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レティシア書房店長日誌

「装う書」静峰展 
  
 本日より静峰さんの書展を開催いたします。4回目の個展となりますが、「装う書」と題した今回は、布と書の共演が美しく結実した感があります。
 10年ほど前、静峰さんが初めて店に入ってこられた時、なんてお洒落な方なんだろうと思いました。話しているうちに、書をされていることがわかり、2013年初の個展をレティシア書房でしていただけることになりました。書を掛けるのは和室、それも床の間がなくては、などと考えがちですが、書と布を合わせて作り上げた静峰さんの作品は、とても面白くカジュアルで、場所を選びません。
 


「鶴」の書は、タンチョウを思わせる紅があしらわれた着物地と出会い、すっきりとした装いになりました。「木漏れ日」は、拾った枝で書かれたそうで、墨色の布地の上で光がゆらゆら揺れているような印象です。今回初めて出展された「かな文字」の作品もいくつかあり、その嫋やかな書と、繊細な布の柄のコラボレーションが楽しいです。どの作品も帯、半襟、帯揚げを選んで着物を着るように美しい。書と、布を合わせる時が本当に楽しいのだそうです。
 たまたま個展を見られた表具師のHさんからアドバイスを受け、数年前から静峰さんは、パネルに布と書(和紙)を貼る技術を学び直されました。その甲斐あってすっきりと仕立てられた作品群からは、奔放な書の魅力がさらに力強く迫ってきます。何より楽しんで作っている、ということが見る者にストレートに伝わります。好きなことに出会った喜びと、長く続けてきた自信によって、とても素敵な展覧会になりました。センスの良い布選びと、型にとらわれない書は、技術力に支えられた意匠でさらに魅力が輝きを増し、これからまだまだ新しい展開がありそうです。(女房)
✴️ 静峰展「装う書」は11月1日(水)〜12日(日)     
          月火定休 13:00〜19:00(最終日は18:00まで)

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