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店主と、本のある暮らし November 2022

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


十一月の扉

November 1, 2022

今日から11月ですね。
11月になると、決まって思い出す本があります。

それが、高楼方子さんの『十一月の扉』です。

初めて読んだのは中学2年生の頃(この作品がリブリオ出版から出たたばかりの頃です)。
「この本面白そうじゃない?」と、書店で母が見つけて薦めてくれたように記憶しています。

それが本当に面白くて!
札幌が舞台かな?と想像したり。(どなたか真相をご存じの方、教えてください!)

時を隔てて5年前の11月、満を持して再読。

大人になったのだなぁと実感する読後感でした。
あの頃の母と、感想を共有したくなるような。

その時の感想を個人アカウントに載せていたので転載します。

(2017/12/02)
ちょうど主人公の爽子と同じ年の頃に読んで以来の再読。
自立への憧れ、母親との関係、友人との関係、淡い恋心、未来への不安、大人を見る目の変化、カフェで書き物をしたくなっちゃうところとか、思春期がぎゅっと詰まったような物語です。
当時は多分、爽子にしか感情移入できていなかった気がするけれど、今大人になったからこそ、わかるわかる!と思えるところもたくさんあって、全ての登場人物がステキだし、十一月荘での生活が爽子にもたらしたもののステキさが、実感に近いような感覚でわかる。
今読んで良かった一冊です。

きっとまた、読む日が来るのだろうと思います。
***
『十一月の扉』
著:高楼 方子
発行:福音館書店 2016年初版


できるかな?あたまからつまさきまで

November 5, 2022

久しぶりのヨガレッスンに行ってきました。

友人の、インストラクターとしてのデビューレッスン。
彼女の姿に、ことばに、熱いものが込み上げてきて、涙腺は完全に崩壊。
デトックス効果倍増でした。笑

頑張り屋でいつも物事に真剣に向き合っていて、それでいて、お茶目で優しい彼女から教わるヨガは、なんだかすごく納得感があって、しっくりときて、心も体も元気になりました。

そんな今日は、猫のポーズも登場する、こちらの絵本をご紹介します。

いろいろな動物たちと一緒にいろいろなポーズをとって楽しめるこちらの絵本は、読み聞かせにもぴったり!
体を動かすのって、気持ちがいいですね。

ぜひ、一緒に遊んでみてくださいね!

*** 
『できるかな?あたまからつまさきまで』
作:エリック・カール
訳:工藤 直子
発行:偕成社 1997年初版


天動説の絵本

November 9, 2022

昨夜、帰宅途中の夫から「月、変だよ」とLINEが来て、思わず笑ってしまったのですが、皆さんは昨日の皆既月食と天王星食はご覧になりましたか?

我が家ではなぜ月食が起こるのかという話題になり、「太陽と地球と月が一直線になって、月が地球の陰になるからだよ」と得意気に言ってはみたものの、あれ?でも、それなら満月の時はいつもそうなんじゃないのか??という疑問がわいて、調べました。
わかっているようでわかっていないこと、忘れていることって、ものすごく多いですね。
時々アウトプットしないと、すぐに抜けていってしまいます。

それにしても、天文学は不思議なことが多く、わくわくゾクゾクします。
不思議なこと、理解できないことに直面した時、物語の力を借りて安心させようとする心理が、よくわかる気がします。

その昔、人々は昨日のような月食をどんなふうに捉えていたのでしょう。
きっと、皆既ならぬ、怪奇に感じたのでしょうね。
「月、変だよ」のトーンは、夫のそれとは比べものにならないくらい、鬼気迫るものだったかもしれません。

安野光雅さんの『天動説の絵本』は、「天動説を信じていたころの人びとは、世界がどのようなものだと考えていたか」を不思議な絵とことばの力で切実に伝えてくれる絵本です。

その時代の人々の思考や世界観を、こんなふうに表現できる安野さんの絵とことばの素晴らしさを感じずにはいられません。
天動説の絵本ではありますが、その考え方には、もっと他の多くの問題を孕んでいることを物語っています。
世界史を学び始めたお子さんや、大人の方にこそ、じっくり味わってほしい一冊です。

*** 
『天動説の絵本』
著:安野 光雅
発行:福音館書店 1979年初版


モモ

November 12, 2022

思い入れのあるもの、大事なものついて話すときこそ、何から話そう?独りよがりかな?この言い方は完全ではない!ちょっと照れる……などいろいろ考えて、混乱するということはありませんか?
今まで気がつきませんでしたが、先日指摘されて気がつきました。
わたしは確かに、取り乱すタイプだということに。

わたしにとって『モモ』もその一つかもしれません。
初めて読んだのは、中学生の頃でした。
それまでも何度か読もうと挑戦していたのですが、難しいな…と思って諦めていたので、最後まで読めた時にはとても嬉しかったし、こんな素晴らしい物語、今まで読めなかったなんてもったいなかった!と思ったものでした。

