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店主と、本のある暮らし May 2022

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


わたしの子

May 4, 2022

自分自身が娘だからか、そして、娘をもつ母親だからなのか、
母と娘の物語は、ついつい手にとってしまいます。

娘が生まれたとき、まさに湧き水のように、何かキラキラとした熱いものが、とろとろと胸の奥からとめどなくあふれ出してくるのを感じて、もしかしてこれが愛なのか!と思ったことを時々思い出します。
同時に、この子を傷つけたり悲しませたりするものから絶対に守ろうと、母熊に親近感を覚えたことも。

そうして始まった初めての子育ては、今年で9年目です。

必要以上に強い言葉で叱ったり、話をちゃんと聞いてあげられなかったり。
保育園の掲示板を見逃して忘れ物をしたことも、娘の悲しそうな顔を見たことも、一度や二度ではありません。
仕事も中途半端な気がするし、私、何やっているのだろう……と、何度ため息をついたことか。

『わたしの子』には、いつかの自分の日記かな?と思わせる、母親のリアルが綴られています。
子育てがキラキラばかりではないことは、きっとどの家庭も感じていることなのではないでしょうか。

だから、そんなにネガティブにとらえすぎなくてもいいのではないか、と思います。

その分、キラキラな瞬間を楽しんで、噛みしめて、共有できればオッケー!と。
人は幸せには鈍感なものですが、実は幸せな瞬間の方が多いのではないかと思うのです。

ところで、産後のあのキラキラや攻撃性は、オキシトシンというホルモンの仕業のようです。
ホルモンには振り回されっぱなしです。
でも、あのキラキラを思い出しては気持ちがリセットされるから、やっぱりホルモンに助けられているのでしょうね。

明日はこどもの日ですね。
大好き、私の子どもたち!

***
わたしの子
著:ヒルデ・ハーゲルップ、クリスティン・ローシフト
訳:ひだに れいこ
発行:英治出版 2021年初版


正欲

May 11, 2022

一向に減る気配のない積読。
最近は図書館で6類の産業関連の本も次々借りるものだから、
どうしても、返却期限のない自分で買った本は、後回しになってしまいます。

そして、リアルな積読だけではなく、デジタルの積読も増えました。
例えばInstagramでは、読みたい本を見つけるたびに「保存」しているので、私の保存済みコレクションは、まだ手にしてすらいない「デジタル積読」であふれているのです。

そんな店主のリアルな積読のひとつ、『正欲』。
読みたくて、早く読みたくて、でも、片手間には読めない気がして、
かと言って、積まれているのはもったいない気もしていて、
ついに夫に、「先に読んでいいよ」と手渡したのでした。

***
『正欲』
著:朝井 リョウ
発行:新潮社 2021年初版


あっちこっちほんやさん

May 15, 2022

札幌ハンドメイドマルシェ、つどーむにて開催中です。
昨日無事に1日目を終えて、今日は2日目、最終日の朝を迎えました。

店主の絵本、たくさんの方に手に手にとっていただきました。

作者なので、当然内容はわかっているのですが、あらためて読むと、公園の市場で本屋さんをつくるお話は、マルシェで初めてのお店を出している本屋の自分の状況にぴったり!
と、なんだか感慨深く……。

昨日は子どもたちはお店には立ちませんでしたが、『あっちこっちほんやさん』がそばにあったので、心強かった!

マルシェで手にとってくださった方も、ネットショップから買ってくださった方も、移動本屋で買うのを楽しみにしてくださっている方も、本当に、ありがとうございます☆

***
『あっちこっちほんやさん』
著:mami
発行:石田製本株式会社 2022年初版


あいうえおのき

May 18, 2022

今日は「ことばの日」。人とつながる「ことば」を大切にしたいとの思いが込められた記念日です。
記念日として登録されたのは2019年なので、まだ新しい記念日ですね。

ことばと言えば、レオ・レオニさんの『あいうえおのき』が思い浮かびます。
あいうえおの木には、文字たちがそれぞれお気に入りのはっぱの上で楽しく暮らしているのですが、ある日嵐が文字たちを吹き飛ばしてしまいます。
木に残った文字たちは、もう風に吹き飛ばされないようにと、互いにつながって、ことばを作り始めます。
そして最後に、大事な文章をつづるのです。

