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憲法について

非常に刺激的で暑い日だった。

憲法と聞いて右左、じぶんには関係ない、と感じるひともいるかもしれない。

日本という国に属してしまっているひとたちの生活は、間接的に民主制度で、政治や行政と関わっている。

直接民主を唱えるルソー的にはアウトなわけだが、一応民主制を唱える日本。

憲法とは、社会契約そのものである──そのようなことを再実感させられるはんどう大樹さんの憲法についての講談を拝聴してきた。

80名予定のところへ100名を超える参加者。
中学生と高校生がいたのも印象的だった。

普段意識することのない憲法──GHQの草案から作られたのは事実だが、それを咀嚼し憲法の成立に力を尽くした「憲法大臣」金森徳次郎らの尽力の上に戦後作られた。

憲法は誰のためにあるか?
国家権力が民衆を押さえつけていた明治憲法や軍国主義の歴史。

弁護士のはんどう大樹さんは権力者たちを百獣の王ライオンに、憲法を檻に喩える。ライオンを雇うのは檻がなければ契約にならない。
檻は壊したりゆるめたり、ライオンがすることなく、でしっかりと囲むためのものである。

はんどう大樹さんの講談を拝聴し改めて、9条の拡大解釈をさせてはならない、また、臨時国会の召集、実施の期限がなされていない53条など改正すべき点もあることを再認識させられた。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

拡大解釈が進まれていないか?

第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

召集期限が明記されていない

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

2/3から過半数に変更しようとしていないか?
檻を緩めようとしていないか?

日本は間接民主制だが、普段、学校教育や家庭でこうした政治や宗教のイデオロギーを超えて、憲法の話を真剣に子どもたちとしているだろうか?

政治的な話≒マナー違反とまで取られかねない風潮はどのようにして生まれたのか。

講談を拝聴していて、親が知らなくてどうして子どもに話せるかという点は前川喜平さんと共通しているように思えた。
政治や宗教というイデオロギーの垣根を超えて国民主権のデモクラシーに希望を持ちたい。
憲法は改正すべき点もあるが、権力側に都合の良いよう密室会議で抜け穴をくぐらせるべきでない。

第一八章  政府の越権を防止する方法
公僕としての為政者  これまで説明してきたことから、第一六章で検討してきたことが確認される。すなわち政府を設立する行為は、決して契約ではなく、一つの法であること。執行権を委ねられた人々は、決して人民の主人ではなく、その公僕であること。人民は好む時に、彼らを任命し、解任することができること。執行権を委任された人々の役割は、契約を結ぶことではなく、服従することであること。こうした人々が国家から課せられた任務をひきうけるのは、市民としての義務をはたすものにすぎず、委任された条件については、いかなる意味でも議論する権利がないこと、である。  だから人民が世襲制の政府を設立したとしても、それがある王家が支配する君主政であるか、市民の一つの身分が支配する貴族政であるかを問わず、人民は[支配者と]ある約束をしたわけではない。[こうしたさまざまな統治形態は]人民が別の統治形態を採用したいと考えるまでに定められた仮の統治形態にすぎないのである。

『社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)』ルソー著

社会契約としての憲法──いま、憲法という、権力を握ったものたちを縛る檻は緩めようとするどころか壊しかけてもいる。

権力者側が守るべき憲法を国民に守らせようと変更しようとしていないか?

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕

『檻を壊すライオン』はんどう大樹さんはこの「与へられる」のは生まれ持ったものであると解説

基本的人権は生まれたときからある、天賦人権のはずであり、現行憲法第11条に明記されている。その人権の「与へられる」という部分の削除まで盛り込んだ明治憲法の復活にすら見えてくる2012年の自民党改憲草案

じぶんのこととして、憲法についてしっかりと学び直し、目を光らせておかねばならない。

憲法違反を取り締まるのは、我々、国民である。

子どもたちに、政治、経済、社会の公共性について関心を持つ教育を。
おとなは、無関心を装うべきでない。

知ることの一歩と考えざっくばらんに政治や憲法についてもっと身近な場で語り合うことや、そして行動、選挙に行くことや間違えているということには間違いだと声を上げることが大事である。



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