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吾輩は古本屋である(2)電子決済はない

本日も忙しかったので【吾輩は古本屋である】の続きを書きました。見様見真似で古風な文章を書くことは楽しい。ただ、店主は古文の勉強をしたことがないので、ツッコミどころ満載かと思います。それも含めて好意的に読んでいただけたら幸いです。

吾輩は古本屋である。電子決済はまだない。店主は高価なレジスターの購入に後ろ向きである。また狭き店舗に専用機器を据え置くことにもためらいがある。さらにペイペイとやらに支払う手数料をも考慮しているようだ。

とある日に一人のご婦人が当店を訪れた。児童書の集まるところに向かい熱心に絵本を選んでいる。お子さんがおると心得る。数分後に七冊の絵本を手にし会計に向かう。

しかしそこで驚きの問いかけが店主に飛ぶ。電子決済は使えるか否か。店主は穏やかに答える。使用には至りません。ご婦人は鞄をさぐり財布から二千円を見つけ出す。これで足りるかと問う。店主は価格の計算を試みる。合計千四百円なり。微笑みながら店主は答える。充分ですよ。

ご婦人はかも安く買えるのかと驚く。店主は余裕で答える。古本にすぎぬ故。小さな町の商いはこの程度なり。かくして古書店が儲からざる職業であることが理解できよう。こんな仕事を楽しんで行う店主は甚だ変わり者である。吾輩としては電子決済だけでも早急に導入すべしと考えている。時代の潮流に逆らわず迅速な対応が肝要であると忠告したい。ただしそれを古本屋が語るのもどうかと思う。故に今宵も暖かく見守っている次第である。

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