【100分de名著を語ろう】『砂の女』~②揺らぐアイデンティティー
こんにちは。6月15日(水)08:58です。少し寒いですね。今回のnoteは、13日(月)に放送された「100分de名著」の『砂の女』第2回放送分を扱っています。16日(木)21時からの、定例のclubhouseでのルームでの参考資料となれば幸いです。なお、第1回放送分へのリンクも貼りましたので、ご参照くださいますようお願い申し上げます。
第1回放送分
第2回放送分 揺らぐアイデンティティー
①砂と同化した裸体
・私はそれよりも、「この女はやっぱり昆虫なんだな」と感じます(ヤマザキマリ。以下、Y)。
・昨夜、そこにあったはずの縄梯子が消えていたのです(Y)。
②アイデンティティーの皮肉
・注目したいのは(略)「定着」に、自らのアイデンティティーを求めるところです(Y)。
③したたかで強靭な女の生命力
・この女のように現実を受け入れ、「私はここで生きる」としか思っていない(Y)。
④性の誘惑
・この巣穴における生殖への欲求は、虫や動物のように、いわば生態学的な現象にすぎないにもかかわらず、彼のスケベ心が女を性的欲求を挑発する存在として見せているのです(Y)。
⑤俯瞰する視点からのユーモア
・欠けて困るものなど、何一つありはしない(略)要するに、日常とは、そんなものなのだ(安部公房の文。以下、A)。
・人間というのは自分たちの存在を特別だと思い込んだり、愛だとか情だとか人生にさまざまな美徳の色味をつけようとしますが(略)どこかおかしく滑稽だったりします(Y)。
⑥砂のデモクラシー
・それでも何とかしてここから逃げないと、いままで自分が考えてきたことが崩れ去ってしまうという危機感が、仁木順平に必死の格闘をさせるのです(Y)。
⑦「人類のけいれん」としての性
・牙や爪や性の管理権(A)。
・人間の欲望が、社会に管理されてはいけないと、どこかで思っている(Y)。
番組を視聴して
・テキストを通読・転記をした後で、録画を視聴しました。テキストよりも、安部の文が多く採録されていました。番組をまだご覧担っていない方は、20日(月)13:05からの再放送か、NHKプラスでの視聴をなさることをオススメします。
・砂穴の底から這い出る試みを続けている男は、かつての自分を振り返ります。同僚の「メビウスの輪」との会話が回想されていますが、どちらの発言が、男のものだったのでしょうか。
・「それ」がアイデンティティーだと思っていたことが、瓦解する恐怖に男は晒されています。女との交わりが予感されますが、それはもはや、「交尾」といった範疇になるようです。
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今回は以上といたします。最後までお読みくださり、ありがとうございました。23日(木)の「100分de名著を語ろう」の回は、このまま『砂の女』第3回放送分について話し合うかについては、検討中です。なお、第3回の放送は「人が「順応」を受け入れるとき」。6月20日(月)放送です。それではまた!
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