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暗号解読 サイモン・シン

『フェルマーの最終定理』を読んだことがあり、ややちんぷんかんぷんながらも面白い!という印象を鮮烈に残してくれたサイモン・シンさん。
この『暗号解読』も、やっぱり面白い!と夢中になって読みました。

暗号解読の歴史でありながら、それはとりもなおさず言語学の歴史であり、考古学の歴史であり、数学の歴史であり、統計学の歴史であり、そして物理学の歴史でもあった。

数々の暗号が生まれ、解読され、さらに強力な暗号が生まれるのは歴史の必然だけれども、暗号作成者と解読者の戦いは手に汗握るものがあった。
「そんな発想で暗号を作るとは」と目から鱗が落ちた次の瞬間には、「そんな発想で解読できるとは!」と歓声を上げてしまう。どっちにも拍手喝采。

特に印象深いのは、ヒエログリフと線文字Bの解読に携わった人たちの話。暗号ではないけれど、「未知の文章を読めるようにする」というのは暗号解読に通じるものがある。
弛まぬ努力とか細い糸をたどり続ける粘り強さ、もはや執念のお陰で、今、魅惑的な古代エジプトの生活や文化を知れるのだ、と思うと、先達に深謝するしかない。

日常的に使っているテクノロジーを縁の下で支える暗号の力は計り知れない。安全保障の観点で秘匿された名もなき多くの暗号作成者・解読者の方達にも自然と感謝の気持ちが湧いてきて、全体的にワクワクするのに、しんみりもする2冊でした。

巻末にある暗号、頑張って解くぞ!

愚か者になる覚悟はできていました。(中略)
コケてもコケても大喜びできるぐらい馬鹿でなければ、動機だってもてやしないし、やり遂げるエネルギーも湧きません。
神は愚か者に報いたまうのです。
下巻 第VI章より
読んだ本
暗号解読
サイモン・シン著 青木薫訳
新潮文庫
令和3年11月15日 22刷
読み終わった日:令和4年7月7日

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