社会人)小林ひかりさんに、書店のロゴの件で相談した。

「来月から『韋編三絶』って屋号で書店を始めようと思っているのだけど、お店のロゴデザインって出来たりする?」

我ながらラフで突拍子もない相談である。
ところがこの無茶な申し出を、こちらのひかりさん、受けてくれるのである。

受けてくれるどころか、この見たこともないような四文字熟語の意味を自ら調べ、その背景に思いを馳せ、テーマカラーを伝えてもいないのに僕の思い描いていたような青色に設定してくれたのである。

そして、デザインに際し色々とヒアリングの機会を設定してくれたのち、プレゼン用のPPTを拵えて色々説明してくれ、僕自身ですらわかっていないようなまだ見ぬ韋編三絶のロゴを、一緒になってあーでもないこーでもないと何度も試作してくれた。

その姿は立派に1人のデザイナーであった。

結果、出来上がったのがこちらのマーク

韋編三絶ロゴ 丸版

韋編三絶、というゴツい店名に反して、本の形をしたテントで、地下室のような、隠れ家のような、そんな異空間に通じているロゴが出来上がった。
ちなみに本のテントも、地下室への階段も、ひかりさんの案である。

出来上がってみると不思議なもので、「もうこれしか考えられない」というしっくり感に包まれた。

かくして、書店韋編三絶の船出に掲げる、旗印が定まった。


ちなみに、こちらの小林ひかりさんは、
HSPの方向けのブランドPurna Chandraを立ち上げたり、
いろいろなデザインを手掛けたポートフォリオサイトも持っていたり(韋編三絶ロゴも載せてくれています)、
今週末明日6/11から行われる第13回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会での企画「医療とアートの学校」にディレクターとして関わっていたりと、多方面で活躍している。

会う度に、未来を感じる素敵な友人の1人である。


そして、こちらの出来上がったロゴを更に名刺にする上で、甚大なご助力をいただいた人がいる。

足立区の特殊印刷会社、安心堂の代表取締役、丸山侑子さんだ。

初めは、何かとご縁のある足立区の印刷会社さんに、折角なので名刺の印刷をお願いしようと伺ってみたのだが、ロットと価格帯の問題から、個人で少部数から発注できる印刷会社は無さそうなので、名刺のデザインを丸山さんが作成してくれ、オンラインで印刷所に発注することになった。

こちらの丸山さんも、本業には関係ない部分でありながら、ロゴやメールアドレス、電話番号の配置、裏面のQRコード作成など、名刺デザインの何から何まで大変お世話になった。丸山さんなくして韋編三絶の名刺兼ショップカードは完成しなかっただろう。

流石ものづくりの人だな、と大変感心したのは、サイズや配置のバランスなど、その場で何度も印刷して、画面上だけでなく紙で確認をしてくれたことだ。その姿からは、納得いくまで何度も作り直す、職人魂を感じた。

そんな安心堂さんは開かれた町工場として予約制の試作工場というサービスを提供しているし、様々なものに印刷できる技術を活かして、グラスの局面に路線のイラストが描かれたローカルコミュニケーショングッズの、
沿線グラスや、足立区の町工場の人達の活動であるそれいけ!ものづくり部という団体を皆で立ち上げ、デザインフェスタなどにも出展されている。

そんな素敵でエネルギッシュな丸山さんのお力で、出来た名刺なのである。


書店、やってみようかななんて思いついてから、色んな人に背中を押してもらったり、思いっきり助けを借りたり、1人書店ではあるけれど、1人で書店になるのではなく、周りの人達の支えがあってようやく、書店を名乗らせて貰っているなぁと感じる。


本当に感謝してもしきれない。皆さん、いつもありがとうございます。


次回はそんな素人本屋初出店のお話。

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