海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2024年9月
書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2024年9月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。
オンラインイベント「海外マンガ勉強会#4」開催
9月3日(火)の夜、オンラインイベント「海外マンガ勉強会#4」が開催された。ゲストにイタリア在住のマンガ家イチグチケイコさんが参加され、イタリアでのマンガ事情や、日本のマンガの普及についてお話された。イタリアでマンガを意味する「フメット」がどういうマンガを指しているのかなど、とても興味深いお話だった。
東京・市ヶ谷で「花樣年華書店」で香港漫画店さん出店
東京・市ヶ谷にある香港カルチャーが楽しめる「Victoria1842」ビル。その地下で9月6日にオープンした棚貸し書店「花樣年華書店」に、香港漫画専門店「香港漫画店」が出店。これまで通販のみで営業をされていた香港漫画店さんの取り扱いマンガをリアル店舗で見ることができる。同ビルではカフェも楽しめるようで、東京に行くときの楽しみが増えた。
フランス産MANGA『ドリームランド』LINEマンガで配信開始
ルノー・ルメールのフランス産MANGA『ドリームランド』が9月6日からLINEマンガで配信された。フランスでは現在までに22巻まで単行本が刊行されており、アニメ化も計画されている人気作。10月3日には単行本第1巻が刊行。さらに11月8日はとしま区民センターでルノー・ルメールさんと真島ヒロさんとのトークイベントも開催予定。
東京の日仏学院内のPassage RiveGauche店にメゾン・プティ・ルナールさんの棚がスタート
東京日仏学院内に仏文学者・鹿島茂さんがプロデュースする共同書店PassageのRiveGauche店がプレオープン。バンド・デシネ専門店のメゾン・プティ・ルナールさんも参加されるとのこと。グランドオープンは10月1日。
モナコのマンガ賞「MAGIC漫画賞」2024の受賞作品がジャンプ+に掲載
9月8日、モナコのマンガ賞「MAGIC漫画賞」2024の大賞と準大賞がジャンプ+に掲載された。大賞はロシア系オーストリア人のNecrosishead(ネクローシスヘッド)さんによる『With Open Arms ―両手を広げて―』。準大賞はスペイン出身の江戸画ー(エドガー)さんの『SNAILGUARD』が受賞。
過去の受賞作品については以下のnote記事からご覧ください。
オランダのマンガ賞「ウィリー・ファンデルステイン賞2024」発表
9月9日、オランダのマンガ賞「ウィリー・ファンデルステイン賞2024」が発表された。今年の受賞作はヤン・フリンス(Jan Vriends)の『宇宙飛行士(De Kosmonaut)』。詳細は川野夏美さんのnote記事をご覧ください。
韓国のマンガ『未生(ミセン)』がミュージカル化
ユン・テホによる韓国の人気マンガ『未生(ミセン)』(全9巻、講談社)。韓国でテレビドラマ化され、2016年には日本でも「HOPE~期待ゼロの新入社員~」というタイトルでリメイク化された大人気作品だが、ミュージカル化される予定であることを知った。2025年1月から2月にかけて、大阪・愛知・東京にて上演される。
香港リトルサンダーの右腕デザイナーKatolさんの日本初個展開催
香港のリトルサンダー作品になくてはならない人物、サインアーティストでグラフィックデザイナーのKatolさんの日本初個展が、8月31日から9月15日まで田端のWish Less Galleryで開催された。以下は本個展についての記事。Katolさんの経歴や日本で馴染みのない「サインアート=看板アート」について語られている。また、これからの予定として「Little Thunderのアートブックのオーガナイズをするよ」と答えており、とても楽しみ。
フランス「ACBDコミック賞2024」のグランプリ発表
9月12日、フランスのACBD(バンド・デシネの批評家とジャーナリストの協会)が英語圏の優秀マンガを表彰するACBDコミック賞2024のグランプリを発表した。最優秀賞に輝いたのは、Will McPhailの『In: A Graphic Novel』。
「フランスの絵本とバンド・デシネの新たな世界」開催
9月14日、板橋区立中央図書館で、絵本のまち板橋 講演会シリーズ「世界の書棚から」第26回として「フランス絵本とバンド・デシネの新たな世界」が開催された。
こちらのブログにイベントのレポートが掲載されています。
サウザンコミックス第9弾フランス発ラブコメマンガ『男の皮』クラウドファンディング開始
9月18日、書肆喫茶moriの店主が発起人をつとめるサウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジムのバンド・デシネ『Peau d’Homme(男の皮)』のクラウドファンディングがスタートした。かぶると「男」になってしまう「男の皮」を手に入れた少女の痛快ラブコメ。12月16日まで。ご支援・情報拡散どうぞよろしくお願いいたします!!!
