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農夫の胸の裂傷はひざまずく修道女の祈りによって光につつまれ、致命のものではなくなりつつ…
土埃が霧のように舞うほどの土砂降りに、荒野の枯れ木など庇にならない。 だからその枝に…
近辺の魔術師が《至宝の森》とよぶ地の大樹から、少女の形をしたものが零れ落ちた。浅い泉が…
「眩しすぎるな」 輝くビル群に囲まれたハイウェイ上。魔導バイクに跨った青年が、夜風に外…
崩れ落ちた小さな孤児院を月光だけが照らしている。 癖毛の修道士リーンハルトは、その命…
ミストラーデ聖教会が攻めてきたってことを伝えにかび臭い死霊研究室へ飛び込んだら、親父は…
ボクが子供の頃、草と木と岩以外なんにもない小島で、父は言っていた。 「セシルよ。実はな、俺は王様なんだ。領土はこの島だ」父は赤銅色の太い腕を誇らしげに広げた。 「ふうん」ボクはウミネコを眺めるのに夢中だった。「国民は?」 「俺とお前だけだ」 「少ないね」 「それでもお前は立派な王族だ。いずれお前がこの素晴らしい国を継ぐ。だから誇り高く育つのだぞ」 ……で、十年後の今、父は病に倒れた。逞しい躰もすっかり痩せこけて、見る影もない。 こりゃもうダメかなと思って早