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ミッドナイト・ライブラリーと夜の海

本の世界に深く引き込まれる。
そんな経験は久しぶり。
『ミッドナイト・ライブラリー』は読み始めると、夢中で次のページを読み進めてしまう。
そんな本だった。

35歳。主人公ノーラは、つらい出来事が立て続けに起こって、死を選ぶ。
死んだと思ったら、昔ノーラに優しくしてくれた図書館司書のエルム夫人が真夜中の図書館と一緒に現れるところから物語が始まる。
ミッドナイトライブラリー、そこは生と死のはざまにある場所。
自分が生きていたかもしれない人生(選ばなかった人生)に関する本がぎっしりと本棚に並んでいる。

ノーラはエルム夫人に導かれ、「あのときこうしておけば良かった」という後悔をやり直した場合の人生を本の中に入って経験する。
数々の人生を経験した結果、ありのままの自分をちゃんと生きることがノーラにとっての答えだった。
自分にとって大事なものを知って、自分が後悔していたほとんどの人生は、後悔するに値しないことも知った。
成功した人生をそのまま生きることもできたのに、自分の努力の結果手に入れた人生でなければ居心地が悪いということにも気づいた。
最後は、まぎれもないハッピーエンドだ。

この本は、自分が選ばなかった選択のその先の人生が見られるという点がとてもおもしろい。
私もそんな経験ができたら楽しいのになと思いながら、ノーラの人生を自分の人生に重ねたりしながら、本の世界に、ノーラの人生に没頭できた。
パラレルワールドという言葉も出てきて、宇宙のどこかにミッドナイトライブラリーのような世界が広がっているのかもしれないと思うと、ドキドキした。私の選ばなかった人生ってどうなんだろうって。そんな人生がどこかで繰り広げられていたら…
そして今、目の前にある人生をもっと大事にしていかないといけないと思って、しゃんとした気持ちになれた。

私が『ミッドナイトライブラリー』を読んだのは、一人旅のマカオから帰る飛行機の中、関空から神戸へ向かうの船の中、神戸空港からのタクシーの中。
バスに乗り遅れて途方に暮れていたけど、船の中、深夜のタクシーの中でも読むことを止められなかった。
自分を見つめ直す旅の最後にこの本に出会えて、マカオ4泊5日間の旅に感謝した。

📚ミッドナイト・ライブラリー
💕夜のポートアイランド



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