フランス「ACBDケベック賞2024」ノミネート発表
9月20日、フランスのACBD(バンド・デシネの批評家とジャーナリストの協会)がケベック出身マンガ家の作品を表彰するACBDケベック賞2024のノミネート作品が発表された。5作品が最終候補に選ばれ、10月中旬にグランプリが発表される予定。
最終候補作については以下の記事で紹介されている。
北九州市漫画ミュージアムでフー・スウィ・チンさん他のイベント開催
9月7日から12月8日まで北九州市漫画ミュージアムで「マンガ表現と〈自由〉-アジアの女性作家を中心に-香港・シンガポール・マレーシア」展が開催されている。出展作家は、香港のテレサ・リー、ステラ・ソウ、シンガポールのアンジー・ネオ、ウェン・ピクシン、フー・スウィ・チン、マレーシアのカオル。会期中の9月21日22日にはフー・スウィ・チンと、キュレーションを担当したコニー・ラム、チェンジュ・リムをゲストとした林がポールと香港のコミックをテーマにした講演会などが開催された。
アメリカ「リンゴアワード2024」発表
9月22日、アメリカのマンガ賞である「リンゴアワード2024」がボルチモア・コミコンで発表された。ベスト・ライターとして『ローミング』のマリコ・タマキ、ベスト・オリジナル・グラフィックノベルとしてダニエル・クロウズ『モニカ』、ベスト・ウェブコミックとしてレイチェル・スマイス『ロア・オリンポス』が受賞した。また以下の記事ではリンゴアワードの最多受賞アーティストとして『Usagi Yojimbo』のスタン坂井の名前が挙がっている。
https://www.comicsbeat.com/the-winners-of-the-ringo-awards-2024/
インド発のマンガが読めるサイト
インド発マンガを掲載するBANANA COMICSのウェブサイトが9月に本格始動された。現在5作品が掲載されている。10月31日まで全話無料公開中。
海外出身マンガ家『ラブ・バレット』のineeさんインタビュー
海外出身のマンガ家で『ラブ・バレット』第1巻が7月に刊行されたineeさんのインタビュー記事が9月27日に公開された。これまでのマンガ人生や海外在住のマンガ家がデビューに至るまでの経緯などが紹介されている。
『ラブ・バレット』は、9月ごろから急に海外ファンのあいだで話題になり、SNSでも言及が増えた。その経緯は以下の記事に詳しく取り上げられている。
韓国で「2024ワールドウェブトゥーンフェスティバル」開催
26日から29日にかけてソウル・聖水(ソンス)洞で「2024ワールドウェブトゥーンフェスティバル」が開催された。人気ウェブトゥーン作品のハイクオリティ映像が楽しめたり、AI技術を駆使したキャラクターとの会話や、人気作家の作風にあわせた似顔絵などさまざまな体験型コンテンツが展示された。
また優れたウェブトゥーン作品を表彰する「ワールドウェブトゥーンアワード」も発表され『俺だけレベルアップな件』が大賞に輝いた。審査委員長賞は『梨泰院クラス(日本ローカライズでは『六本木クラス』)』のKwang Jinと『ナビレラ』の作画JIMMYがコンビを組んだ『ザ・グレート(더 그레이트)』が受賞。海外アーティスト賞ではギリシャのマンガ家Odysseas Theodoratosの『Tomahawk Angel』が受賞した。
イベント予定
9月7日〜12月8日:マンガ表現と〈自由〉-アジアの女性作家を中心に-香港・シンガポール・マレーシア@北九州市漫画ミュージアム
10月1日:オンラインイベント「海外マンガ勉強会#5」
10月8日:「世界のマンガについてゆるーく考える会#20」@としま区民センター(東京)
10月10日19:00~:『Roaming』刊行記念 金原瑞人×三辺律子トークイベント@紀伊國屋書店新宿本店(東京)
10月14日(月)19:00~:「ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA」(Type Slowly刊)発売記念 抵抗と虐殺をいかに描くかーーアート/コミック・ジャーナリズムの可能性@hako gallery(東京)
10月26日(土)21:00~:オンラインアメコミビブリオバトル
10月27日:第2回カタカナマンガの虫干会@なかのZERO(東京)
11月9日15:00~16:30:「世界探訪#9 フランスのB.D.&MANGA 日仏マンガ交流@池袋」@としま区民センター(東京)
書評・レビューなど
『台湾はだか湯めぐり』(作者インタビュー、CREA)
『台湾はだか湯めぐり』(毎日新聞)
『チョコかバニラか?』(「変な本大賞 決定会議」)
『アステリオス・ポリプ』(フモさん)
海外マンガの本棚(2024年9月公開)
書肆喫茶mori個人的ニュース
『Dawnrunner』仏語版のコレクターズエディションが10月刊行予定らしい
個人的に気になっているのはこのニュースです。今年にシリーズがスタートして一部界隈で話題になっていた巨大ロボットSFアメコミ『Dawnrunner』。英語版の単行本は12月にDark Horseから刊行予定なのですが、いち早くフランス語版が10月に刊行されるとのこと。しかもコレクターズエディションとしてモノクロの特別版が刊行され、私の愛するマチュー・バブレとギヨーム・サンジュランの合作イラストまで併録されるそう。これはもう仏語版を買うしかない。
たぶんキャラクターをギヨーム・サンジュラン、背後のロボットをマチュー・バブレが担当されたんじゃないかと思います。カッコいい。
書肆喫茶moriでリアルイベントを開催しました
9月14日(土)には「長野まゆみの会」、9月28日には「推しマンガを語る会」を開催しました。リアルイベントはこれからも定期的に開催していきたいと思います。
10月19・20日「キタカガヤフリー2024オータム&アジアブックマーケット」出店予定です!
10月19日20日に大阪・北加賀谷にあるクリエイティブセンター大阪で開催される「キタカガヤフリー&アジアブックマーケット」に書肆喫茶moriも出店します。新刊は海外マンガ情報誌『漫海』第4号を予定。ぜひみなさんお越しください!
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『男の皮』クラファンへのご支援・情報拡散をお願いいたします!!
ニュースのところでも触れましたが、書肆喫茶moriの店主が発起人となるサウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジム『Peau d’Homme(男の皮)』のクラウドファンディングが始まりました!12月16日までです!
ぜひ応援をお願いします!