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【流転の海全巻読書会】第3部『血脈の火』第7章レジュメ(23/03/27実施)
こんにちは。
通算171回目と記録されている「オンライン読書会」のレジュメをお届けいたします。テキストは、宮本輝さんの『流転の海』全9部中の第3部『血脈の火』から、第7章です(p.404~466)。今回も、
1)おもな登場人物
2)あらすじ
3)ポイント
の順で進めてまいります。なお、実施アプリは「mocri」で、参加URLは23/03/27の20:20頃に配信いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
1)主な登場人物
松坂房江 全9部の最重要の登場人物の一人。熊吾の妻、伸仁の母。若い頃を薄幸のうちに暮らし、最初の結婚は夫の性癖のため失敗、子ももうけていたが別れている。働きに出ていた茶屋で熊吾と出会い、結婚。戦後に伸仁をもうける。
松坂熊吾 主人公の一人で、出征した中国から生還。50歳にして初めての実子・伸仁を授かる。新しい事業を興す才覚に長けているが、洞爺丸台風で在庫をダメにしてしまい、財産の多くを失う。
松坂伸仁 熊吾と房江の子。体の線が細く病気がちだが、すばしっこく、よく大人たちにかわいがられている。
柳のおばはん バラック小屋で娼婦たちに客をとらせている。
小宮家 海産物を扱う商店。
平岩 伸仁と同年齢の子がいる。
どこかのおっちゃん 柳のおばはんのバラックを破壊する。
呉明華 熊吾の営む中華料理店の料理長。
杉野信哉 熊吾が手を引いたプロパンガス事業のパートナー。元警官。
2)あらすじ
昭和29年(1954年)年末。終戦後の10年の感慨にふせる房江。伸仁の不在に気がつき、「柳のおばはん」のバラックの方へと探しに出る。
出会った「どこかのおっちゃん」が、「柳のおばはん」のバラックを破壊してしまう。
電話を借りに来ていた「柳のおばはん」だが、熊吾に追い払われる。
年が明けて三日、三人で映画を見た後、熊吾は「きんつば屋」を開くと房江に告げる。
お茶屋の手土産として受注があるが、多忙を極めるようになる。
3)ポイント
なんとしても子宝に恵まれたいとは思わなかったのだ(略)だが、こうやって伸仁という子を産み、育ててみると、子供とはなんといとしいものかと、伸仁への母としての思いにうっとりとしてしまう(p.404)
世の多くの人が、昭和二十年代という時代に万感の思いを抱くのは当然であろう(略)そんな世情のなかで、自分たち一家はなんと恵まれていることだろうか(p.405)
しかし、姑の奇妙な失踪を契機として、何か大きな災いの手が近づいてきたように思えてならない(p.405)
運という目には見えない何物かは、障害を通じて不動とはいえない(p.407)
あんたがそこにおるというだけで邪魔なんじゃ(略)わしは、腹のなかに黒い汚れたもんを詰め込んじょる人間の傍におりとうないんじゃ(p.422-423)
人の生き血を吸うちょるようなやつの匂いを嗅ぎとうない(p.424)
もう夫の頭のなかは、きんつばのこと以外ないのだ。プロパンガスのことは、どこか遠くに行ってしまった・・・。房江はそう思い、自分が願っていた生活に入って行けそうな気配を感じて、はしゃいだ気分になった(p.427-438)
亭主のお袋を、どこに埋めたんや。この姑殺しがァ(p.446)
夫は、じつはこのような生活が向いている。夫は、やっと所を得た(p.454)
人間としての根幹に善意というものが大きな領域を占めていることが松坂家の血だとしたら、私の家計にはいかなるものが流れているのであろう。不運、もしくは不幸・・・。私の家系には、そのような血が色濃く流れているような気がする(p.456)
沈んだ気分がほぐれてくると、房江は、いまが一番幸福であるような気がすると言った(p.458)
私は、こんな生活が好きなのだ・・・(p.463)
なぜ、自分は自然に治ったのであろう・・・。その思いは、房江に、かつてなかった勇気をもたらし、更年期症状による初めての烈しい眩暈さえも楽しむ心持にひたらせた。
4)追記
※3月28日(火)以降に、追記される場合があります。
3月27日(月)時点では、以上といたします。会を経て追記がされる場合があります。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。ときどき課金設定をしていることがあります。ご検討ください。もし気に入っていただけたら、コメントやサポートをしていただけると喜びます。今後ともよろしくお願い申し上げます。