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【100分de名著を語ろう】『砂の女』~①「定着」と「流動」のはざまで
こんにちは。このnoteは、6月7日(火)04:42に起稿しています。
2022年6月度のEテレ「100分de名著」は、安部公房の『砂の女』がテキストです。解説はヤマザキマリさんが務めてくださいます。以下、番組テキストの目次を掲げ、その後に第1回放送分の内容について、見ていくことにします。丸で囲った数字は、テキストでつけられていた小見出しに割り振った連番です。
【目次】
はじめに 実存の意味を突き詰める「寓話」
1 「定着」と「流動」のはざまで
2 揺らぐアイデンティティー
3 人が「順応」を受け入れるとき
4 「自由」のまやかしを見破れ!
第1回(6月6日本放送) 「定着」と「流動」のはざまで
①『砂の女』の時代背景
・1962年(昭和37年)6月刊行。1964年2月、映画が公開される。
②満州の少年時代から戦後のアバンギャルドへ
・1948年『終わりし道の標べに』で作家デビュー、「夜の会」に参加。
・1993年1月、死去。
③「二つの自由」というテーマ
・「壁」の外に移動する自由と、「壁」のなかに引きこもり定着して得る自由
④ハンミョウと砂に魅せられて
・砂に埋れかけている貧しい集落
・砂の「流動」を「定着」と対立させ
⑤穴の底の女の家へ
・男にとって乾いた流動性の象徴である、無機的な鉱物としての砂は、女にとっては湿り気をおびた、有機的な存在らしいのです。
⑥夜どおしの砂掻き
・これじゃまるで、砂掻きするためだけに生きているようなものじゃないか!
⑦砂の恐ろしさ
・(略)常に生きることに緊張感を保ち続けていなければならない(略)生まれてきたこと自体が、否応なく「壁」と向き合わされることだと思い知らされたのです。
⑧昆虫的世界
・仁木順平はハンミョウを追って砂丘へ行き、蟻地獄のような砂の穴に囚われるのです。これは非常に昆虫的な視点で書かれた小説といえます。
⑨エキゾティシズムの「上から目線」
・仁木順平という人物を蟻地獄に捕まってしかるべき存在として描いたのです。
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録画を視聴して
・著作とヤマザキマリさんの出会い
イタリアに留学していた17歳当時、方向性が見えてこないことと貧困にあえいでいて、周囲の芸術家たちからも小馬鹿にされていたヤマザキさん。出入りしていたサロンの主催者から手渡されたのが、イタリア語に翻訳された『砂の女』であり、これを読んで以来、実母に安部作品を送ってもらって貪るように読み始めたということです。
・壁と砂
行方不明となって7年が経ち、民法の規定によって「死亡」扱いされた書類上で、男は「仁木順平」「中学教師」であることが明かされます(が、本文中では仁木とは表記されないようです)。男は、新種の昆虫を発見して、歴史に名を留めることを願っての旅路にあります。砂に埋れつつある寂れた村落にたどり着き、夜を明かすことになりました。
その村は、砂の中に沈みつつあります。毎日砂を掻き出さなければなりません。男にとっては、「砂」とは「自由」を託す象徴的な存在でした。しかし、その村では、砂が生活を侵食しつつあるのです。制約である「壁」から逃れて「自由」を憧れる男でしたが、その象徴である「砂」が、まさに「自由」を脅かしているのです。以下、第2回放送分を待ちましょう。
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今回は以上といたします。9日(木)21時からのclubhouseのルームでお会いしましょう。最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!
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