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極私的批評 2021

どう最近?相変わらず伝言ゲームで唾吐いてる?

音楽・漫画・映画の3つに分けて、特に今年面白かったものをピックアップしてみました。購入や視聴のきっかけになれば幸いです。


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素晴らしかった2021年リリースの音楽

DOSMONOSとの出会いは最高のトピックの内の一つ、みるみるスターダム駆け上がっていく感じも最高。

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「過剰な近親への忠誠心 まるで中世の蛮習 晩秋の原節子 婚期逃してもまだ笑顔」のラインは今年ずっとリフレインしていた。

ドキュメンタル新シーズン冒頭で流れる新曲「王墓」も芸人の映像のコントラストがパキパキでめちゃくちゃ良かったな。「ゲラは即GetOut」蓋。今一番ライブが見たい人たち。



TSUTAYA大通り店の閉店セールで大量に手に入れた吉澤嘉代子はどの作品も絶妙なバランス感覚でジャパニーズポップス女王感が最高っす。

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通年繰り返して聴いたアルバム「赤星・青星」は紛れもない傑作ですので是非。先行で発表されたはMVがめちゃくちゃかわいいです。アルバム通して、男女の恋心をファンタジーな歌詞で歌われていて、聴き込むほどにじわじわ心に広がっていきました。「そうだよね、酸いも甘いもあるよねみんな、うんうん、過去があるからこその今だし、愛の形って複雑だよね」って感じ。

個人的には2021年を象徴するアルバム。多分1番聴いた。


快男児の集団こと、TENDOUJI。双子のような2枚のパンクロックアルバム、MonsterとSmokeをリリースしたんだけど、まあまあこれが素晴らしくって年末はずっと聴いていた。

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最近バンドでスタジオ練習をしていて、自分のギターフレーズのパターンの無さに途方に暮れていたのだけど「そうか!これだ!単音をスライドして、ドライブ感を出す事なら俺にも出来そう!ゲットアップキッズとかの感じだ!うおー!!!」

と勝手に奮い立たされました。バンドは楽しい。本当に本当にひたすら楽しい。演るのも見るのも聴くのも全部楽しい。これはきっと永遠だ。


WurtSは研究者であり、音楽家。

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あくまで研究の過程で今は音楽をしているに過ぎないとかなんとか。実際の音像はかなりごった煮。アジカンの王道00sリフ、フレデリックやカナブーン等の四つ打ちバンドサウンド、すっかりteenに根付いた感のあるラップでのアプローチ、全て絶妙にバンドサウンドなポップスとして昇華されていて、ずっと音楽を続けて欲しいと思った1stアルバム「ワンスアポンアリバイバル」タイトルからの匂わせやセルフプロデュースの緻密な部分と、よーく聴いていくとメロディや構造が実は一辺倒な部分とのアンバランスさも非常に成長が楽しみ。

確実に今後のポップスのど真ん中に居座って、かつ掻き乱す存在になり得るかと。言語感覚もユニークなので歌詞がこれからどう変わっていくかにも注目したい。個人的には心情吐露を上手く落とし込んでいって欲しい。


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白昼夢のようなショート漫画がめちゃくちゃ好きなんだ。

ここからは漫画紹介。基本的に10巻以上あるものは読みません。(連載中好きになってとかは例外ですけども)びしっと一冊で収められた短編映画のような漫画が好みです。(漫画以外もそうですが、ザックリ言うならば「憂鬱と笑いが同居」しているような表現に惹かれます)

宮崎夏次系が大好きなんですが、「アダムとイブの楽園追放されたけど」はかなりハートに来ました。

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いわゆるアダムとイブものをシュールに描いているんだけど普遍的な家族愛だったり、そこへの馴染めなさだったりが裏表無く正直に描かれていてとても美しかった。イブめっちゃレイジー。


女の体をゆるすまで」ペス山ポピー 世に出すには非常に勇気がいる作品だったと思います。

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永田カビ・まんきつ・中村珍 等の読者も著しく魂を削りながらではないと読めない系統の作家かと思いますが(今作は過去に受けたセクハラ被害についての実体験)読後感は不思議とサッパリとしていました。月並みだけど逆に勇気をこちらが貰う感じ。他人事じゃ済まされないからアップデートし続けていく。


海の境目」桃山アカネの連載デビュー作品。全6話からなる本作は「時田照が父親を刺した10ヶ月くらい前 私は芝犬のリンちゃんと台所にある包丁と一緒じゃないとよく眠れなかった」という台詞と眠っている主人公の姿の一枚絵からスタートします。「あなたの読んでいる本は心に余裕が無いと読めないものが多い」とよく言われるけれど、本作もまさにそれ。

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岡崎京子の描く絶望や閉塞感にとても雰囲気が似ている。みんな誰かに一言「大丈夫だよ」と言って貰いたいけど、大ごとになった後じゃなきゃ整理できない心情もあるよね。きっと。



色々読んだ中でも一番やばかったの何?」への回答は紛れも無く、

新井英樹「ひとのこ」

あらすじをまとめるのも一苦労な途方もない作品なので公式より引用

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「他人の「欲求」がわかってしまい意図的に他人と破壊的な関わりを持ち続けるみすぼらしい変人・天戸童。一方、世界一の資産家かつ無神論者ジェイムズ・O・ボスチャイルドが受けた啓示は「天戸童を救うこと」であった。奇妙な「救済の旅」が、今はじまる」

