【読書会】『流転の海』全巻読書会~第3部『血脈の火』第4章
こんにちは。
本日(2月6日)20:30より、mocriを使ったオンライン読書会を開きます。宮本輝さんの『流転の海』シリーズ全9部から、第3部(第3巻)『血脈の火』の第4章を読んでまいります(p.213-275)。
登場人物
松坂熊吾 本編の主人公。50歳にして初めての男子・伸仁を授かる。中国へ出征した後、大阪に戻り事業の再建に奔走。妻子の健康を慮って、故郷の南宇和に一度帰るが、再度大阪で事業の展開を手がけている。
杉野信哉 長年の警察勤めを終え、熊吾から共同経営の話を持ちかけられている。また、熊吾の甥である明彦を住まわせ、通学させている。
松坂ヒサ 熊吾の実母。南宇和に住み続けたかったものの、娘のタネたちと共に上阪。認知症となり、行方不明となったままである。
松坂房江 熊吾の妻。ヒサの事件で自分を責めて眠れず、深酒をするようになる。
丸尾千代麿 大阪で熊吾と知り合い、麻衣子が働いている運送会社を手がけている。妻・との間に子はなかったものの、との間に子どもが生まれる。
麻衣子 熊吾の旧知である中国人・周栄文の娘。熊吾の子であるとして、千代麿の子を城崎で育てる話を持ちかけれらる。
高玉林 熊吾に依頼され、周からの麻衣子への手紙を手配していた台湾国籍の男。
辻堂忠 かつて熊吾の下で事業を采配していた男。結婚話が持ち上がっている。
杉野加根子 信哉の妻。
杉野貴子 信哉の妹。熊吾と駆け落ちをしたが、大阪で死去。
石黒哲三 熊吾の新事業の取引先・大崎産業の営業総局長。従妹が辻堂と結婚するという。
あらすじ
四月半ばにヒサが行方不明となって四か月が過ぎた。房江は憔悴して眠れなくなり、深酒をするようになってしまっている。
熊吾が新事業であるプロパンガスの代理店の話を、警察を退職した杉野に持ちかける。
依頼していた周栄文からの手紙が、高玉林の元に届いている。その手紙を、麻衣子に読ませるが、反感を買ってしまう。
熊吾は自分の子であると言い含め、城崎で千代麿の子を育てるように麻衣子に持ちかける。
熊吾は、杉野とともに石黒たちを接待する。
ポイント
賢いやつしか怒っちゃいけんのお。馬鹿を怒ると、卑屈になりよって、逆恨みされる(p.215)。
生まれてから作る業も、ぎょうさんあるやろしなァ(p.217)。
この麻衣子もまた、父の愛情を知らずに育ったのだと気づいた。父なるものへの処し方を知らないことが、麻衣子を女として頑迷にさせている。甘え方を知らず、許し方を知らず、怒り方を知らず、くつろぎ方を知らない。それは、男というものに対してだけでなく、自分以外のものに対して、すべてそうなのに違いない(p.235)。
「ひとたび戦争が起こったら、その傷跡は永遠に消えんのお」(略)しかし、戦争の傷跡は、また別の傷を生み、その傷は、さらなる傷をひろげ、永遠に消えることがないという思いは、熊吾のなかに不動のものとして置かれた(p.235-236)。
男の人って、みんな、そうやって奥さんを裏切るんやね(p.243)。
自分は、かつて一度も、母をねぎらう言葉をかけなかった。絶えず、母を軽蔑し、母を嫌いつづけた。自分のような親不孝者はいない。
熊後はそう思った。思ったとたん、母がどこかで生きているような気がして来た。南宇和の城辺町めざして、日盛りの道を歩きつづけている姿が脳裏をよぎったのだった(p.264)。貧しいても豊かでも、人間ちゅうやつは、あんまり変わらんなァ(p.255-256)。
杉野に新しい事業への出資をさせることは、間違っているのではないかと思った(p.261)。
自分も、何かを夢見て、そのために生きたいが、どんな夢を見たらいいのかさえわからない(p.262)。
そやけんど、短いあいだでも、貴子は幸福やった。幸福やって、わしに手紙で書いて寄こしよった(p.263)。
人間なんじゃから、血迷うこともある。人間なんじゃから・・・(p.268)。
追記
※2月8日以降に、追記がある場合はいたします。原則、別途作成する読書会のライブ音声ファイルを埋め込んだnoteのURLも貼り付ける予定でいます。
今回のレジュメは以上となります。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!
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