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ブックオフに行くだけの簡単なお仕事です!

職場の雰囲気も良く、週末に社員みんなで自社ビルの屋上でバーベキューを開催する事もあります!積極的に社員の意見を取り入れて社内ルールをどんどん改善しています!一緒にのびのび働ける仲間を募集中!

まぁ大抵こういう会社は薄給。しかも全ポジション募集中。即ち入社後には「担当関係無く業務全部覚えてね!大丈夫!あなたなら出来るよ!大変だったら社員全員がバーベキューでサポートするから頑張ろうよ!あ!でも残業代は出ないからよろしく!」みたいな未来が透けて見える。

頭の悪さダダ漏れな会社アピール文をハローワークや転職サイトでぼんやり眺めながら画面越しに鬱々と罵詈雑言を投げつけまくった2020年も寒波に包まれながらもうすぐ終わる。焼け死ねこの世に存在するブラック企業。時代錯誤な貴様らの様な会社のせいで俺の幼馴染は26歳で時が止まったままだぞ。許すまじ。ゴーホワイト。

ブックオフに行く事が仕事になればいいのに。切実にそう思う。戦争反対、世界には愛が足りない、BLM、ファックレイシズム、手厚い社会保障、悪政に中指を。生きてると色々な想いが胸に去来するけどそれらに匹敵するくらい思う。

ブックオフに行く事が仕事になればいいのに。

今のところブックオフに行くという行為だけで飯を食えてる奴は恐らくゼロだ。ブックオフに関連する執筆活動で小金を稼いでる作家や書店員や経営者は居てもそれだけで食えてる奴はゼロだ。いつか自分がなりたいなー。と定職にも就かず30の大台に乗ってしまったおっさん見習いが現実味の無い考えを弄んで薄ぼんやりとしていた。

今朝は早く目覚めたので少し遠くのブックオフに行く事にした。昨日は昼間から浴びるほど酒を飲んだというのに不思議と頭は澄み渡り、宿酔いの気配が感じられない。お得なキャンペーン中のネットカフェのドリンクバーと持込焼酎を組み合わせて薄暗い個室で1人バーごっこを昼過ぎから開催。バーテン役・私、お客役・私。ペプシ、トマトジュース、ジンジャエールだのを組み合わせてなんでもチューハイに変化させた。リプトンのストレートティー割りの味が非常にニガニガで、ジューサーの原液と水の割合が間違っているんじゃないかと思うほど酷い味だった。最初にきちんとティーを味見しなかったバーテンが悪いと思い客として無言で叱りつけた。すると頭上の大きなシーリングファンから小指の爪ほどの塊の埃が落ちてきて心底最低な環境のバーだなと思いつつ終始無言で紅茶ハイを飲み干し滞在時間110分400円相当の代金を自動精算機に投げ入れて店を出た。

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それが昨日あった事。さて、久しぶりに来店するブックオフまでは片道8.6キロ、雪まみれの歩道ですっ転ぶ予感MAXの中、自転車をぎこぎこ。ヒヤヒヤしながら運転するも往復の間に一度も転ばなかった。2、3日前に放送された中川家のラジオショーを聴きながらペダルをこぐ。ゲストはゆりやんレトリィバァ。腹が捩れるほど笑った爆笑問題カウボーイの伊集院光や劇団ひとりゲスト回程では無いがなかなかに悪ふざけしっ放しの楽しい放送だった。午前中、こんな季節に自転車に乗って声を出して1人で笑ってるおじさん見習いにきっと悪い奴は居ない筈だから見かけたらそっと目を逸らして優しくしてあげて下さい。彼らは皆それぞれの桃源郷に向かっているだけです。シャイラ。

凍えながら入店。特にセール期間でも無いし、100円CDのワゴンも相変わらずパッとしない。前回と違うのは大量に家電が増えていた事くらい。ここ美しが丘店は一階が服飾売り場で2階は本やCDなど既存のブックオフの売り場だ。久しぶりという事もあり290円CD棚洋楽で良い出会いがあった。

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Butch Walker Left of your self centered

