エスカレーターで歩いてはいけない

数日前、駅で大声を出しているおじさんがいた。
「エスカレーターで歩くな!」
振り向くと、おじさんは非常停止ボタンを押したようだった。
エスカレーターは下に向かっていたので、そこに乗っていた人は見えない。
でも、たぶんエスカレーターで歩いている人がいたんだろう。
おじさんは正しい。
最近はよく「エスカレーターで歩かないでください」との貼り紙を見る。
しかし、見ていた人はたぶん引いたのではないだろうか。
私もびっくりした。

正しい人が正しいことを言っているのに賛同を得られない。
そういうことがよくある。
「マスクをしましょう」とか「自転車に乗るときはヘルメットをしましょう」とか「車内ではシートベルトをしましょう」とか「税金は正しく申告しましょう」とかだ。
言ったほうが、なぜか嫌悪される。
不利益をこうむるのは主に本人なのだから、自己責任でいいじゃないかと思っているのかもしれない。

でも本当は、私たちはどんどん他人行儀になっているだけではないのか。
人のことは言えない。
今日もヘルメットをせずに自転車に乗っている母子を見たが、何も言わずに通り過ぎてしまった。
せめて子どもにはヘルメットをさせたほうがいいとは思ったが、なんというか、話が通じる気がしなかった。
あの母親がヘルメットの着用義務を知らないということがあるだろうか。知っててあえて無視しているのではないだろうか。
ことさらに注意してストレスをあたえる必要があるんだろうか。
考えていたらもう姿は見えなくなっていた。
無事でいたらいいのだが。


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