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Over Drive

突き抜けたあなたの卑猥な姿が好きなの、と言い彼女はjudy&maryをかけながら車を走らせ僕を置き去りにして天に墜落した。
僕のエゴに満ちた下劣さも崇高さも全てを包括しながら彼女は僕に何も言わず蜃気楼の街へと旅立った。

あなたがいなくなって十年になりました。
正確には九年と十一ヶ月と三十日。
僕はあなたのあの時の歳をとっくに超えていて、今では妻と娘がいてあなたが子どもの頃過ごした土地で単身赴任です。

張り裂けそうになる心、誰かを求め拒絶と否定だけをされ続け、無闇矢鱈に何かを傷つけ夜を散歩する。

車道のヘッドライトに僕が照らされ、走馬灯のように傷いたことと傷つけてきたことを思い出し、通り過ぎていく六月の車のあとにあなたの影を探した。

いちばんだめだったときに僕を受け止めてくれたひと。

僕の横顔とあなたの横顔と、残されたスケッチブックに重ねて僕はときどき歩き、あなたの分と僕の愛するひとたちの分を泣いて笑って誰かと分けて生きている。

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