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2021年6月の読書メーターまとめ

2021年6月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4678ページ
ナイス数:186ナイス

今月は13冊。

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https://bookmeter.com/users/1216030/summary/monthly

6月 印象に深く残った本

生かされて
失われた巨人
白の闇
リカルドレイスの死の年
ペンギンの憂鬱

この5冊はとても印象に残りました。
中でも「生かされて」は色々な方たちに読んでもらいたいルワンダジェノサイドを生き抜いた女性の手記でした。

感想

13冊中いくつかは過去の記事に感想を書いています。


■ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
最近ずっと自分の好きな本ばかり読んだり、再読したりしていたが、この本は久しぶりに妻と二人で読んだ。

可愛らしい表紙とは裏腹に、かなりシュールであり、また、当時のウクライナの複雑な情勢を背景に持っている事が伝わってくる反面、所々ユーモアがあってクスッとさせられてしまう社会派現代ロシア文学。

ちなみに、とても、というか、かなり、読みやすい!!!

読後、表紙を見ると、少し切ない。
読了日:06月27日 著者:アンドレイ・クルコフ
https://bookmeter.com/books/573023

■白の闇 新装版
伝染病のように広がってゆく謎の失明。病に翻弄される社会。崩壊してゆく社会の中での失明者たちの様子が、改行も少なく会話に括弧もない、怒涛のように溢れ出る文章によってリアルに描かれている。見えない者に名前は必要なく、ただ声だけがある白の闇。目が見える、目の見えない人々。でも、見ていない。「目が見えない人のなかで最悪なのは、見たいと思わない人」文庫版p371
読了日:06月24日 著者:ジョゼ・サラマーゴ
https://bookmeter.com/books/11576

■ヴェニスに死す (岩波文庫)
「けれども、この人はあの向こうにいる、青白い、かわいらしい魂の導き手が、自分にほほえみかけ、合図しているような気がした。」

死者の天使を想像した。
読了日:06月22日 著者:トオマス マン
https://bookmeter.com/books/28134

■マチネの終わりに
リルケの悲歌第五の引用がその後の2人の未来への暗示であったり、イラク戦争や旧ユーゴ民族紛争など、そうした地域への著者の祈りのように思えた。
静寂の音楽といえば、アファナシエフが以前、静寂の中にこそ、人の感情に揺さぶりをかけるのがあると言っていたのを思いだす。
静寂の中の大人の恋愛小説。
読了日:06月21日 著者:平野 啓一郎
https://bookmeter.com/books/10732827

■夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)
記憶をテーマにしてミクロからマクロまでを対象に深く考えさせられる彼の長編作品群から少し趣が変わり、夕暮れ、人生の黄昏時をテーマに音楽とともに読める小品集。それぞれの短編で出てくる登場人物たちが他の話で出てくる為、フーガのような作品に仕上がっている。

失われた過去の儚いノスタルジーたち。

老歌手はフランクシナトラを彷彿させた。
読了日:06月19日 著者:カズオ イシグロ
https://bookmeter.com/books/2305583

■浮世の画家〔新版〕 ((ハヤカワepi文庫))
信念に従って行動し、全力を尽くして事に当たった。
戦前、国の為に描き続けた画家の大家、小野は、敗戦後、画家を引退する。
妻に先立たれ、次女の結婚を危惧したりしながら、過去を回想し、ハッピーエンドで締めくくられる。
180度価値観が変わってしまった世の中で過ちも認めながらも、全力を尽くしていた事に自負の念をしっかりと心に持ち続けていた。
小野はその後も浮き沈みする世界を絵として残していくのかも知れない。
読了日:06月18日 著者:カズオ イシグロ
https://bookmeter.com/books/13245580

■遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)
人のエゴと感情の揺れによって変化していく記憶
5歳で長崎を離れたカズオイシグロの今となっては曖昧な記憶と重なるかのような長女が7歳の時までの主人公悦子の曖昧な記憶

曖昧になっているからこそリアリティを持って物語に読み手が引き込まれていく。

“記憶というのは、たしかに当てにならないものだ。思い出すときの事情次第で、ひどく彩りがかわってしまうことはめずらしくなくて、わたしが語ってきた思い出の中にも、そういうところがあるにちがいない。”(p221)

長編処女作からカズオイシグロは信頼できない語り手だった。
読了日:06月13日 著者:カズオ イシグロ
https://bookmeter.com/books/568342

■忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)
マーリンのかけた魔法で竜の息による霧が人種を問わずに人々の記憶を覆う。
ブリトン人の老夫婦アクセルとベアトリスは、サクソン人たちの村の穴倉で暮らしていた。しかし、彼らは村人たちから差別されている。そこで、遠くへ行ってしまった息子を訪ねる旅に出た。
国家や個人の記憶の忘却。
いずれも、都合の悪い事を覆い隠すことで取り繕っていても、やがてボロが出るものだ。正義と愛と復讐。
「悪い記憶も取り戻します。中略人生を分かち合うとはそういうことではないでしょうか」読書中ルワンダの事を思わずにいれなかった。
読了日:06月08日 著者:カズオ イシグロ,Kazuo Ishiguro
https://bookmeter.com/books/12306045

■悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)
著者のストイコビッチ愛を通して旧ユーゴ紛争前後のサッカー選手たちの苦悩や応援する地元民たちの愛、差別を知ることができた
読了日:06月07日 著者:木村 元彦
https://bookmeter.com/books/578448

■生かされて。 (PHP文庫)
1994年に起きたルワンダでのジェノサイドは僅か3ヶ月というスピードで80万人にのぼる犠牲者を出した。
著者はそのジェノサイドを生き抜き、カトリックの信仰を強めていった過程の中で加害民族への葛藤を激しくしながらも同時に赦そうとする。
本書はその著者の手記である。
民族間の憎悪を深めたのは紛れもなく植民地とした国々であり、対応の遅れた国際社会の責任は重い。
読了日:06月06日 著者:イマキュレー・イリバギザ スティーブ・アーウィン
https://bookmeter.com/books/216578

■新訳 アーサー王物語 (角川文庫)
※Kindle Unlimitedにて配信されていました。
アーサー王とその家来、円卓の騎士たちやアーサー王に重宝された魔法使いマーリンの冒険録。

角川文庫版「完訳  中世騎士物語──騎士道の時代」トマス・ブルフィンチ著  大久保博訳(昭和四十九年)の中からアーサー王物語に関する部分を、今日の若い読者のために編集しなおしたもの

ランスロットとアーサー王の妻、王妃ギネヴィアが物語の重要な役目を果たしているようにも思える
読了日:06月06日 著者:トマス・ブルフィンチ
https://bookmeter.com/books/358876

■リカルド・レイスの死の年 (ポルトガル文学叢書12)
読了日:06月02日 著者:ジョゼ サラマーゴ
https://bookmeter.com/books/128064

■Never Let Me Go (Vintage International)
That’s how I think it is with us. It’s a shame, Kath, because we’ve loved each other all our lives. But in the end, we can’t stay together forever.
(p258)
Poor creatures と言われるクローン、トミーがキャシーに言ったこのセリフ前後が確かに心がトミーたちにもあったことを印象付けられる。→
読了日:06月01日 著者:Kazuo Ishiguro
https://bookmeter.com/books/178437

まとめ

7月は6月ほど読めないかもしれませんが、ひとりポール・オースター祭りでもしているかもしれません。

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