マガジンのカバー画像

日常系・現代物小説集

24
何気ない日常を描いたもの、現代を舞台にした小説をまとめています。
運営しているクリエイター

#オリジナル小説

麻薬読書者

 男は後ろをやけに気にしながら歩き、ある小路の入り口に立つと、殊更に警戒心を剝き出しにし…

水瀬 文祐
2か月前
128

スパイ・オア・ストーリーテラー

 病室の窓から外を眺める。青空に無数の魚影のような雲が泳いでいる。  午後のロードショー…

水瀬 文祐
2か月前
112

空色のダイヤモンド

 世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。 …

水瀬 文祐
2か月前
126

波間に揺れる

 波打ち際に貝殻が転がっていた。押し寄せては引く波に弄ばれ、ころころ、ころころと転がった…

水瀬 文祐
2か月前
132

写真小説家~小説家の追憶~

■前回までのお話はこちら■本編 そのホールは古びていた。あちこちの壁に雨だれが見られたし…

水瀬 文祐
3か月前
144

写真小説家~英雄の肖像~

■前回のお話はこちら■本編 牧場の中は寂れていた。日曜日の、しかもこんなにも天気のいい昼…

水瀬 文祐
3か月前
151

声、さやけく

 ナルミは街の失せ物管理事務所で働いている。  週四日勤務。時間は八時から十六時まで。土日休み。福利厚生は充実しているし、有給休暇もとりやすい。業務内容も失せ物のデータ管理の他は来所者や電話の応対くらいで、難しいことはなかった。  彼女は会社説明会で目にした、住宅メーカーの華やかな女性営業に憧れて、第一志望をその住宅メーカーにしていたのだが、面接であえなく不合格となった。その後も受ける会社受ける会社に不合格の烙印を押され続け、学校の就職担当者が「君にはここしかないと思う」と言

鞠の天蓋

 わたしが生まれたのは、小雪が舞い散り始めた、明け方のことでした。  生まれた時、母は一…

水瀬 文祐
3か月前
122

写真小説家~歌姫の断片~

■あらすじ写真を撮るように、目の前の景色や出来事を書き記す「写真小説家」。それを生業とす…

水瀬 文祐
4か月前
413