アブリルラヴィーン等の規模感の大きなロック系アーティストのプロデュースもこなすブッチさん初めてのソロ作。2002年リリース。いかにも1stらしく多様な曲調の楽曲が集められ、ポップセンスが炸裂する一枚でした。SUM41やRANCIDなんかをかけながらベッドルームでシンガロングした経験がお有りならブッチはマストです。表現方法はロック調だからジャンルは違うが、同じくプロデューサーとしても活躍するMAYER HAWTHORNE好きなんかにもオススメのポップチューンが詰まっていた。

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Alien Ant Farm Truant 2003

エイリアンアントファームのセカンドアルバム。ギター厚め、HR/HM風味な音色のパワーポップな雰囲気の4ピースバンド。正直この手の歪みペダル踏みっ放しのギターの音色は苦手で殆どこの手のバンドを購入する事は滅多に無いんですが、彼らは曲の展開がユニーク!単調なストップアンドゴーに陥らずリスナーを気持ち良く裏切る展開の楽曲だらけ、試聴で虜になってしまいました。Foo Fightersの様なドカーンとしたアリーナロック感もあって大満足な一枚でした。

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Boards of Canada  Geogaddi 2002

言わずと知れたアンビエントの名盤。なにげに中古市場で初めてお目にかかる一枚。全然音色もビートの感じも違うんだけど、根底に流れるサイケ・ロック感をこのアルバムから感じてTame Impalaを想起した。酩酊のお供に。これからじっくり聴いていこう。

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Jimanica Torso 2012

洋楽棚に紛れ込んでいた、全然知らないアーティスト。フューチャリングに口ロロの三浦康嗣の名前を発見。彼の名前が記載されているCDってのは間違いないんですよ。一十三十一も参加の模様。試聴してその音の洪水にぶっ飛ばされて速攻購入決定。ジマニカと呼ぶらしい。凄いよマジで。調べるとどうやら蓮沼執太フィル等で活動している新進気鋭のドラマー・コンポーザー・作曲家らしい。ドラマーのソロアルバムといえば変拍子も交えた複雑なリズム感に重きを置いてリズムありきで内向きな傾向になりがちだと個人的には思っているが本作は全く違う。楽曲をリズムをメロディーを意味を解体して既存のフォーマット・ジャンルに収めずに自由に再構築。それくらいは誰でもやってる時代だがジマニカの作る楽曲を聴けば分かる筈。「やべぇ、かっけぇ」の二言以上に上手く伝えられません。コーネリアスのDropを初めて聴いた時並の衝撃かも。

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しかしそんなアルバムは3箇所も曲名がスペルミスで誤植まみれの様子。リリース元はHEADZ。しっかりしてよ!内容に反して一気に貧乏臭くなるじゃないの。

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Charlie Parker Feeling through the Dark

モダンジャズの立役者、伝説のジャズメン、チャリーパーカー。珍しい缶ジャケ。一目見て分かるブート感。絶対音も選曲も良くないに決まってる。チャーリーパーカーが猫好きとか聴いたこと無いし、なんだったらバードの愛称なんだから鳥のイラストにしなさいよ!なんてツッコミつつも缶に釣られて購入。100円ワゴン大した事ないとか言いつつしれっとサルベージ。音がどうこうではなく100円で珍しい缶を買ったんだと思えば安いもんだ。

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しかもレーベルのマークは犬。もう訳がわからない。バードのジャケがキャットでレーベルはドッグ。それでも一つ勉強になったのがバード作曲の9曲Ornithology。菊地成孔のレーベルから1stアルバムをリリースしたシンガーソングライター辻村泰彦によるソロユニット・オーニソロジーの名前の由来はここから来ていたんですね。この曲自体は昔よく聴いていたチャリーパーカーのレコードのA面で知っていたものの、特に曲名を覚えていた訳でも無かったのでなんか不思議な感じ。手持ちの在庫から学ぶ事はきっとまだまだ沢山あるなと気が引き締まった。

音楽関連はこの辺でおしまい。気になった文庫も特に無く今回は割とスムーズにハードカバー棚へ。

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蛭子能収 僕はこうして生きてきた 2016

破天荒ギャンブラー漫画家タレントと通り名が無数にある蛭子さんの自伝的エッセイ。1996年出版の「笑う蛭子の副作用」を改題・大幅加筆、全編新たに書き直した一冊だそう。各章毎に短編漫画が挿入されており期待が高まる。(般若、ツチヤタカユキ等、未読の自伝がどんどん溜まっていく…)