鬼才天才奇人異才な新井英樹さんがジーザスクライストを現代に蘇らせたなんて聞いちゃーいてもたってもいられずジュンク堂にダッシュ。今回もひたすらに暴かれました。「セカイ、WORLD、世界」で自意識の擬人化、及び対話を描いた章があり、スタイルの変容の兆しを感じたのですが、しっかりそこから進化していました。今、この世をキリストが見たらなんと言うか。考えてみて欲しい。これ読んだ後で街を歩いたり、地下鉄に乗るとすごくゾッとする。みんな俯いてスマホ見てるから。この記事もスマホから見ているでしょ?きっと。

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もうこの作品をもっと世の人に広めるためだけに書店立ち上げようとさえ思いました。年末年始のムードで財布の紐緩んでいる方は本作を是非お買い求め下さい。この世いつからかおかしいよな?だれも言わねーけどおかしいよな?って感覚が心のどこかにあるのならば、絶対に後悔はしないと思います。ワールドイズマイン未読でもここからでOK。新井英樹は新作が常に時代と密接にリンクしているので、すぐに読んだ方がいいです。


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あえて新作ではなく、旧作映画で光っていた作品

昨年のニート期よりは勿論鑑賞数は下がったけども、コツコツ新作も観れてハッピーな1年でした。旧作はアマプラか自宅の未見DVDにて鑑賞

印象的だったやつら

プロミストランド
マンダレイ
タンポポ
天使たちのビッチナイト
雨月物語
フィールドオブドリームス
ザ・セル
危険なメソッド
ブリーダー
アンセイン
ツインピークス リミテッドシーズン
台風クラブ

「年末年始にこれから見るとして、この中から一つだけオススメするとしたら?」

フィールドオブドリームス

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「それはなんで?」

普段なら鼻で笑うようなハッピーな夢叶う系映画かと思いきや、ファンタジーの原始的な楽しさが詰まった映画だったので老若男女全てにオススメ出来ると思ったから。不意をつかれた感じがありました。心のエアポケット掬われた感。オードリー若林と亡くなる直前の父親とのエピソードを思いながら見るとより心に響くかと。


「そんな有名なの、もう見たよ。他に無いの?」

マンダレイ

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「ラースフォントリアーの中期作品でアメリカシリーズの2本目か。観念的な「多数決主義」や 「自由主義」を力ずくで押し付けることや、人間を類型に当てはめようとすることの愚かしさを描く、暗くて大コケした映画をチョイスしたのは、何故?」

奴隷の恍惚を憐れむか憧れるかは観客次第。
幸福も視点を変えて見ると絶望や地獄に似ている場合もある。そして逆もまた然り。評価と裏腹に、ダークだが、リアルで完璧な構成の映画だと感じたから。こんなに悲しく冷たいコメディは彼以外、誰も作れないよ。大コケの影響か全然アメリカシリーズ3番目が撮られないけども死ぬまで待ちます。


「ベタだけど2021年の新作映画でベストは?」

メインストリーム

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「誰も見てないし、評価も低い、コッポラの孫が撮ったってだけの映画を選んだのはどうして?アメリカンユートピア・プロミシングヤングウーマン・SNS・アジアの天使、君がベストに上げそうなものが沢山あったのに、決め手は何?」

SNSを巡る人間の行動や思想、社会の状況などにとても興味があり、承認欲求がもたらす災禍をコンパクトで毒々しくまとめた本作への偏愛が止まらなかったため。悪意の魅せ方が絶妙でミームっぽい演出やキャスティングが個人的なツボにハマったから。何か起きたら反応しなきゃいけない。というような現代の強迫観念的ネット反射神経。さてリバイバル好きな人類たちよ。そろそろさぁネット離れねぇ?



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とにかく面白い映画がたくさんあって幸せでしたよ。年末大作のマトリックスとかヴェノムとか呪術廻戦とかまるっきり見てないけどね。普段の映画鑑賞は、☆ ◎ ○ マーク無 の4つに分けて記録しているのですが、☆獲得作品は以下になりました。

まともじゃないのは君も一緒

アメリカンユートピア

ライトハウス

2021年はミートゥーの影響を強く感じさせる作品が大健闘でした。プロミシングヤングウーマン・SNSの2作は必見です。なぜそんな2作品に☆が付いてないのか(◎と記録にはあります)正直自分でもよく分からないです…メインストリーム見るよりこの2作見た方が良いと思います…。



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取り急ぎ以上でございます。購入品とインプットが多い1年でした。帰省バスを待つ間に暇だったので今年2月から購入したCDの数を数えてみたのですが、340枚でした。1年で大体1日1枚計算っすね。全然印象に残ってない盤とかあるから考えもんですけど、仕方がないっすわ!働き始めるとバカスカ買えるんで良いっすね。ただし!働きたくなくなったら休んで自分を労りながら生きていて下さいね、みなさん。来年も全国民週休3日制を訴えながら、ほどほどに労働に勤しむ所存であります。

皆様ご自愛ください。今世もほどほどに。

来世でもよろしく。



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