見出し画像

【抜書き】読書からはじまる~3 言葉を結ぶもの(長田弘)

こんにちは。4月3日(日)3:41です。今回は、4月4日(月)21:00からclubhouse内で実施するオンライン読書会での使用テキスト『読書からはじまる』(長田弘)の該当個所である、「3 言葉を結ぶもの」からの抜書きをお届けいたします。なお、丸で囲ってある数字は、本文で付いている「見出し」毎に振ってあります。

①そして「みなおなじ」になった

・しかし、みなおなじ風景を生きているという暮らし方は、わたしたちの以前の暮らし方とは違っています。

・ベストセラーが残す逆説

②言葉は違いを表すものである

・みなおなじになり、みなおなじ本を読み、みなおなじ歌を聴いているはずが、逆に、分かちあえるものが何もなくなっているように感じられるのは、みなおなじ社会のあり方、文化のあり方が、そのなかにいるわたしたちには見えないためです。

・今日のように、アウトサイダーのいなくなった時代は、かえってむずかしいのです。

・しかしおなじ日本語を話すわたしたちは、みな違う日本語の経験のなかで育っています。

・それが今になって、みなおなじということばかり意識されて、そこからおたがいの違いが出てくるということのほうが、そして違うということ、違ってゆくということが、本当はどんなに大切かということのほうが、あまり考えられなくなってきているとすれば、それだけ、言葉のちからというものが、今は大切なものとして省みられていないということです。

③「私とはだれなんだ」という問い

・それぞれの違いをつくってゆく、自分というものを独自にしてゆく、そのためにもっとも大切なはずの言葉をわがものとしてゆく志向が薄れてきているということがある。

・複製の時代、複製が文化である時代が、今という時代です。

④言葉のなかに生まれる

・人間というのは、生まれつく言葉の子どもなのだということです。言葉は人間の子どもではなく、人間が言葉の子どもなのだということです。母なるものとは自分が生まれ育った言葉のことです(略)そうではなく、日本語という言葉のなかに生まれたのです。

・人間が言葉をつくるのではありません。言葉のなかに生まれて、言葉のなかに育ってゆくのが、人間です。

⑤言葉のゆたかさと社会のゆたかさ

・にもかかわらず、たった一つ、今の日本でゆたかでないものがあります(略)言葉がゆたかではありません。

・言葉は平等なものだけれども、人と人を違えるのも言葉です。言葉をゆたかにできる人と乏しくしてしまう人とを、言葉は違えるからです。

・むしろ限られた言葉にどれだけ自分をゆたかに込められるかが、言葉にとっては重要なのです。

・言葉というのは、言葉の使い方の問題です。

⑥言葉は言葉がすべてではない

・たった一つ、どんな国、どんな地方にも、共通するものがあります。身ぶりです。

・言葉がわからなければ、話せないのではないのです。

・言葉はわからない。しかしその人は、今悲しいのだと理解できる。言葉はその言葉のもつ意味だけでなく、その言葉のもつ身ぶりを表し、そして身ぶりはもとの言葉よりもずっとひろく共通の了解をつくりだします。

・何もかも理解しなければならないというのは、逆にしばしば避けがたい誤解を生みやすいのです。

・しかし、母語は才能ではないのです。

⑦必要なのはどういう言葉か

・言葉のもち方が、一人の人間を、人格をつくるのだということです。

・言葉というのは、とどのつまりその人の生き方の流儀であり、マナーです。言葉をゆたかにするというのは、自分の言葉をちゃんともつことができるようになることです。

・自分を表す言葉に不自由しないと感じているために、どういう言葉が自分に必要なのかということを、だれも考えなくなった。

・これからは、どんな言葉をどれだけきちんと使っているか、あるいはどれだけきちんと使えないでいるかが、それぞれを違えるとても大事なものになってゆくだろうと思います。

・言葉の貧しい人は貧しい。言葉をゆたかにできる人はゆたかだということを、忘れないようにしたい、そうでないと、わたしたちは自分たちの頭を、自分たちが信じてもいない言葉のがらくたで一杯にしてしまいかねないからです。

⑧「・・・のように美しい」

・意欲がなくても学校にゆけて、スキルがなくても仕事に就ける。それはとても楽に見えるけれども張り合いや目指すものがありません。

・何を美しいと思うかというそれだけのことでも、その人をもっともよく語りうるというのが、言葉です。

⑨言葉は器量である

・器量でないもので人を計ろうとしていて、人が狭量になってきています。

・心の容積というのをおおきくしてゆけるような言葉を、どれだけ自分のなかにたくわえているだろうかということが、これからの時代の物差しになってゆかないと、わたしたちの時代の言葉はどんどん乏しくなっていってしまうでしょう。言葉に器量をとりもどすということが、これからはもっとずっと大切になってくる。

・意味というのは言葉によって指し示される、心の方向のことです。

        *       *       *

抜書きは以上となります。ご参加くださる方との意見・感想の交換に際しての参考となるようでしたら幸いです。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。ときどき課金設定をしていることがあります。ご検討ください。もし気に入っていただけたら、コメントやサポートをしていただけると喜びます。今後ともよろしくお願い申し上げます。