抗っていい
松田青子さんの「持続可能な魂の利用」を読んだ。
面白かった。
冒頭の「おじさん」に少女の姿が見えなくなり、不服そうな「おじさん」に対して自由を感じる少女たちというところから、掴まれた。
読み進めていくにつれ、腹を立てたり、胸を痛めたり、激しく同意したりしていたが、私自身振り返ったときに、「おじさん」によって何か嫌な目にあったことないなーと思っていた。
でも、思い出した。
高校生のとき自転車に乗っていて、向こうから来る自転車を避けようとしたら、すれ違い様に同じ年くらいの男の子に「ブス!」と怒鳴られたこと。
大学生のときバイトしていた居酒屋さんで「おじさん」のお客さんに「ちっ、あの子達(別のバイトの女の子)じゃねえのかよ」とわざと聞こえるように言われたこと。
横断歩道を渡ろうと歩行者信号のボタンを押して渡ったら、走りすぎる車がわざわざ窓を開けて、怒鳴ってきたこと。(何て言われたかは忘れたけど)
一人暮らしして、初めてスカートを履いた日にすれ違った「おじさん」に耳元で何か囁かれて思わず固まってしまったこと。(これも何て言われたか忘れたけど、絶対振り向かないと決めたのは覚えている)
性犯罪や性暴力を受けたわけではないから。
たいしたことではないから。
そんなことでいちいち傷ついたら生きていけないから。
自分の中でそう思ってなかったことにしてきたこと。
だけど、どうして私は娘たちに暗くなったら、遠回りでも明るい大通りを通るように言うのか。
自分が進む方向の先にいる男性が急に立ち止まって、こっちを見ていたら、速度を落としたり、電話をかけるふりをしたりして、距離を保とうとするのか。
怖いから、それに応じた行動をとるのが当たり前になっていた。
でも、男性も女性も、怖がらずに、もっと自由にいられたらいい。
鈍感になっていた心をドンドン叩かれて、「怒っていい」「抗議していい」と声をかけてもらったような、そんな本でした。
また、アイドル好きな私には、それについても考えることがありましたが、それはまた今度書けたらいいなと思います。
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