青山美智子『お探し物は図書室まで』
今日(4月14日)発表される「本屋大賞」の候補作を2冊購入しておきました。そのうちの1冊を読了したので、まとめを書いておこうと思います。まず、読書メーターに投稿したものを掲げてみます。
小学校に隣接するコミュニティハウスの図書室を訪れた5人の男女が、本との関わりを持ったことで、自分が何を探していたのか気づいていく。バラバラに見える5人だが、ゆるくつながりあっていて、Bさんのエピソード中にDさんが出てくるなどして、ちょっとうれしくなる。実在の書物が作中人物の「気づき」に大きく寄与しているのだが、それは手渡す司書からのメッセージというよりは、それを自分にとってのものと「誤読」した、人物たちの功績であると考える。これが本屋大賞だとうれしいなあ。
これに少し肉付けする形で進めます。上にある「図書室を訪れた5人の男女」は次の通り。
・朋香(21歳)婦人服販売員
・諒 (35歳)家具メーカー経理部
・夏美(40歳)元雑誌編集者
・浩弥(30歳)ニート
・正雄(65歳)定年退職
皆それぞれに、仕事の上での悩みを抱えていて、乱暴に言うとそれをどうするか、どう向かい合うかということが「探し物」ということになるでしょうか。
そして、5人はそれぞれの必要に応じてコミュニティハウスの図書室を訪れます。そこで本を探すために係である小町さゆりの前に立つと、
「何をお探し?」
と声をかけられます。5人は、その時々に必要としていた本について、アドヴァイスを求めます。さゆりはそれに応じた本を検索しますが、それに「オマケ」を付け足します。その1つが実在する書籍でした。この書籍が、5人の背中を、そっと押します。
もちろんさゆりは、そのことを目論んで5冊を手渡したのではないでしょう。そんなできすぎた話は、お断りというものです。むしろ、5人がそれぞれに「自分のためのもの」と「誤読」をしてことで背中を押されたという感じを持ったのだと思います。しかし、それがある種の必然性をもって迫ってくることが、作品としての力なのだと思います。
今回は以上としておきます。お読みくださり、ありがとうございました。
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