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ブックオフ函館昭和店

ブックオフの楽しさを皆さんに知って頂きたい。知的ワンダーランド・郊外におけるサブカルチャーのパブリックドメイン。近代文化史を語る上で絶対に外せないブックオフの事をもっともっと伝えたいと思い立ち、悪い頭脳をフル回転させ知恵熱の冷めない男が北海道内のブックオフ全ての店舗に足を運んでは店舗ごとの違いや在庫の傾向を紹介しています。

「ブックオフ大学 ぶらぶら学部」(岬書店)へ入学という名の寄稿、あるいはお手伝いが出来る事を夢見ております。関係各所の皆様、ご連絡お待ちしております。

さて前置が長くなりましたが、今回もはんなりと始めていきましょう。

「ぶっくおふたろう&フレンズ in 函館ツアー!」

函館市内のブックオフを巡ると残すは網走店のみ!鼻息荒く今回から連続で函館市内にあるブックオフ全3店舗での収穫の様子・珍道中を書き連ねていきます。そもそも私は函館初体験だったのでワクワクと発見だらけでした。GEOや駿河屋、ドリカム函館(レコード店)などへの寄り道も含めて、一泊2日の間にゲットしたアイテム総数はトータルで30点。それが多いのか、少ないのか、鬼が出るか、蛇が出るか。

それでは参りましょう。

さて記念すべき1店舗目は函館昭和店。GU.UNIQLO.スーパーや飲食店が立ち並ぶ一角にあるこちらの店舗の外観は大きめで期待値が上がる。週末な事も影響してか駐車場は大混雑。小雨模様の中、入口へ急ぐ。

実は到着前にハードオフと駿河屋に寄り道をし、地獄(レコードやCDの取り扱いに愛のかけらも無い在庫管理と無知で馬鹿高い値付け)と    天国(サービス棚のCDが1枚50円〜・豊富な在庫数・適性な値付け)を味わいテンションが少しおかしくなっていました。

なので入店後には真っ先に気持ちが落ち着く、いつもの場所へ向かいました。

CD290円(セール100円ワゴンを除くと最安値の棚)ここから探索開始です。

しかし290円CDの在庫数は少なめ。そのほとんどに値下げのシールが重複して貼られている様子が見受けられる。少なさと在庫が回転していない様子にガッカリしつつも、キッチリとかつてから聴いてみたかった1枚を発見。

PJ Harvey   Let England Shake 2010

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静かに内心小躍り。初期〜中期の4枚しか聴いておらず久々のアルバムとしてアナウンスされた際には思わず定価買いもよぎった一作。

第一次世界大戦当時の母国イギリスに着想を得て製作された8枚目のフルアルバム。トレードマークとされている私小説的な女性の孤独や情念、恋愛における恨み辛み、卑語・性描写も辞さない過激な歌詞、マイナー調で陰鬱、かつヒステリックなノイズが時たま爆発する曲展開は鳴りを潜めており、カラッとしてシンプルなアンサンブル。曲によっては話し声や歌声のサンプリングをサビ代わりにし、ギターや他の弦楽器と一味違う音色のオートハープで弾き語る等、リリシストとしての彼女の姿はそのままに、新たな表現方法によってユニークな音像になっています。

彼女らしく「くそったれヨーロピアン共」と辛辣に呟くもののバンドの音も歌声も従来のイメージから考えられないほど軽やかな事に驚く。そして彼女自身の演奏によるサックスと昔からの音楽パートナーJohn Parish のトロンボーンによって鳴らされる軍隊ラッパ感のあるリフレインから遙か昔102年前に終結した戦争の匂いを感じる事が出来る。

写真はオートハープとPJ  左手あたりのボタンを押しながら弦をかき鳴らすと対応する和音(なんか気持ちいい音)が、しゃらーーんと自動的に鳴る仕組み。一生懸命、指の痛みに耐えてギターのコードを覚えなくてもそれなりに演奏が出来る優れもの楽器らしいです。いつか弾いてみたい。

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満足な1枚を手に入れて少し冷静になり周りを観察してみて、かなりの奥行きがある事に気がつく。通路の幅も余裕がある。快適空間。汚れている本の側面を研磨機に当てて削っている、電動髭剃りの様な音が響く店内。週末で混雑しているがとても静か。 店員さん達の統率が取れている雰囲気やテキパキと動いて黙々と仕事をこなしている姿を眺めているのは気持ちが良い。

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そこから次は漫画ハードカバー棚へ。在庫数も多く、渋めなラインナップに興奮。

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谷口ジロー・星野之宣 両名の在庫の海!暫し、棚の前で宇宙遊泳。

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この記事を書くにあたり調べてみると星野之宣さんはなんと同郷で釧路市生まれだとか。Wikiのソースが怪しいので詳しい方いらっしゃいましたらご教授頂きたいです。ご存じない方に補足致しますと、SFレジェンドのJPホーガン原作小説の漫画化など漫画史に残るであろう作品ばかりで、ロジカルかつハードな描写、形而上学の楽しみ溢れるSF作品を沢山描いている作家です。

そこから文庫・ハードカバー小説コーナーへと移動するもどちらも在庫は少なめであっという間に見終わってしまう。歴史・時代もののコーナーは作家の名前毎にきちんと統一して分類されており、凛として美しかったのが印象的。

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そうして店内を彷徨っていると同行していたフレンズより連絡。

「店内にレコード有」

落ち着きかけていた心拍数が上がる。第六感に従ってレコード棚を目指すと現れた桃源郷。

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しかしザッと目を通すも希望のものは無し。クラシックとニューミュージックの合間にヒップホップ12inchや洋楽がちらほら見受けられる。LPとEPどちらも全て100円。フレンズが根気強くDigする様子を背中に店内を再度放浪。

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おもちゃやカードなどホビーの取り扱いもあり。他では珍しい靴下まで。

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レコードを掘り終わってトイレに行くフレンズの荷物番をしている間にフラフラしていると数は少ないのだがアメコミなどの大版漫画・イラスト棚にて出会い。

原作 メビウス 漫画 谷口ジロー 「イカル」1997発表 2000初版発行

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孤独のグルメでポピュラーになった感じのある、谷口ジロー氏だが本来はフランスなどの漫画文化を表す「バンドデシネ」にいち早く影響を受けた孤高の作家。本作は大友克洋「AKIRA」にも通ずると言われてるSF作品。残念ながら未完であるのが悔しい。

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映画ホドロフスキーのDUNE 観賞後から盛り上がっていた画家メビウスへの熱が一気に弾け飛ぶ。フレンズがトイレに行かなければ出会えなかったので感謝。偶然の出会いがもたらした歓喜。

今回は1時間近い滞在時間の中でCD1枚・漫画1冊、合わせて1050円。

はてさて函館残るは2店舗。お金では買えない体験の記録はまだまだ始まったばかりでございます。

Tesekkur ederim









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