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海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2024年8月

書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2024年8月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。


バンド・デシネ作家アンドレ・ジュイヤール死去

バンド・デシネ作家アンドレ・ジュイヤールが7月31日、76歳でお亡くなりになったそう。エティエンヌ・ダヴォドーの『ワイン知らず、マンガ知らず』のなかにも名前が出てくる有名なバンド・デシネ作家。

台湾のマンガ賞「金漫賞」ノミネート作品発表

8月2日、台湾のマンガ賞である第15回「金漫賞」のノミネート作品が発表された。新人作家の作品に贈られる「漫畫新人獎」、マンガ原作の他メディア展開に贈られる「跨域應用獎」、編集者に贈られる「漫畫編輯獎」と、メインの賞に当たる「年度漫畫獎」のカテゴリがある。「年度漫畫獎」15ノミネート作品の中から、年度漫画賞5作品が選ばれ、最も優れた作品に「金漫大獎」が贈られる。さらに少女マンガ家の游素蘭さんが「特別貢獻獎」を受賞した。

「漫畫新人獎」「漫畫編輯獎」「年度漫畫獎」の3部門でノミネートされている、漫画 呉識鴻(ウー・スーホン) 原作 楊牧(ヤンムー)の『OKEN』は台湾コミックシティのウェブサイトで日本語試し読みも可能。

アメリカのマンガ賞「ハーベイ賞」2024ノミネート作品発表

8月14日、アメリカのマンガ賞である「ハーベイ賞」2024のノミネート作品が発表された。これまで子ども向けとYA向けは1つのカテゴリだったが、今年は2つに分割され、「Book of the Year」「Digital Book of the Year」「Best Children's Book」「Best Young Adult Book」「Best Manga」「Best International Book」「Best Adaptation from Comic Book/Graphic Novel」の7つのカテゴリーで優秀作品が選出される。最優秀賞の発表は10月のニューヨークコミコンにて。

ノミネート作品についてはnote記事に詳しく紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。

リトルプレスに贈られるマンガ賞「イグナッツ賞」2024ノミネート作品発表

アメリカの中小規模の出版社における優秀な作品を評価するマンガ賞「イグナッツ賞」2024のノミネート作品が発表された。全部で10のカテゴリーがあり、9月14、15日に開催される「Small Press Expo 2024」で受賞作が発表される。

個人的に気になるのは、「Outstanding Graphic Novel」にノミネートされた9月に邦訳が刊行されるマリコ・タマキ&ジリアン・タマキRoaming ローミング。「Outstanding Story」に選ばれたジャミラ・ロウザー&サム・ウェイドのThe Giftは、アフリカ系黒人のルーツを想像させる幻想的な作品。「Outstanding Artist」と「Promising New Talent」の2部門に選ばれたLéa MurawiecThe Great Beyond(仏題:Le Grand Vide)』は筆者も読んだが、SNS社会を皮肉る子気味良い作品。そして双極性障害を扱った『Sunflowersが「Outstanding Comic」に選ばれたKeezy Youngは筆者がいま注目しているマンガ家。

フランスのACBDによる「ACBDコミック賞」2024ノミネート作品発表

フランスのACBD(バンド・デシネの批評家とジャーナリストの協会)が8月18日に「ACBDコミック賞」2024のノミネート作品を発表した。英語圏コミックのフランス語版を対象とした賞。5作品が最終候補に選ばれ、10月に開催されるケ・デ・ビュル漫画祭でグランプリが発表される。個人的にはZoe ThorogoodさんのIt’s lonely at the centre of the Earthが選ばれていて嬉しい。

フランスのアニメ監督・マンガ家のシルヴァン・ショメが映画『ジョーカー』続編のOPアニメを手掛ける

ベルヴィル・ランデブー』のアニメーション監督であり、二コラ・ド・クレシーと『レオン・ラ・カム』を共著したシルヴァン・ショメが、映画『ジョーカー』続編のオープニングアニメーションの監督を手掛けていることが明らかになった。

映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は10月11日公開予定。

「たっぷり台湾!コミックマルシェ」開催

毎年恒例となっている台湾マンガの祭典。2024年は8月23日から「ジュンク堂書店池袋本店」「ブックファースト新宿店」「明文堂書店TSUTAYAレイクタウン」3店舗で、複製原画の展示や試し読み、オリジナルグッズのプレゼントなどが企画されている。
さらに「ダ・ヴィンチWeb」特集ページが設けられ、オンラインでも楽しむことができる。

