見出し画像

小学6年生のショートカット

思い切って髪をショートカットにした。

美容院の帰路、小学6年生のときの苦い思い出を呼び起こす。突然ショートカットにしたわたしを揶揄して、クラスの男子に「ダンディ」というあだ名をつけられた。バカな男子連中にからかわれるだけならまだいいが、好きな男の子にも「俺もダンディって呼ぼうかな」と言われてショックを受けた。せめて好きな男の子だけには、かわいいと思われたかったのだ。

容姿に関する、所謂「いじり」というものは人の心に傷を残す。「ダンディ」と呼ばれるムーブはほんの1〜2週間で終わり、当時そのあだ名をつけた男子諸君らの記憶にも一切残っていないはずだが、わたしは未だに根に持っている。

小学生など10年以上も前の話。さすがに今でも腸が煮えくり返るような思いを抱えているわけではない。ただ、ただたまに思い返して胸がチクりとなるだけ。実際に、植物のトゲが浅く刺さったような小さな痛みよりも、「Instagramで見つけたnちゃん(匿名)かわいい!同じ髪型にしたい」の気持ちが上回ったため、こうしてまた懲りずにばっさりと髪を切ったのだ。

家に帰ると、彼氏はちゃんと新しい髪型を褒めてくれたので嬉しかった。「前髪をきっちり分けたら『ビズリーチ!』のCMの子みたいになるよ」と下ろしていた前髪を分けてみせると、彼氏は「あはは」と笑った。他者に想定外のポイントをつつかれる「いじり」と、自分で意図した箇所をさらけ出して笑ってもらう「自虐」はまるで違う。
「ビズリーチ!」の子みたいに前髪をセンター分けにしたついでに、「ゲッツ!」もしてやろうかと思ったけど、それはできなかった。また、好きな人に「ダンディ」と呼ばれるのはつらい。


※ダンディ坂野さんへのネガティブな感情はありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?