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JRの接近メロディは人生のBGMだ

列車が好きだ。特にJR。
車窓を眺めて、その土地で生活する人の暮らしを勝手に妄想するのが、楽しくて仕方がない。そして車窓を眺めるのはもちろん、私はどうやら列車の接近メロディーヲタでもあるようだ。

というのも鉄ヲタにも色々な形がある。父親は超ド級の鉄ヲタだ。
車窓を眺めるのが好きなのは勿論、彼は時刻表ヲタである。
全国のJR在来線の時刻表が一覧になっている、週刊ジャンプより分厚い冊子がある。それをニヤニヤしながら1時間…2時間と眺めるのだ。

今回は本山の萌ポイントをくすぐる、接近メロディーの魅力をそこはかとなく書きつくりたい。

ドルチェアンドガッパーナの香水で君を思い出すように
発車メロディーもあの日の事を思い出す

「この香り元カノがつけてた香水だよな…」と、香りと人物がリンクしている。思い出の香りを嗅ぐと目の前に元カノがいる訳ではないが、共に過ごした時間や想い出が意図せずとも脳内に駆け巡る。香水はフレグランスとしての役割だけではなく、その人との記憶を呼び起こすエッセンスだと思う。記憶と五感のつながりは深い。

接近メロディーは、瑛人の”香水”と同じである。

例えば。私は大学生の時、旅先の山口県で知り合った12歳年上のお坊さんと付き合っていた。山口県の中でも日本海側の小さな町に住んでいた彼。片道6時間くらいかけて会いに行っていた。1日デートをして最寄りの東萩駅近くのホテルで寝泊まりしていた。
ホテルの窓から山陰本線が見えて、接近メロディーが時折聞こえる。
今でも鮮明に思い出せる、切ないおとぎ話のようなメロディー。私と彼が過ごした時間のBGMだった。

他にも。小学生の頃の話。本山は夏休みと冬休みの年に2回、遠く離れた藤沢(神奈川)に住む婆ちゃんに会えるのが楽しみで仕方なかった。東海道本線の辻堂駅にいつも迎えに来てくれる婆ちゃん。東海道本線の軽快なメロディーを聞くと、妹と”あと何駅で辻堂駅に着くか”指折り数えたワクワク感と大好きだった山形弁の婆ちゃんを思い出す。

接近メロディー(BGM)の数だけ思い出がある。

列車は色んな人と思い出を乗せる。夢の為に上京した人。就活の面接に向かう人もいるかもしれない。接近メロディーはその人の人生のワンシーンでBGMとして響いているような気がする。
普段は意識しないけど、元カノの香水のようにふとした時に”私”をあの時の記憶の彼方へ誘ってくれる。

全国JR塗りつぶしマップを持って本山は列車に乗る。
車窓を眺めながら、途中下車して地域の方と関わる。
この国には色んな暮らしがあり、土地によって文化や常識も異なり、でもみんな同じように”幸せ”を求めて一生懸命生きているんだな。と思いを馳せながら新しい土地を踏み締める。そして想い出のBGM(接近メロディー)を1つ1つ増やしていく。

これを読んでるアナタの想い出のBGMは何ですか?

……..とか、カッコ良く締めてみる。えへへ




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