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ウラジミールソローキン・青い脂が収録された早稲田文学を発見。珍しいが青い脂はハードカバーで所持しているのでスルー。漫画イラスト関連の大判書籍へ移動します。

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長崎訓子 マーブルランブル 名作文学漫画集

こりゃーたまらない。淡い色調に眼がないのでついついカゴに入れてしまいたくなる。飾って愛でたい本ですな。目次をちょっとだけ公開。

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原作未読だから分からないけどなんかラインナップが渋い気がする。次回まで待っていてくれたら連れて帰ろう。続いて同じ通路の映画パンフレット棚へ。なんという事でしょう。画像を見て下さい。

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ウディアレンのローマでアモーレがなんと50円!そう独自に映画パンフが値下げみたいです!在庫量は少なめですが全品50円!前回あったコーエン兄弟監督バートンファンクのパンフなんかは姿を消していました。安いからついつい買っちゃったのがスティーヴマックィーン監督シェイム。監督曰く「愛のぬくもりのないセックスを描いてみたかった」そうです。なかなか衝撃的な映画だったなー。ソフト手放したのを後悔。

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濃い青が美しい。敬愛する精神科医・斎藤環氏のエッセイ付きなので楽しみ。

購入品は以上。漫画コーナーが今回は不作。残念だったので仕上げにコツコツあらゆる場所で立ち読みして読み進めている嘘喰いを30巻まで読了。ギャンブルを巡る漫画なんですけどめちゃくちゃ面白くて最近のマイブーム。徐々に敵対する組織の様子が判明したり、ギャンブル勝負以外にも割とハードな肉弾戦のバトルシーンも胸熱なんですよ。オススメです。全49巻で長過ぎるけど絶対全部読み切ってやる!!!そんでいつかまとめて買おう。鬼滅の刃も良いけど嘘喰いもね!イノサンもね!ムシヌユンもね!BOXもね!しまなみたそがれもね!血の轍もね!少年インザフッドもね!(漫画だけに限っても読みたいものが多過ぎて過酷だ…)

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タイトルにあるようなブックオフに行くだけの簡単なお仕事なんて未来永劫この世には存在しないのかもしれない。ブックオフに行く事はその都度カルチャーの宇宙に触れる事になるので非常に神経を使う。端的にいうと疲れる。棚を見上げたり見下げたりで肩も凝るし、棚を眺めつつ商品内容をスマホで検索するから目も酷使する。

仕事でも無いのにブックオフ巡りをやめられないのはどうしてだろう。

果てしない宇宙に何度も打ち上げられたとしても、必ず私はブックオフに戻ってきてしまう。どうしてだろう。好きなものの全てがあるからなのかな。いつかブックオフの閉店後に忍び込み、誰も居なくなった店内で夜通し本を読み耽り音楽で踊り狂って、狭くて埃っぽい通路に布団を敷いて、眠りに付く妄想をだいぶ昔からしている。ほら、ティモンディの高岸も言ってるじゃんね。「やれば出来る!!!」って。私は信じているよ。現実にやればお縄だけどね。

2020年は殆ど働かなかった。2週間ほどしか労働してない。そんな今年のブックオフ滞在時間は下手したら200時間を超えているかもしれない。週3回、平均滞在時間1時間×5週とした場合。数えていないけど結構あり得る数字。今年は初めて映画の鑑賞数を数えてみた。来年はブックオフの来店回数でも試しに数えてみるか。

働かないでブックオフばっかり行ってるね?

あなた大丈夫?

そんな声が聴こえて来そう。

アイセイ大丈夫。この年の瀬にちゃっかり内定は頂いてるんだなコレが。年明け早々から仕事が始まり2021年のブックオフと私の関係はどう変化するのか、あるいはしないのか。あのウイルスは収まるのか、オリンピックは開催されるのか、インバウンドの観光客は北海道に戻ってくるのか。沢山気になる事があるけど、一先ず私は愛するBKOFの事とこれから始まる転職ライフの事だけ考える事にするよ。アディオス。また会おう。


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