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WHITE SPACEとCafe Bela Vista

日常生活がぎゅう詰めになって、息苦しくなったことはこれまでに何度もある。特に会社に勤めていた頃。
そしてどうしても必要なときは、一人で考える時間を取ってみた。とても贅沢な時間だったけど、いろんなアイデアが生まれてきて、自分の心に向き合えて、楽しかった記憶があった。
だから『WHITE SPACE』という本に、「やっぱりそうだよね!」と強く共感できた。

ホワイトスペースとは、「1日の中に考える(そして一息つき、内省し、計画し、創造する)ための自由な時間を設けるというアイデアのこと。
そうすれば、本物の良い仕事ができる。
マイクロソフト時代のビル・ゲイツも、年に2度、「考える週」を設けて、森の中の小屋に引きこもったようだ。「考える週」によってビル・ゲイツの中から出てきたアイデアが会社を成長させた。
とても興味深い話だ。
他にも意識的にホワイトスペースを確保している経営者はいるらしい。

今、多くの働く人にとって、仕事中に考える時間をもつということが許されていない。休みなくパソコンで何らかの作業をして、ちょっとした空き時間にはスマホを見る。仕事中にぼーっと考えごとをしていようものなら、「どうしたの?」と心配される。
優先順位や重要度を考えずに、片っ端から仕事を片付けていくのは見せかけの忙しさだ。
仕事の緊急性を見極め、緊急性の低い仕事はわきに置いておいて、私たちはもっと大事な本当の仕事に取り掛かるべきなのだ。

昔は、考えにふける時間には価値があるということが共通認識だったようだ。周りから見たらサボっているのか、考えにふけっているのか分からない。
目に見える労働しか仕事だと認められない今はちょっと寂しい。本当は、考えたり想像したりひらめいたり…目に見えない労働の方が大きな意味を持つんだから。

長時間のホワイトスペースの確保が難しければ、短くても良い。
「ウェッジ」は短くても強力なホワイトスペースだ。
例えば、会議と会議の間に一息ついて、前の会議を振り返って、次の会議に向けて心の準備をする。
ちょっとしたことで、仕事のクオリティも自分の気持ちも上がる。つまり、空き時間にスマホを見ることを止めて、ウェッジを差し込むのだ。

色んな部分で共感できたけど、衝撃的だったのは時間泥棒の話。
ちゃんとがんばっている人の中に、当てはまる人は結構多いと思う。
だって組織の中では成長の原動力になる力、<意欲><優秀さ><情報><活発さ>が、ホワイトスペースを奪う最大の原因になるっているらしいから。

  • 意欲⇒がんばりすぎ

  • 優秀さ⇒完璧主義

  • 情報⇒情報過多

  • 活発さ⇒やりすぎ

なるほど、確かにその通り。強みは弱みになる。

ホワイトスペースをつくるには、今まで反射的にやってきた習慣を見直し、不要なものを手放すこと。

  • <意欲>が<がんばりすぎ>になったら問うこと:手放せるものはあるか?

  • <優秀さ>が<完璧主義>になったら問うこと:「十分」とはどの程度か?

  • <情報>が<情報過多>になったら問うこと:本当に知るべきことは何か?

  • <活発さ>が<やりすぎ>になったら問うこと:本当に注目すべきことは何か?

特にリーダーにとって、ホワイトスペースの確保は大きな意味があると思う。
リーダーの本来やるべき考える仕事にフォーカスできるし、余裕ができればメンバーに安心感を与えることもできる。ホワイトスペースを確保するかどうか決める裁量も自分にあるし、やらない手はない。

ただ立ち止まって、自分の心に耳を傾けるだけ。
それだけで、自分の人生が少しは、良い方向にいくと思う。
私が実際にそうだったから。

この本を読んだのは、マカオのアーティゼングランドラパマカオの中にあるCafé Bela Vista。
ここはグランドラパがマンダリンオリエンタルだったときからあるカフェ。18年前に初めてマカオに来たときに、わずかな自由時間に一人で行ったカフェだった。すごく素敵な場所だったという記憶がずっと残っていて、今回の一人旅でマカオに行こうと決めたのは、実はCafé Bela Vistaにもう一度行きたかったから。
18年ぶりのCafé Bela Vistaは当時のまま。歴史的で上品なのに、気取っていなくて居心地が良い。滞在中、毎日通って、書き物をしたり本を読んだりした。
まさに私がホワイトスペースを実践した場所。そこにいるだけで幸せを感じられる場所ってある。また必ず戻ってきたい。

📚 WHITE SPACE
💕 Cafe Bela Vista

Serradura ポルトガルのお菓子。とても甘い!
天井のファンやレモンイエローのの壁、白い格子の窓枠が素敵

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