受験や就活や卒論など、何かと焦って我を見失っているような時に、自然と手に取って読んでいた、思い入れのある一冊です。

1972年に書かれたものであることから、現代の課題を予言してると言われることも多い本です。
確かに、タイパ(最近聞き齧った言葉です)を重視する傾向が加速している今、時間貯蓄銀行は大繁盛していそう。
でも、1972年当時には、すでにファストフード店もありましたし、1976年に書かれた訳者のあとがきからも、人々は「時間がない」「ひまがない」と毎日のように口にしていたことがわかります。

きっと、時間をどう捉えるのかという問題は、古今東西、普遍的なテーマなのだと思います。
そして、一人ひとりの問題なのです。

『モモ』を読んで、モモと一緒に時間について考えながら、わたし自身の答えのようなものをその時々で見つけていたような気がします。
エンデや、マイスター・ホラや、モモからの受け売りではなく、自分自身の。
その読書体験こそが、大切な宝物になっています。

まだ書きたいことがあるような気もするのですが、まとまる気配がないのでやめておきます。

以上、ミヒャエル・エンデの誕生日に寄せて、取り乱しそうになりながらご紹介しました。

『モモ』を読んだ後は、ぜひ『サーカス物語』も読んでみてくださいね。

*** 
『モモ』
作:ミヒャエル・エンデ
訳:大島 かおり
発行:岩波書店 1976年初版


王様のお菓子
サンタクロースと小人たち

November 18, 2022

今日から始まる、EBRIさん(@ebrinopporo)での「焼き菓子と絵本」
KOKOも土曜日と日曜日に出店します!

お菓子気分が盛り上がっているので、お菓子の絵本をご紹介したいと思います。

『王さまのお菓子』は、フランスのガレット・デ・ロワを題材とした絵本です。
これは、新年(1月6日:キリストの誕生を知った東方の三博士が、お祝いに訪れた日、公現祭)に家族や友人と切り分けて食べるパイなのですが、パイの中にはフェーヴと呼ばれる置物が入っていて、自分のパイにその置物が入っていた人は、その一年、幸福になれると言われているのです。

あれ?なんだか似たものをフィンランドのクリスマス絵本『サンタクロースと小人たち』で見たことがあるような。
読み返してみると、やっぱり!
北欧では、クリスマスにみんなで食べるミルク粥にアーモンドを入れておき、当たった人にとって、新年は良い年になると言われているのだそうです。
新年をお菓子で占う風習は日本にもあり、フォーチュンクッキーのもとになったと言われる辻占煎餅、辻占菓子というものが、似ているように思います。

新年には、占いをしたくなるものなのですね。

ガレット・デ・ロワにも辻占煎餅にも馴染みがなく、思い浮かぶのはせいぜい当たり付きの駄菓子(わくわく感は負けていないはず!)くらいなものでしたが、調べてみると、近くにもガレット・デ・ロワを楽しめるお店がありそう!

兄弟喧嘩の火種になりそうで迷うのですが、ちょっと興味もそそられる、今日この頃です。

*** 
『王さまのお菓子』
文:石井 睦美
絵:くらはし れい
発行:世界文化社 2021年初版

『サンタクロースと小人たち』
作:マウリ・クンナス
訳:稲垣 美晴
発行:偕成社 1982年初版


ゆきのようせい

November 22, 2022

今日から小雪ですね。
先日初雪も観測され、今年もいよいよやってきたかと身構える季節でもあります。

初雪前には、雪虫もたくさん飛んでいましたが、もう見かけることはありません。
その頃は、玄関の扉を開けると、子どもたちも「あ、冬の匂い!」なんてはしゃいでいましたが、いつの間にかその匂いも感じられなくなりました。
もう、始まりではなく、冬の中にいるということなのでしょう。

吹雪や大雪の日の通勤通学、連日の雪かきや車が轍にはまるトラブル。
考えるだけで気が重くなるのですが、楽しみ方もたくさんあるのが雪の魅力です。

積もった雪も良いですが、わたしは、降り始めの雪が大好きです。
山の木々や街路樹に、粉砂糖をたっぷりふりかけたようにのっている雪の風景には、一瞬にして心を奪われます。
その風景を見られるのもまた、ほんの一瞬!

始まりを感じられるのは、ほんとうに一瞬なのですよね。

ああ、まだまだ冬の始まりに立ちどまっていたい!笑
『ゆきのようせい』は、冬の訪れを知らせる、雪虫のお話です。
札幌の街並みが描かれたこちらの絵本で、冬の始まりの余韻にひたりませんか?

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『ゆきのようせい』
著:松田 奈那子
監修:石黒 誠
発行:岩崎書店 2021年初版


しんせつなともだち

November 27, 2022

先週のËBRIさんでの出店の帰り、えぶり市場で大きなカブを見つけました。
わくわくするほど本当に大きなカブで、迷わず購入!

どのくらい大きかったのかというと、『しんせつなともだち』に出てくるカブくらいです。

しんせつが(カブが)めぐりめぐってくる、シンプルながらほっと温かくなるストーリー。
しんせつはめぐりめぐるんだよ、なんてことではなくて。
めぐりめぐるお話そのものが楽しい絵本です。
これからの季節にもぴったりですよ!

*** 
『しんせつなともだち』
作:方 軼羣
訳:君島 久子
画:村山 知義
発行:福音館書店 1987年初版

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