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隣のかき氷は美味しくみえる

かき氷が運ばれてくるまでに。
心ときめく瞬間は何度も訪れる。

店内の雰囲気、整った温度環境、手描きのメニュー、お温かいお茶や白湯があることなど、徐々に期待が高まっていくのです。

その中でも一番好きな瞬間。
ときめきMAXは登場シーンにあり。

期待通りのものが出てきたときの喜びはひとしお。

お店によっては文字だけのメニュー表もある。そんなときは完成形をイメージしながら待つのだけれど、想像を超えてくると嬉しさで舞い上がってしまいます。

美味しそうな1杯を目にすると、目の色が変わる。

だからこそ、わたしの前に現れず、隣の席に運ばれてしまったときの気持ちといったら……羨ましさしかない。


まだ食べたことのない1杯。
ラムレーズンを使ったかき氷に釘付け。

ジロジロ見るのは失礼だからさりげなく。顔は動かさない。もぐもぐしながら目だけで追ったり、白湯を飲むときにチラ見したり。わたしの意識は隣のかき氷に集中している。今もなお食べ続けているのに。

そうこうしているうちに完食。
目の前の1杯は確かに美味しかった。

だけど「やっぱりあっちにすればよかった」という気持ちも少なからずあって。いまいちスッキリしない。

「あのトッピングは一体なに? どんな味がするんだろう? 絶対美味しいだろうな」

気になって気になって仕方ない。
これはもう食べないと満たされません。

その場で2杯目を注文したり、
2人で食べに行き、後日1人で訪れることもあったっけ。


" 隣の花は赤い "

" 隣の芝生は青い "

これらの言葉はかき氷にも当てはまる。

やっぱり隣のかき氷は美味しかった。

わたしが食べた1杯も、誰かが見ていて次に繋がっているのかもしれないな。

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文・写真:わたし
イラスト:MihoMiyata

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※ 隣のかき氷は友達が注文したものを撮影しています

人のお金でかき氷を食べたい。