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【読書会】宮本輝『流転の海』全巻読書会⑨~第2部『地の星』第3章を読む

こんにちは。

もう当日になってしまったのですが、恒例の『流転の海』シリーズ全巻読書会の第9回を、今夜(9月12日)21時から、Twitterスペースで開きます。このnoteは、そこで利用していただける「レジュメ」としてご用意しています。
・概略と、
・「私的」ポイントの抜書き、
に加えて、終了後の追記という構成となっています。なお、第1回から第8回までのレジュメは、以下のURLから閲覧いただけますので、適宜ご参照ください。


なお、今回からアカウント名の表示、@以下を「ひとを結う。」といたしました。これの由来、意図しているところについては、別途申し上げる予定です。

概略

①旭川に嫁いでいった房江の姪・美津子の夫・益男が急逝。美津子は益男の遺児たちを、母として育てることとなった。

②熊吾は、「鍛冶屋の音吉」を訪ねる。音吉と益男を比べて、その「運のよさ」について考え、息子の伸仁がその「運のよさ」を備えた人間であるか思いを巡らせる。

③熊語は、妹のタネとやがて正式な夫婦となる政夫とに、ダンスホールを経営させようと考えていると音吉に告げる。

④伸仁を連れて出かけた途中、伸仁が「野壺」に落ち、一時行方がわからなくなる。

⑤かつての部下だった井草が病床にあることを、辻堂からの手紙で知り、会いに行こうとする。

⑥和田茂十が訪ねてきて、県会議員の万崎からの伝言を聞く。茂十の選挙参謀を務めることを決めていた熊吾に、万崎は「票のとりまとめ」を頼むが、席を蹴ってしまう。

ポイント

・何もかも、めぐりあわせが悪かった――。(略)その淡々とした手紙の文章から、美津子の無念さを感じ取った(p.109)

・人間には持って生まれた運というものがある。こればかりは思慮の及ぶところではない。頭のいい人間は腐るほどいるが、運のいい人間は少ない(p.109)

・はたして、伸仁は運のいい人間だろうか。まだわずか四歳ではあったが、持って生まれた運の強弱を示す予兆は、すでに伸仁の周りにあらわれているに違いない(p.111)

・「さすがは熊のおじさんじゃ。人殺し以外は何でもやれるんけん」
「人殺しもやった。戦地でな」(p.114)

・「いなか者(もん)の百姓を兵隊にしちゃあいけん」「なんぼ戦争やっちゅうても、これが人間のすることやろかと思うようなことをやりよるのは、たいてい、いなか者の百姓出身の兵隊じゃ」(p.115)

・「わしは、わしが死んだあと、閻魔様にしか裁いてもらえんようなことを、ビルマの収容所でやりましたなァし。どんなことやと訊かんといてやんはなれ」(p.119)

・「音吉よ、お前が悪いんやあらせん、何をそんなに怖がっちょるんじゃ、お前が悪いんやあらせんぞ」(p.120)

・「そこで三日ほど立ったまま、まっすぐ前を見て歩くっちゅうことを考えて、人生っちゅうもんに心を向けにゃあいけん」(p.133)

・「ぼく、まっすぐ歩くけん」(p.140)

追記

本日話し合われた内容から、こちらに「追記」をしていきたいと考えています。

       *       *       *

今回の「レジュメ」は以上となります。どうぞ参加についてもご検討くださいませ。最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!


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