8月24日には台湾のマンガ家Geneさんと日本のマンガ家ながべさんによるトークイベントも開催された。トークショーの様子は以下の記事に詳しい。

「ユーロマンガ」からフランス産MANGAの新シリーズ『ドリームランド』始動

8月30日、ユーロマンガのウェブサイトで新たなフランス産MANGAの新シリーズがスタートすることが発表された。作品はルノー・ルメール『ドリームランド』で、今年の6月には22巻が刊行されたフランス産マンガの代表作。
9月6日からLINEマンガで先行連載が始まり、単行本版は10月3日に飛鳥新社から発売予定。

サウザンコミックス第8弾エメー・デ・ヨング『ハチクマの帰還』クラウドファンディング成立

6月からスタートしていたサウザンコミックス第8弾『ハチクマの帰還』が8月30日に無事、目標金額を達成した。日本国際漫画賞に二度受賞、世界的に評価の高いオランダのマンガ家エメー・デ・ヨングの長編デビュー作。クラウドファンディングは9月2日まで。

イベント予定

8月23~9月8日:『たっぷり台湾!コミックマルシェ』@ジュンク堂書店池袋本店(東京)
8月24~9月6日:『たっぷり台湾!コミックマルシェ』@ブックファースト新宿店(東京)、明文堂書店TSUTAYAレイクタウン(埼玉)

8月31日~9月29日:『Life goes on 黒山キャシー・ラム作品集』刊行記念展@ジュンク堂書店池袋本店(東京)

9月3日:海外マンガ勉強会#4@オンライン

9月16日:『Roaming』発売記念トークイベント@青山ブックセンター(東京)

9月21日:BATMAN DAY

10月8日:「世界のマンガについてゆるーく考える会#20」@としま区民センター(東京)

11月9日15:00~16:30:「世界探訪#9 フランスのB.D.&MANGA 日仏マンガ交流@池袋」@としま区民センター(東京)

書評・レビューなど

『ルーカス・ウォーズ』(原正人さん、マンバ通信)

『レベティコ』(okadadaさん、好書好日)

『サバキスタン』(日本教育新聞)

『台湾はだか湯めぐり』(読売新聞)

海外マンガの本棚(2024年8月公開)

書肆喫茶mori個人的ニュース

サウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジム『Peau d’Homme(男の皮)』クラウドファンディングの発起人に挑戦します!

当店5周年を迎えた新たなチャレンジとしてクラファンに挑戦してみたいと思います! 作品は、店主の激推し作品ユベール&ザンジム『男の皮』。めちゃくちゃ痛快で面白いフランス発のラブコメです。フェミニズムやジェンダー、セクシャリティについてもいろいろ考えさせられる作品でもあります。

現在クラファンスタートに向けて準備中!スタート時にメールでお知らせする事前登録を受け付け中です。ぜひご登録お願いします!

チェコのマンガを描いてる学生さんたちが来店されました!

8月19日にぺピーク・ストジェハの大冒険の翻訳者ジャン=ガスパール・パーレニーチェクさんとチェコのマンガ家のヴァーツラフ・シュライフさん、チェコ西ボヘミア国立大学の学生さん、通訳のスザンカさんがご来店くださいました。
パーレニーチェクさんとシュライフさんとチェコ西ボヘミア国立大学の学生さんは、日本をテーマにしたマンガ作品を描く『IOGI』というアンソロジーを刊行していました。今回はその第2弾『ひこばえ』で描いた日本のシーンを実際に訪れる旅の最後に、当店へもお立ち寄りくださいました。
『ひこばえ』は今秋に刊行予定だそうです。

「デッドプールの会」を開催しました!

8月24日に、映画『デッドプール&ウルヴァリン』公開を記念して「デッドプールの会」を開催しました。デッドプールが好きなメキシコ料理を食べながら、アツいトークが繰り広げられました! 店主はあまりアメコミが詳しくないのですが、参加者の皆さま優しくいろいろ教えてくださり、本当にありがとうございます! 次は年末にでも「ヴェノムの会」を開催したいです。

ヨルダンのマンガ家dee juusanさんにマンガを送っていただきました!

ヨルダンのマンガ家dee juusanさんに『Grey is…』1-9巻を送っていただきました! 本当にありがとうございます!!

dee juusanさんは2020年のメディア芸術祭で『Grey is Clippings』というウェブトゥーン作品が審査委員会推薦作品に選ばれています。ブラックとホワイトというふたりの少年のスライス・オブ・ライフものです。

今回送ってくださった『Grey is…』は、上記のウェブトゥーン作品の本編にあたる作品です。ブラックとホワイトのハードな幼少期や、ふたりの交友、家族の物語が描かれます。ネット上でも公開されています。

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個人的ニュースのところでも触れましたが、書肆喫茶moriは2024年9月中旬から、サウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジム『Peau d’Homme(男の皮)』のクラウドファンディングに挑戦します!
ぜひ応援をお願いします!

クラウドファンディングの詳細は画像からリンクしています!

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