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三鷹から柳沢に移転した理由

第2回目のNOTEでは、古本屋を三鷹から西武柳沢に移転させた理由についてご紹介します。

ことのはじまりは出版不況です。やはり本の売り上げが減っていて古本屋の営業が大変だということが大前提としてありました。

BOOKS三鷹は今から16年前の2005年に開店。開店直後は大赤字で1年で潰れかけました。そこからスタッフの協力を得て2年目から回復。その後3年ほどは売り上げが順調に伸びていました。(当時はスタッフが10名以上いました。懐かしいです)

しかし2011年の東日本大震災が起きる少し前から売上が減っていき、6年前の2015年には底を打ったと感じるほど本は売れなくなりました。店主の収入は生活保護を下回ります。

しかしお金のことを考えなければお店はやっていけます。だから三鷹で古本屋を続けていてもよかったのですが、まだこれ以上本の売上が減りそうだという不安もありました。

また、店主は50歳直前となり、「このまま一生同じ形態で古本屋を続けていても良いのか?」という疑問も持ちました。マンネリ化していたので、「古本屋をするにしても何か変化が必要なのではないか?」と考えたのです。

そんな中、新型コロナの感染拡大で世の中は大きく変わりました。

古本屋にも休業要請があり、店を開けられなくなりました。

そして東京都からの休業要請を受けて店を閉めたとしても、古本屋には十分な保証が出なかったこともダメージとなりました。店を閉めれば飲食店は1日60,000円もらえますが、古本屋は1日20,000円。

しかもBOOKS三鷹のように家賃の高い場所(月に約40万円)で人を雇って経営しているお店でも、家賃ゼロで週に1回のしか営業しないお店でも、もらえるお金の額は変わりません。コロナ禍はチャレンジしている人ほど苦しい時間となりました。もし再び何かのウィルスが流行ってしまったら…次は無い。

もちろん東京都の協力を無視して店を開け続けると言う選択肢もありました。ただ、お店を運営するにはスタッフが絶対に必要です。そのスタッフに「店を開きたくない」と言われた場合、それに逆らえないのが小さなお店の店主です。そういったことも、三鷹を離れる要因の1つとなりました。

では、なぜ移転先を柳沢にしたのか?

1つには家賃が絶対的に安かった。東京都でここまで家賃が安い土地はありません。もちろん売上が期待できないから家賃が安いという事情があるかと思いますが、それを差し引いても安いです。

そして駅前の立地も魅力でした。古本屋にとって交通の便が良い場所は魅力的。柳沢駅は西武新宿線だけでなく、西武バスも多く乗り入れており、三鷹や吉祥寺へのアクセスが良いのです。

また、通勤のしやすさと言うものがありました。店主が頼りにしているスタッフも店主も毎日自転車通勤でしたが、体力的なことを考えたらもっと通勤しやすい場所がベターでした。そういった意味でも柳沢はちょうど良い場所だったのです。

もちろん本当は三鷹で移転先を探したかったのですが、安くて良い物件が三鷹では出なかった。当然ですよね。

だから、移転は売上が良くなりそうだから、お金が残りそうだからというものではありません。むしろ引っ越せば更に店主の収入は下がるでしょう。ただそれを差し引いたとしても、長い目でみたら柳沢に引っ越したほうが長く古本屋をできると判断したのです。

三鷹で古本屋を16年と8ヶ月営業したことになりますが、終わってみれば良い思い出しかありません。常連さんはたくさん付いていますし、人柄が良いお客さんも多いです。(もちろん狂ってるお客さんもいましたが…)

ただ心残りだったのは、「三鷹だと吉祥寺に遊びに行ける!」と思って三鷹に店を開きましたが、店を始めてみれば忙しく、店主が吉祥寺に足を運ぶ事はほとんどなかったことでした。

という訳で、今回のNOTEでは古本屋を三鷹から西武柳沢に移転させた理由について書きました。

柳沢のお店はこれからつくっていきますので、その様子もご紹介したいと思います。

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