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茅の引継ぎ

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茅葺再生プロジェクトをやり始めて、コツコツと茅を刈ってきたが、今回面白い話が舞い込んできた。なんと、20年前に建てた茅葺の家があり、その茅を下ろすという情報が入った。

使えるものであれば、ぜひ、中古であろうが頂きたいということ。

時間のある時にチマチマと揃えることにも限界を感じており、一気にもらえるチャンスがあるのであれば、めちゃくちゃ嬉しい。そして、茅を下ろした後の状態や20年の茅がどうなっているか含め、全て勉強になる。

自分の都合だが、実際に茅を下ろす初日は参加できなかったが、翌日に伺った。

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すでに大量にまとめてもらっていた。なんだかそのまま捨てた方が圧倒的に楽だっただろうな。有難い。

さあ、ここからは、茅葺の家を使ってもらっている『かやぶきの家 まねきや』の皆さんと子供達も一緒に参加して、茅を下ろす、茅をまとめる、まとめた茅をトラックに積む、作業を開始!

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しかし、ある程度表面の部分や端の部分以外はめちゃくちゃ綺麗だな。まだまだ現役で使えるものがほとんど。20年経ってこの状態って、今現在ある屋根材の中で最高スペックなんじゃないか。20年間でこのキレイさを保つものはまずないな。もし、40年少しずつ毎年差し茅はするが、全面的にはあまりやらないでも十分もつとしたら、一世代一回のメンテナンスで大丈夫という素晴らしい素材。

今や新築で茅葺の家が日本では建たないが、これからは考えていくべきなのかもしれない。すでにオランダを筆頭に欧州では、茅葺屋根の新築はされている。板金工事や防水シート施工のように名前を聞いただけでもこれは個人じゃ無理だな。と、思う。その点、茅葺ならなんか出来そう。って思わない?実際に昔は、茅場を集落で作って、今年はあの家の屋根をみんなで差し茅しよう、という風に個人でやっていたものだ。「11月後半になるとそこら辺に生えていた草花は枯れ、元気にお天道様に向かって伸びているのは茅だけになる」、ということを知内の米農家『帰山農園』さんが教えてくれた。実際、その通りになった。どれが茅なのかすら分からなかった状態だったのに指針を与えてくれた。冬になって雪が降ってもしっかりと残っている丈夫さが屋根材として適しているということだったのだろう。アイヌの伝統的な住居『チセ』も茅葺だ。

もう一度、集落単位で茅場を作って、屋根をみんなでメンテナンスしていく生活も見直してみるのもいいかもしれない。コロナが教えてくれたものとしては、都会でも田舎でもネット環境があれば仕事ができる職業がたくさんあり、そうやってリモートワークの方が、効率を上げられるという性分の人もたくさんいたということ。実際に満員電車に毎日揺られながら通勤する時間を有意義に過ごし、その時間で茅を集めてもいいのかもしれない。コロナは収束したとしてもまた別のウィルスとの戦いが周期的にくると言われている。

アメリカでコロナに最も感染しにくい職業として、農業と木こりを上げている。理由は言わずもがなだろう。あくまでも今は、ということで、こういった環境下で作業をする業種が増えれば、その業種でも感染リスクは減るだろう。まあ、だから茅葺をどうのこうのやっているやっている訳ではないが、これはこれで面白がってやっていたことが、思わぬ発見も、というのがチャレンジすることの醍醐味かもしれない。

それはさておき、この茅を提供して頂いたのは、北斗市三ツ石にある「ギャラリー日の丘』さん。

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状況にもよるとは思いますが、6月から展示会もするようです。そのギャラリーはまさに木の家。立派な柱や梁だけでもみる価値がある建物で、非常に気持ちいい。

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そして、そこの2階のバルコニーから見える景色は素晴らしい。ちょうど貨物が通っていたので、動画を撮ってみた。なんだか時間を忘れてしまう感覚に陥る。

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ここから見る、津軽海峡と函館山もまたいい。

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しかし、この建物を構造部分は大工さんにやってもらったにせよ、母と娘さんの二人で作ったとは驚きでしかない!内部には、建築の際に掘った土を使って土壁を作ったり、オンドルという韓国式床暖房を作っていたり、尊敬の念しかない。ほんまにすごい!

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さあ、あとは移設するだけだ!それが難しいけども…。我こそは茅の葺き方を教えられるという方いたら、おせーて。

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放課後クラブ『かやぶきの家 まねきや』は、函館新聞にも取り上げてもらいましたー!

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