文字たちが一所懸命考えた一番大事なことって何だろう?と思って読み進めるのですが、そうか、これだったのかと。

今夜、仕事が終わって子どもたちも帰ってきたら、読み聞かせをしてみようかなと思っています。

***
あいうえおのき
著:レオ・レオニ
訳:谷川 俊太郎
発行:好学社 1975年初版


いろいろへんないろのはじまり

May 22, 2022

6月1日に出店させていただくイベント「Blunchママタイム」に向けて、ただいま鋭意選書中!
当日は、KOKOにとって、店主の絵本を除いては初めてとなる、本の販売を行います。

今回は、イベントフライヤーのイメージカラーに合わせて、本を選んでみようと思っています。

どんな棚になるか、一番わくわくしているのは、自分自身かもしれません。

好きを見つけに、思いを話しに
出会える、繋がれる、癒される、知れるがココにある
6月1日は、Blunchママタイムにぜひお越しください☆

Blunchママタイム
日時:2022年6月1日(水) 10:30~14:00
場所:BRANCH札幌月寒 @branch_sapporotsukisamu
@miratobi4

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『いろいろへんないろのはじまり』
著:アーノルド・ローベル
訳:牧田 松子
発行:冨山房 1975年初版


小さな木 あるがままに子育て

May 27, 2022

出版社に本を注文して、それが「いどうほんやKOKO」宛に届くという、当たり前の業務になっていくかもしれないこの出来事が、今はとても特別で、感動的な瞬間です。
この気持ちを、ずっと大切にしたいなと思います。

私自身が読みたいと思った本や、来て下さるお客様をイメージして本を選んでいますが、『小さな木』もそのひとつ。

ママイベントに合わせて選んだのですが、私にとっても宝物にしたい一冊になりました。
子育てでの悩みは、取るに足らない(と、後で思う)小さなことも含めて膨大です。
膨大なだけならまだ良いのですが、なんだかとげとげしたものも多くありませんか?

夜な夜な検索サイトやSNSで調べたり、動画を見たり、How to本を借りてきたり……
具体的なものを詰め込むと、覚えきれない上に、ますます頭でっかちになってしまったりするのも、また悩みでした。
ひとつひとつを解決するには、具体的な事例が多すぎる!

『小さな木』では、子どもを木になぞらえ、親子の成長について、わかりやすく、やさしく語りかけてくれます。
この抽象性がなんとも心地よく、読んでいるうちに、とげとげもなくなっていくよう。
悩んだ時にはそれだけを思い出せば、いろいろなものが見えてきそうだなあと妙に納得して、心が軽くなりました。
森や自然が身近な北海道民にとっては、より腑に落ちやすいのではないかと思います。
著者の野村直子さん、実は、北海道にもゆかりのある方なんですよ。

小林マキさんのイラストも素敵なこの一冊、6月1日の「#Blunchママタイム」に持っていきますので、ぜひご覧になってみてください。

***
『小さな木 あるがままに子育て』
著:野村 直子
絵:小林 マキ
発行:雷鳥社 @raichosha 2021年初版


トーメイくん

May 31, 2022

1通のメールで出会ったこの物語は、たくさんの海を渡って、いどうほんやKOKOに届きました。

『トーメイくん』は、鹿児島市の第6回児童書出版助成作品に選ばれた作品なのですが、渡ったのは日本の海だけではありません。
この本は、鹿児島在住のご夫婦と、イギリス在住の娘さん、そしてそのご家族がみなさんで時間をかけて丁寧に創られ、東京の絵本屋さんで出版された本なのです。

それが、北海道の、始まったばかりの小さな本屋に届いているのです!

古いお屋敷に住む『トーメイくん』は、悪夢に悩まされる住人たちの夢を吸い取り、傷ついた良い夢を返してあげるのがお仕事。
「子どもからおとなになるのは大変なこと」。でも、「ずっと手放さない何かがきっとのちの人生で宝に」なるという、作者の田辺さんのことばが、私の胸にもジーンと響きます。

まさに、子どものころから手放さなかったものに、私はずっと支えられています。
ときにはそれが、悩みの種になることもあったし、忘れたふりをすることもありました。
でも、大人になる過程で出会った人、もの、経験、意味がないと思えるようなものまで全てが、それを守って磨いて育ててくれた気がしています。
私のところにもきっといてくれたトーメイくんに、感謝しなければですね。

今度はみなさまのところに、『トーメイくん』をお届けできることを楽しみにしています。

まずは明日のBRANCH札幌月寒で!

天気、どうにか穏やかになりますように。

***
『トーメイくん』 @little_tomei
文:田辺アツコジョーンズ
絵:田辺カリナジョーンズ、ロイ・ジョーンズ
発行:ニジノ絵本屋  2022年初版

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