「白夜さんとはじめ君」第一回ショートフィクション

 本編

今日で何日目だ?はじめはいつもの神社でいつものお賽銭代である5円玉を財布から取り出していつものお参りをする。2礼2拍手1礼。
 家から神社まで片道10分程だ。歩いて自宅に着いて自室のカレンダーに〇をつけ、何日目かをメモする。今日で115回目。お百度参りってやつだ。考えてみればとっくに過ぎているが。家族に見られるのは恥ずかしいので、そのカレンダーは印をつけた後で机の引き出しにしまった。
 神社に行くのは1月の10日から始めた。好きな人ができたことがきっかけだ。3組の白夜小町さん。小町なんてこの時代に珍しい名前だ。その名前を聞く機会があるのは歴史とか日本史の授業くらいだろうか。かの有名な小野小町。
 白夜さんはだれともまだお付き合いをしたことがないらしい、という噂を聞いた。小町の名に負けないくらい容姿は整っており、高嶺の花という印象を受ける。しかし最大の原因はその両親である。恋愛を禁じており、門限が厳しく、習い事で放課後の予定が埋め尽くされている。百夜通いよろしく娘を嫁に一生やらない気なのだろうか。もっとも小野小町の場合求婚を退け続けていたのはその本人なのだが。
 そういえばこまちという名前は新幹線や猫の名前でも聞くことがある。その由来は何なのだろか、と考えたところでめんどくさいので止めた。
 白夜さんは人当りもよく頭もいい。テストでは必ず5本の指に入る順位である。そんな感じでみんなからも人気があり学級委員をやっている。
 そんな完璧人間に比べて僕はと言えば成績も真ん中くらい、部活も帰宅部であり友達とコンビニに寄り道しながら帰るくらい放課後は無限の時間がある。何かを始めてもすぐに飽きてしまう。いいところと言えば白夜さんの両親が厳しいことを知っていながらも好きでいられるほど楽観主義であるところだ。別に困難なことに燃えるような熱血漢でもない。
 そんな飽きっぽい僕だがお百度参りだけは続けることができた。小さなことではあるが今までの自分とは明らかに違うところだ。自分がかっこよくなったのではないか?と錯覚してしまう。白夜さんに感謝である。
 100日続いたし次は200日を目指してみようかな。
 終わりがないのに胸が躍るのはこれが初めてである。


作者あとがき

 一年ぶりにアカウントを開いて何をするかと思えば小説を書いてみよう!というところでした。
 去年の今頃は書評をしなから自分の読書力を高めようと思っていましたが、著作権やらなんやら調べているうちにやめてしまっていました。

 小説を書きたいという思いは昔からあったしこれなら著作権について考えなくてもよい。やったぜ。

 プロになりたいとかは今のところありません。細々と文章を趣味程度に書きながら本好きな人と繋がりたいし、自分を表現してみたいと思いました。今回初めてすっごく短い短編を書いてみたのですが予想の20倍くらい時間がかかりました(汗)

これからちょくちょくあげていきます。

作者メモ欄


白夜・・・薄い朝が続く。プランクトンが活性化する。南極で12月、北極で6月
極夜・・・ずっと夜。オーロラが見える。南極で12月、北極で6月。
白夜君・・・ずっと明るい子。周りを笑顔にする子
極夜君・・・寡黙だがどこか惹かれる。
一君・・・はじめ君。白夜君とともに過ごすと百夜になる
百夜通い・・・小野小町と深草少将。百夜通ったら付き合うと言って本気にして毎晩通ったが、最後の雪の夜に息絶えた。
→101日目を迎えたら成就するのでは?
お百度参り・・・願いが叶う

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